2009/05/18
日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信
┠────────────────────────────────── ╋╋…‥・ ・・‥‥…━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━ ┃日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信 ┃ http://www.tkataoka.com ━╋…‥・ ・・‥‥…━━━━━━━╋━━━┯━━━━━━━━━ ├ 2009年05月18日 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ アメ通読者のみなさま、こんにちは。 越智道雄です。 さっそく、先週の続きをお話いたします。 中国側の実際に使用可能な核弾頭は2007年時点で約80基、 これを弾頭1個しか装備できないICBM、DF−5に装着するわけだが、 合衆国まで届くものはほんのわずかだった。 しかも、ペンタゴンの算定ではDF−5は18基しかなかった。 さらに、15分で発射可能となる米側に比べて、 中国のものは発射体制に持っていくのに時間がかかる。 核弾頭の格納箇所が別になっているのと、 ミサイルは燃料抜きで格納されているためだ。 おまけに、米側はミサイルに固形燃料を使うのに対して、 中国のは極めて腐食し易い液状燃料である。 そして、これらのミサイルを搭載できる核ミサイル原潜も長距離爆撃機もない。 最後に、初期警戒システムがないため、北京は敵の攻撃を早期に探知できない。 米側のミサイルの命中率99%以上という機能は、 ミサイルに装備されたGPSが標的近くで妨害されても、 最後の数キロならばGPSに内蔵されたバックアップ慣性誘導システムが作動、 妨害を跳ね返すためである。 さらに覇権国家の最後の切札、絶対に抜いてはならなかった 江戸時代の武士の刀と酷似した合衆国の核兵器に似つかわしい配慮までなされている。 河南省の中国ミサイル基地を攻撃した場合、 核降下物を最小限に抑え、中国側の死者数を減らすべく、 地下に埋設された敵ミサイル格納庫・発射台(サイロ)一つを、 3発の核弾頭で破砕すれば、中国側の死者を千名以下に抑えられる。 さらに、この数値を百名以下に抑える工夫まで進行中だという。 これが実現すれば、逆に合衆国大統領は 先制核攻撃への誘惑を断ち難くなる懸念が出てくる。 以上の事態は、当然、中国側にも分かっているはずなので、 台湾海峡の波高しとなれば、合衆国は中国側に静かにミサイルの照準を 河南省のサイロ群に合わせたと通告するだけで、 海峡の波は鎮まるしかなくなる。 ただ、怖いのは、合衆国大統領が核兵器使用を少しでも回避しようとして、 通常兵器で中国の発電所、通信インフラ、 レーダーサイト、地下の軍司令部などを破壊し、 北京に情報が途絶した場合、 米側の圧倒的核兵器の存在を知悉している中国首脳が 自暴自棄になって河南省の全サイロからミサイルを発射する場合である。 アメリカ本土へはほんのわずかしか届かないまでも、 当然、台湾と日本にはその一部が降り注ぐ。 核兵器による際どい平和維持の例を過去に求めるなら、 キューバ・ミサイル危機が上げられる。 以下、箇条書きにする。 (1)「ミサイル・ギャップ」の存在。 ソ連は破壊力優先で大型化、米は航続距離優先で小型化。 (2)米側にソ連の大型ICBMへの恐怖が存在した。 1957年、スプートニク打ち上げでソ連に先を越された古傷との関連。 (3)実は航続距離優先の小型化が正解で、 大型化路線のソ連は航続距離不足の埋め合わせをつける必要に迫られた。 これが明確に判明するのが、ベルリン危機(1961)前後。 (4)ソ連のキューバへのミサイル配備強行で完全に(3)が事実と判明。 JFK政権は遺物化した自国のトルコの短距離ミサイル基地 (ソ連の腹部に突きつけた匕首)廃止とソ連のキューバ基地廃止を取引材料とし、 さらに強攻策が裏目に出たフルシチョフのソ連権力機構内での失脚を防ぎ、 さらなる強行派の権力奪取を抑えるべく フルシチョフとの平和外交を誇示する手を打ったこと。 映画『13デイズ』の緊迫感は、むしろ「ミサイル・ギャップ」を信じていた アメリカ国民や自国の政敵、 さらには史上唯一のアイルランド系カトリック大統領に対する 民主党内のWASP批判勢力への演出にこそあった。 (拙著『ブッシュ家とケネディ家』朝日選書) (次号につづく) ( 越智 道雄 ) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ┠────────────────────────────────── ╋╋…‥・ ・・‥‥…━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━━ ┃日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信 ┃ http://www.tkataoka.com ━╋…‥・ ・・‥‥…━━━━━━━╋━━━┯━━━━━━━━━ ├ 2009年05月18日 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



