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2007/06/23

片岡鉄哉のアメリカ通信【LITE版】全文公開!石破茂、核武装反対の本音と理論の誤謬

┠──────────────────────Tetsuya Kataoka ────
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  ┃片岡鉄哉のアメリカ通信【LITE版】   ┃ http://www.tkataoka.com 
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                           ├ 2007年06月23日
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   今号のLITE版は、6月22日配信の【Vol. XIII, No. 50】


             全文公開!!


      核武装反対の急先鋒、元防衛庁長官・石破茂

          その本音と石破理論の誤謬


【Vol. XIII, No. 50】全文----------------------------------------

片岡鉄哉のアメリカ通信

Vol. XIII, No. 50/6・22・07



「アメリカが反対するから」という嘘

石破茂の核武装反対

なぜ真実を隠すのか、その本音

         小泉総理の防衛庁長官だった石破茂が核武装反対の主導権を
とって急浮上してきた。彼は田中角栄の指図によって政界入りしてお
り、保守本流の哲学と政策を継承している。吉田茂の再来と言ってよ
い。頭脳明晰、理路整然、弁舌さわやか、議論に強い。良い政治家だ
が、核問題になると詭弁を駆使する。彼の本音を探る。



最近、彼は漫画一冊をふくめて数冊の本を世に問うている。全て国防に
関するものだ。その中から核武装反対の石破語録をサンプルしてみよ
う。

「そもそも、核保有など有権者が許さないんじゃないですか」。[1]

「アメリカは日本だけには核を持たせたくないと思っているのです
よ」。[2]

「NPT(核兵器不拡散条約)から脱退したら、・・・・・核燃料の供
給ができなくなる」。[3]

「核保有国と言うのは、少なくとも民主主義による統制が利いていま
す」。[4]

         上記、四つの発言は全てデタラメ、インチキ、詭弁である。
「有権者が許さない」とは何を意味するのか。吉田が「繰り返しません
過ちは」というヒロシマの誓いで、国民を洗脳したから「有権者が許さ
ない」に過ぎない。

今でも80代の老人たちが、毎年8月になると、幼い子供に「無防備が安
全」だという真っ赤な嘘を教えているのだ。石破はそれが嘘だと知りな
がら、責任ある指導者として、正しい政策を教えようとしない。衆愚政
治だ。

「アメリカは日本だけには核を持たせたくない」。これも真っ赤な嘘
だ。05年11月、ブッシュ大統領は京都に小泉総理を訪ね、核武装を要請
し、翌年早々ニューデリを訪問してインド政府に同じ要請を繰り返して
いる。片岡論文を参照。[5]

安倍総理は、ブッシュの要請に応えて、核武装の議論を国会で開始し
た。中川昭一・自民政調会長、麻生太郎外相の核武装支持の発言が続い
たではないか。ブッシュの要請が無かったら、中川・麻生発言はあり得
ない。

      「NPTから脱退したら、・・・核燃料の供給ができなくなる」
も子供だましみたいな嘘だ。最近、アメリカに反対して核武装している
国に北朝鮮、イラン、印度、パキスタンがあるでないか。日本には腐る
ほどの大量プルトニュームの蓄積がある。

      「核保有国と言うのは、少なくとも民主主義による統制が利いて
います」。だから日本は中国や北朝鮮の核武装を恐れるなというのだ
が、これが最も悪質である。石破は、この発言の後でペロリと舌をだし
て、ほくそ笑んだのか。

本音を語らぬ石破

         石破は自分自身の発言を信じていない。彼は北朝鮮が民主主義
だと考えるような痴呆症ではないのだ。彼は核武装に反対する本当の理
由を公開するのを恐れているのだ。本音を語れないのだ。

         なぜ本音を語るのを恐れるのか。この答えを探るために、石破
の支持する防衛政策、つまり非核の部分を調べてみよう。現在、安倍総
理が問題にしているのは、集団的自衛権である。[6]これに対する石破の
立場は如何なるものかを見よう。

               個別的自衛権    集団的自衛権    核武装


吉田     支持        反対       反対

石破     支持        支持       反対

吉田と石破の差は何か。吉田が集団的自衛権と核武装を拒否したのに反
して、石破は核武装だけに反対していることだ。吉田よりも石破の方が
かなり親米的だといえる。これについて石破は言う。

「日米関係のコアは米国が日本を守り、日本が米国に基地を貸すという
日米安全保障条約だ。これは集団的自衛権の行使ができないためで、対
等な同盟とは言えない。日米関係はこのままでいいのかという議論にま
で、広げたい。それで本当の同盟国になる。・・・・・国民が(現状
で)いいというのなら、私はそんな日本には住みたくない」。[7]
    石破が「そんな日本には住みたくない」というのは、日本を捨
ててもいいという固い決意を見せるためだ。では、それほどまでに日本
の自衛に熱心な男が、どうして核武装に反対するのか。

核武装反対の本当の理由

         石破は核武装反対について本音を語ろうとしない。だから推理
するしかない。私は長年この問題を研究してきた学者として、自分の推
理に自信がある。石破は日本が核武装をすると、日本人は自信を持って
行動するようになる、と思っている。

         長いながい間それを待っていたアメリカは、日本に自衛の責任
を譲渡して、本国に帰って行くだろう、と石破は恐れるのだ。だが、そ
れはアメリカの無責任というものだ。米国の日本放棄を阻止するため
に、日本は核武装・自主防衛を避けるべきだ。いつまでも弱々しくて、
他力本願の日本でいる方が賢明だ、というのである。

石破理論の誤謬

         石破の核武装反対理論には複数の大きな誤謬がある。最大の誤
謬は、核武装なしでは集団的自衛権は行使できないことである。石破は
核抜きでも集団的自衛権は行使するというのだが、不可能である。

         現在、外務省の柳井俊二大使を座長とする懇談会が、集団的自
衛権の事例として以下の場合を想定している。[8](1)公海上の共同訓
練などで米艦船が攻撃された場合に、近くにいる自衛隊艦船が応戦。
(2)米国に向かう可能性のある弾道ミサイルを(日本の)ミサイル防
衛(MD)システムで迎撃。

         柳井懇談会は、誰が日米共通の敵なのかを指名しない。しか
し、日米同盟の共通の敵には中国と北朝鮮しかあり得ない。双方とも核
武装し、運搬手段(ミサイル)を日常的に発射実験している。実戦に使
う目的だ。中国はそう公言している。

         上記(1)の場合、中国海軍潜水艦が米空母を攻撃したとす
る。海上自衛隊は潜水艦探査・攻撃で世界一の技量とテクノロジーを
持っている。そして海自が沖縄周辺で中国潜水艦を攻撃・沈没したとす
る。この場合、北京政府が「いやあ、日本の海軍には負けた」と言っ
て、引き下がるだろうか。

         上記の(2)の場合、「米国に向かう可能性のある弾道ミサイ
ル」をアメリカ行きと看做して、海上自衛隊のイージス艦が「迎撃」
し、撃墜する。そもそも、アメリカを攻撃できるミサイルを持つのは、
現在のところ中国だけである。その中国がアメリカを攻撃するというの
は一大危機、ひょっとすると世界戦争を意味する。

         そこへ、日本が脇から手を出して介入するという想定だが、こ
れは日本が対中宣戦布告することを意味する。日本による挑発を意味す
る。それでも、中国が黙って引っ込むと石破氏は思うのか。それとも日
本に報復の核攻撃をすると思わないのか。




  _____

[1] 「軍事を知らずして平和を語るな」(KKベストセラーズ、
2006)。

[2]  同上。

[3] 「国防」(新潮社、2005)。

[4]  同上。

[5]  片岡鉄哉、「ブッシュは日本核武装を認めた」、Voice、07年2月
号。

[6] 集団的自衛権とは、日本を守るために同盟国アメリカが出動し、第
三国から攻撃を受けた場合、日本は米軍を応援する権利があるというの
だ。これは個別的自衛権と区別される。後者は、日本の本土が直接侵略
された場合に、日本は自衛のために何をしても良いし、応援してくれる
米軍に如何なる便宜を提供しても構わないとする。

戦後一貫して、日本は吉田茂の指示に従って、個別的自衛権を容認し、
集団的自衛権の行使を拒否してきた。吉田の隠された目的は、日本の防
衛についてアメリカの責任を取らせることにあった。日本が応援しなく
ても、米軍は日本を守る義務があるというのだ。

[7]集団的自衛権・石破茂自民憲法審査事務局長・行使容認で日米対
等」、朝日6・6・07。

[8] 「政府懇談会で遠距離の米艦防護論議・『個別的自衛権では説明不
可』」、読売、6・12・07。



【Vol. XIII, No. 49】以上--------------------------------------


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