☆★☆産業のまちネットワークメールマガジン☆★☆2008-2-5 第33号
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2008-2-5 第33号
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いまごろ新年のご挨拶もできませんが、今年もよろしくお願いいたします。
前回のメルマガが7月下旬でしたので、なんと半年もサボってしまいました。
半年もサボると本メルマガも管理者により発行停止の状態とされており、
かなり焦ってしまいました。
この間には、恒例の蘇州ミッション団の派遣や、ひたちテクノフェアin東京の
開催などもありましたが、今回は先月、会津若松市を訪問した際に出会った方、
そして考えたことをお伝えしたいと思います。
(編集責任者:小山 修)<o_koyama@hits.or.jp>
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★第33号(H20-2-5号)の主な内容
●「会津若松での出会い」(小山@日立市)
●産まちフレンドリーレポート「機械工業集積地域のモノづくり人材育成(その3)」
亜細亜大学アジア研究所 准教授 西澤正樹
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●「会津若松での出会い」(小山@日立市)
1月18日「日本と中国の若者事情フォーラム」に参加して
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日系企業の進出に対しての規制緩和が撤廃されつつあり、今や「製造業のもう要り
ません」とでも言い出しそうな中国。単純な賃加工型の製造業では投資許可がで
ないという。
そればかりか、上海では土地利用の再編が行われており、間もなく市街地からは
工場の強制移転が始まるのではとも言われている。
一方では、かつての日本がそうであったように、研究開発に注力し世界的な競争力
をつけようという動きが各地で見られ、私のひいきにしている蘇州市においても、
筑波研究学園都市のような開発が進められている。もちろん、国策として全国で
同様な取り組みが行われているのは言うまでもない。
そんなイケイケドンドンの中国から日本に来ている留学生を代表に、日本の学生
との「職業観」の相違などを、職業体験(インターンシップなど)を通して浮き
彫りにし、とかく「目的意識が低い」「自己主張がはっきりしない」と言われて
いる今の若者が、「社会で自己実現するためにはどう働いたらよいのか?」と
いったことをテーマにしたフォーラムが会津若松市で開催されたので行ってみた。
全体をコーディネートしたのは産まちフレンドリーレポートでもお馴染みの
亜細亜大学アジア研究所の西澤正樹先生である。
感想。実に面白いフォーラムであったの一言。今の若者は捨てたものではない
のである。(こんなことを書いていると、自分が随分と歳をとってしまったもの
だと実感し、ちょっと悲しい。)
インターンシップの事例紹介が2つされた。ひとつは会津大学の情報系の学生。
もう一件は東北芸術工芸大学の学生。まずはこの二人のプレゼンが素晴らしい。
論理的であるのはもちろん、その体験を通じて自分にどのような変化があった
のかを大変客観的にそして時には主観を織り交ぜて話しており、私は正直驚いて
しまった。
この学生が優秀であったのは間違いないのだが、企業の方と仕事を通じ厳しい
やり取りを経験した者だからこそ、こうした発表ができるのではないだろうか。
そう感じたのは私だけではないはずだ。
フリーターだのニートだのという言葉が作られ勝手に一人歩きをしているため
だろうか、若者の職業観が崩壊しているという解説を良く聞く。しかし、本当に
そうなのか。西澤先生の基調講演の後の質疑応答で、そのことについての質問が
あった。西澤先生は毅然として答えた。「言葉は違っても、そういった若者は
いつの時代にもいたはず。私はまだまだ深刻な社会現象としては認識していない。」
同感である。その言葉には力があった。学生のインターンシップの報告を着たい
後には、確信に変わった。(レッドソックスの松坂みたいでいやな表現だけど)
繰り返すが、今の若者はまだまだ捨てたものではないのである。
このフォーラムを仕掛けた人間が当然いる。株式会社会津リエゾンオフィスの
吉田さんである。歯に衣を着せぬ語り口で、産業振興の業界ではかなりの有名人
であるが、私は今までお目にかかったことがなかった。今回の会津訪問はここ
にも目的があった。
会津若松市役所を退職し現職について、早いもので10年だという。私の勤務する
日立地区産業支援センターより1年先輩ということになる。
非常にスリムな体系で、眼光の鋭い方だった。どこかの住職のような雰囲気も
漂わせていて、彼の話し言葉には優しさと厳しさが同居し、本当にお寺で説教を
聴いているかのようであった。彼は私を「やくざ」といった。うれしい言葉で
あった。どういう意味でそう言ったのかは分からないが、何かしら力強さがある
言葉ではないか。きっと同じような仕事をしていることから、同じような匂いを
感じ、そんな言葉になったのではないか。
吉田氏が今、惚れているという男にも会うことができた。石川県の久谷焼きの
窯元を若干26歳で継いだ「中村太一」という男である。父親は九谷焼の作家で
あり窯元であったのだが、彼は作品を作らず、それを世に売り出すことを仕事と
している。ヨーロッパにも進出しようと、九谷焼にはなかった白と黒だけの皿を
リリースした。近く、ドイツの展示会にも出展し、本格的な販路開拓を展開する
というような話を聞いた。経済産業省の新連携という事業で、会津の企業とも
一枚かんでいて、吉田氏がそのコーディネーターとして活動しているらしい。
一見、今風のあんちゃんであるが、彼の話は面白い。賢さを感じた。吉田氏が
惚れた理由は分からないが、私もとたんに好きになった。吉田氏、西澤先生、
桐生市役所の石原さんとともに、深夜2時近くまで飲んでしまったのも、そんな
方々と出会えた嬉しさだったのだろうか。
翌朝、朝食のときに中村氏に話しかけた。「地元にカナダ人で陶芸をやっている
友人がいます。彼と、ぜひ、あなたの窯を見に行きたい。」
もちろん、中村氏は「はい。ぜひ。」と答えてくれた。会津若松は歴史の街。
そこには私に居心地が良いと思わせる空間を提供してくれる人間味のある方々が
集まっていた。
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●産まちフレンドリーレポート「機械工業集積地域のモノづくり人材育成(その2)」
長野県 諏訪地域(前半)
亜細亜大学アジア研究所 准教授 西澤正樹
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3.長野県 諏訪地域(1)
(1) 熟練OBと工業高校への期待 〜渋江精密工業(株)〜
【キーセンテンス】
○当社における技能とは、加工図面を見て全体の「段取りを考える」→「段取り」
→「NC機による加工」→「機械設備のメンテナンス」といった一連の工程を一人で
担うことができる能力をいう。
○個別の工程は概ね3〜5年の経験で身に付き、その後、技能が蓄積されていく。
○機械制御式の設備をメンテナンスできることは基本中の基本である。熟練技能者
OBの指導が有効。
○地元工業高校の再生が必要。地元企業で半年〜1年間のインターンシップを組み
入れモノづくりの実践を学ばせたい。本来、10歳代の若者の技術・技能の吸収力は
高い。
2006年に創立55周年を迎えた当社は、現代表者の父親が三協精機のオルゴール用
部品を供給することを目的として1951年に開設したところからはじまる。現在、
精密自動旋盤による加工専業企業として国内の存立基盤を確立している。73年の
第一次オイルショックまで三協精機への依存度は100%に近かったが、同社がテープ
レコーダー、8ミリカメラから撤退し受注が急減したことを契機に、諏訪地域内で
他の加工業との分業、技術補完関係を培いながら新規顧客を開拓していく。
同時に、スイス製の名機「エスコマティック」の導入に踏み切り、さらに関東、
関西方面への営業展開により、顧客を増やしオイルショックを乗り切った。
その後、85年以降の急激な円高、91年のバブル経済崩壊の影響はさほど受けず、
売上は増加傾向を辿っている。当社の顧客は50社を超える。現在、従業員22名、
製造現場17名、営業・購買2名、事務管理3名の編成である。
計画的な設備投資と無人化工場の追求
堅調な企業発展経過を可能にしたのは、第一に、80年以降、計画的に毎年3,000
万円程度の設備投資を継続してきたことにある。30年前からのカム式自動旋盤
(24台)〜、1,000万円を超える「エスコマティック」(12台)、NC複合加工
自動旋盤(22台)など、加工部品の量、形状、素材などに最も適した工作機械設備
をトータルに装備している。
例えば「エスコマティック」の場合、直径0.5ミリまでのコイル材(一般的な自動
旋盤はバー材の加工を前提としている)を加工できるので、月産1,000万個/台の
量産が可能である。
第二に、多種類の工作機械を最高の状態で加工能力を発揮させるためのメンテ
ナンス能力と連続自動生産を可能とする工場環境を整えていることである。例えば、
30年前に導入し償却済みのカム式自動旋盤1台ごとの「クセ」を見極め、5ミクロン
の精度出しを維持している。
第三に、NC自動旋盤を編成することにより、夜間完全無人稼動を可能にしたことで
ある。100台を超える自動旋盤を12名の現場技術者がオペレートしている。最新鋭の
工作機械を装備していても、その能力をフルに引き出し得ない東アジアの工場が多い
状況に対して、当社の競争力が勝っている部分である。
こうして、精密自動旋盤加工に関して東アジア価格競争を制する「超量産」、低価格
で利益を計上できる生産体制を作り上げている。すなわち、諏訪地域から世界市場に
向けて競争力を備え輸出できる生産工場となっているのである。
部品加工業の新たな輸出戦略
機械加工業は、東アジアに進出したセットメーカーの量産組立工場の現地調達要求に
応じざるを得ない。国内生産・輸出による競争力を確立した当社は、新たな輸出戦略
を追求している。
それは「モノづくり工程の最適配置」を求めていくというものである。モノづくりを
「前工程」「中工程」「後工程」の組み合わせとして考える。「前工程」は、営業、
顧客からの発注(設計情報)の受け止め、加工の段取りである。「中工程」は、自動
生産による加工、治工具の開発、設備のメンテナンスである。実際は、この段階で
完全に製品を作り込み、品質を確定してしまう。「後工程」は、検査、測定、検査や
品質保障ドキュメントの作成、再洗浄、パッキング、発送業務である。
従来、工場では「中工程」を直接部門、「前工程」「後工程」を間接部門と考えて
いたが、全体をモノづくりの工程として捉えなおし、工程の最適配置を求めていく
というものである。
当社では、「前工程」の営業、「後工程」のすべてを顧客の生産拠点に近いところに
配置しようとしている。「中工程」は50年間の蓄積により、国際価格競争に勝てる
環境を整えている。そうした生産拠点を作り上げた諏訪本社工場において人手を
かけているのが「後工程」である。
そこで、工作機械による加工は完了しているが、測定、検査、洗浄などが残されて
いる「半成品」「中間製品」を輸出する。東アジアのしかるべき地点に営業、検査、
物流拠点を配置し、測定、検査、洗浄、パッキング工程を施したメイドイン東アジア
の「完成品」として現地の顧客に供給するというものである。
この事業戦略では、工場を建設し生産設備投資と技術教育投資を必要とする「重い」
直接投資をしなくとも東アジア事業に踏み込むことができる。東アジアの現地法人は、
営業、物流機能を備えた測定・検査工場として登録する。測定・検査は全自動の高価
な装置を投入しなくとも、豊富な労働力を活用すれば対応できる。
中国の沿海地域には大量のセットメーカーが進出しており、当社の扱う製品の需要は
膨大に存在している。その中で、香港系、台湾系加工業の優勢な華南地域ではなく、
日系セットメーカーの集中する大連は、当社の最初の海外事業展開にとっては適地で
あろう。中国の国内物流(空輸やトラック輸送)環境は徐々に整備されてきており、
華南地域で生産した部品が上海や大連に供給されていることから、大連から中国全土
に部品供給することも可能である。
日本生産拠点の技術・技能継承
諏訪本社工場の主要機能は自動生産による加工、治工具の開発、設備のメンテ
ナンスである。当社における技能とは、加工図面を見て全体の「段取りを考える」
→「切削工具の製作、加工プログラムの作成」→「NC機による加工」→「機械設備
のメンテナンス」といった一連の工程を一人で担うことができる能力をいう。加工
精度を維持し機械を安定的に24時間稼働させるためには、それぞれの工程で技術・
技能の蓄積が必要である。
切削工具は加工する素材にあわせて刃角度を調整するなど、機械のオペレータが
自分で製作する。素材と機械の相性を考え、無理・無駄のない加工レイアウトや加工
速度などを勘案しNC加工プログラム作成する。それぞれのオペレータの技術・技能
によってプログラムの組み方は異なる。こうした単工程の技術・技能は3〜5年の経験
で蓄積できる。
そして、当社にとって機械を常に最適状態に維持する機械設備メンテナンスの技術、
技能が最も重要である。最新鋭設備を大量に導入した工場は強くみえる。しかし、
「超量産」の世界では、10万個に1個以下の不良をコントロールできるように設備を
安定的に長時間稼働させるメンテナンス能力が重要なのである。機械の安定稼働を
コントロールし、稼働している機械の状態から故障を未然に察知する能力の蓄積・
継承を求めている。それができるのは機械でなく人間である。
当社には最新鋭のNC自動盤とともに伝統的なカム式汎用設備が威力を発揮して
いる。こうした機械設備のメンテナンスと若手社員への技術・技能指導のため、
メーカーを退職された地域在住の熟練技能者に週1回訪問指導を依頼している。
その指導者は地元の工業高校卒業後、セイコーエプソンに勤務し機械加工部門の
職長を勤め退職した。同じくエプソンを定年退職し諏訪市の工業アドバイザーを
務める方より紹介された。モノづくりの現場で実践を重ねてきた人材による指導は、
当社の設備オペレータへの技術・技能継承に大きな効果があるとみている。
工業集積地域には企業を定年退職した熟練技術・技能人材が存在している。
そうした人材と企業の技術・技能継承ニーズのマッチングが重要である。この点、
諏訪地域には「諏訪市工業アドバイザー制度」があり、また「NPO諏訪圏モノづくり
推進機構」が企業のOB人材の技術・技能登録および企業への紹介を行っている。
こうした企業への技術・技能指導者派遣に対する給付金制度は、技術・技能継承
人材の育成と地域内での技術・技能継承を促進するために有効であろう。
技術・技能人材の確保
当社の製造現場人材の平均年齢は29歳と比較的若い。学卒か社会経験のある
中途採用に絞り募集し、ここ数年継続して20歳代の人材を中途採用できている。
ハローワークを通じて、あるいは人材派遣から正社員に採用した人材である。これ
まで何回か高卒新卒者の採用を行ったが職場と本人の職業観のミスマッチが続き
辞めてしまい、また、社会人としての社内教育が負担であるので、現在は高卒新卒
者の募集はしていない。
本来、10歳代の若者の技術・技能の吸収力は高い。地域の工業高校と企業の
密接な関係を再生する必要があると考えている。そのためには、地元企業での半年
〜1年のインターンシップを取り入れた地域教育システムが望まれる。
例えば、スイスのモノづくり人材教育では、高校段階で一定の時間を必要とする
基礎的な技能養成を主軸にした実践専門のコースがある。そうした技能養成
コースに地域の企業がインターンシップなどで参加し、モノづくり地域で人材を
育成する仕組みが望まれる。
工業高等学校の実業教育を4〜5年制にすることや、工業高等専門学校のあり
かたも検討テーマとなろう。
当社のケースから、モノづくり人材の確保、技術・技能の継承は、工業集積地域の
企業と地域産業政策と工業高校教育の「現場」での連携が必要であることがわかる。
厚生労働政策と産業政策と教育政策において、現場に近い産業地域が自主的に
テーマに取り組みやすい制度環境を整え、地域行政と企業の活動を支援する方向
が期待される。
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皆さんのご意見ご感想をお待ちしております。
<o_koyama@hits.or.jp> 小山修 までお寄せください。
次号は3月下旬か4月上旬の発行予定です???(不定期になりゴメンナサイ)



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