☆★☆産業のまちネットワークメールマガジン☆★☆2007-7-19 第32号
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2007-7-19 第32号
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産まち加盟都市の柏崎市で大地震が発生した。テレビでしかその被災状況を知る
ことができないが、工場にも被害が出ていることだろう。大型の精密加工を得意と
する柏崎市。
工作機械の精度出しを全部やり直する必要があるかも知れない。大変なことだ。
被災地のために、我々にできることを考えましょう。
(編集責任者:小山 修)<o_koyama@hits.or.jp>
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★第32号(H19-7-19号)の主な内容
●「柏崎の底力」(小山@日立市)
●産まちフレンドリーレポート「機械工業集積地域のモノづくり人材育成(その2)」
亜細亜大学アジア研究所 准教授 西澤正樹
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●「柏崎の底力」(小山@日立市)
6月1日〜2日 ひたち立志塾メンバーが柏崎工業メッセを訪問した
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まずは今回の震災に対して、心からお見舞いを申し上げます。連日の報道では知り
えない未知の被災状況を考えると、柏崎の産業界の方々の苦闘はいかばかりかと
胸が痛みます。
リケンの工場が稼動できないことから、トヨタも日産も三菱も工場が休業になると
いいます。つまりは理研の協力工場である機械加工屋さんもめっき屋さんも、鋳物
屋さんも、皆、稼動できない状況なのでしょうか。従業員の自宅が損壊した例も
多いと思います。
我々にできること、何でも良いので早い段階に行動に移したいと思いつつも、現地
の混乱を考えると、少し落ち着いた状況になってからかせ良いのかとも。
そんな柏崎地域にエールを送るべく、柏崎に関する記述をさせていただきます。
日立市とひたちなか市の企業を中心に、ひたち立志塾という若手経営者の会が発足
している。経営塾として位置づけてはいるが、それぞれの企業に共通する「人材・
高齢化」「地域・グローバル」「IT・環境・サービス化」の3つの課題の解決策
を議論するとともに、先進事例を調査し、最終的には「この地域の産業をどうする
?」といった高度な内容までを見据え、提言を行おうというものである。
そのメンバーのプレ合宿として、柏崎工業メッセと柏崎市内の工場見学を催行した。
6月1日から2日の1泊2日である。柏崎市は産まちのメンバーでもあり、昨年の5月
には地方開催場所として、30名ほどの産まち関係者を受け入れてもらったのである。
その会議の席上、「来年はメッセがありますので、是非、地域の企業を連れてもう
一度柏崎へ!」とのお誘いを柏崎市の片桐さんからいただき、今回の塾生プレ合宿
となったわけである。
柏崎地域には大型の工作機械による機械加工を主たる業務としている中小企業が
数多く集積している。石油を掘削していたころからの需要で集積したとか、リケン
からの外注ニーズに対応して集積したとか言われているが、とにかく大きなマシニ
ングセンターや五面加工機、旋盤などが多いのである。しかも古い機械も確かにある
のだが、
新鋭設備が必ず設置してことに驚いてしまう。経営者に話を聞くと設備投資意欲が
すこぶる高い。よく「機械が先か、仕事が先か」という議論を聞くが、柏崎では機械
が先である。工作機械の納期が早くて6ヶ月先という現状では当然といえば当然だが、
計画的な設備投資で新規受注を獲得しているようにも見えた。
ただ、大型の機械ばかりなので、その金額は億単位なはず。それをやってのける柏崎
の中小企業の底力には驚かされてしまう。地域の金融機関がうまく連携しているのか。
実態まで聞けなかったが、ある工場ではオークマの工作機械の展示場のように、古い
ものから最新のものまでも機械がズラリと並んでいて圧巻であった。それが殆ど稼動
しているという仕事量にはもっと驚かされた。
よく聞けば、メインの仕事はリケンから外注されている鋳物部品の機械加工だそうで、
それ以外はコマツなどの建機関連、その他に農機などの部品加工を行っているという。
日本の産業界が微細、ダウンサイジングという方向にシフトしている中で、敢えて
中大物機械加工で生きている柏崎の強さの根源は一体どこにあるのか。改めて興味を
抱いた旅であった。塾生も同様な感想を持ったようで、その夜に行われた「産業交流会」
では、柏崎青年工業クラブのメンバーと思い思いに情報交換をしていた。この交流会
も400名というとてつもないスケールで、またしても圧倒されてしまった。聞けば
柏崎商工会議所の方々が全国の会議所等を訪問し、来場をお願いして歩いたというの
で、またまた「やられた」と思った。
とにかく「熱い想いを感じる柏崎」である。メッセ実行委員会の西川会長、青年工業
クラブの山田会長、会議所の柳さん、市役所の片桐さん、みんな話し出すと熱い人
ばかり。そしてそれぞれに連携が取れていて、見ていても気持ちが良い。
まったく抽象的なことで申し訳ないが、これが柏崎の強さと見た。地域を熱く語れる、
そして地域を良くしようといつも考えている。他地域からの来客をいつでも歓迎する。
そうしたことを1人でなく、仲間との共感をベースに進めていることが、柏崎の光る点
と感じた。
今回、不幸な震災に見舞われているが、柏崎の方々なら必ず早期に復興すると
信じている。あのネットワークの強さ、地域を想う心が復興の原動力となるはずである。
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●産まちフレンドリーレポート「機械工業集積地域のモノづくり人材育成(その2)」
〜北海道 室蘭地域(前半)
亜細亜大学アジア研究所 准教授 西澤正樹
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2.北海道 室蘭地域
(1)「技術を駆使する技能」の継承 〜(有)北海道機械メンテナンス〜
【キーセンテンス】
・地域内の転職者やUターンを希望する30代のモノづくり経験者の採用により、
技能継承人材は確保できる。
・高校新卒者は専門技術・技能経験者の競争的職場のなかで、経験蓄積のための
数年間に耐えることができず辞めてしまうので期待しない。
・専門技術・技能の幅を拡げようとする30〜40歳代の社員同士が社内で自主的な
勉強会を主催し、お互いの知識、経験を共有し合っている。
・大手企業を退職した熟練技能者や大学の専門家から、社内勉強会や製造現場で
テンポラリーにアドバイスを受ける仕組みを期待している。
北海道機械メンテナンスの前身は、1989年に日本製鋼所を退職した現代表者が
開業した大型機械設備の修理、組立、据え付けを行う個人事業所である。91年に
法人化し「機械設備のホームドクター」として、主に北海道内の大型機械設備の
メンテナンス、改造、組立、据え付け工事を受注している。現在、従業員は12名。
事務職1名を除き代表者以下、全員が機械加工、溶接、塗装、組立、検査などの
技術・技能を身に付けた人材である。
設備メンテナンス技術の提供
当社代表者は日本製鋼所の技術者養成校にて3年間の高度な技術知識の習得、
技能実習を修了し、日本製鋼所室蘭製作所機械部門に配属された。社内の大型
工作機械のメンテナンス、据え付け、定期的な精度出し、数値制御や専用機への
改造などの監督職を勤めていた。長い「鉄冷え」の時代が続くなかで機械部門の
分社化が図られた。「日本製鋼所に入社したので別会社になるのなら退職しよう」
と決意し24年間勤務した職場を辞した。
退職後、鉄の世界から離れようとも考えたが、氏の業務実績を知る企業から
機械の修理、大型設備機械の組立、据え付けなどの依頼が寄せられたことから、
人員削減に迫られている、あるいは失職中のモノづくり経験者を募り設備メンテ
ナンス・サービス業をはじめた。
室蘭市には新日鉄、日本製鋼所、三菱製鋼室蘭特殊鋼など製鉄・製鋼メーカー
立が地し、その関連企業も多い。また道内には日本製紙(苫小牧)、大昭和製紙
(白老)、北海道糖業、ホクレン、ホクビー、わかさいも本舗、北海道電力など
大型の設備機械を備える工場、プラントがある。
こうした工場やプラントに設置された機械設備は定期的に補修する必要があり、
また、突然の故障に迅速な対応が求められる。大型の機械設備は工場建設の際に
搬出することは前提にしていない。また、設備の連続稼働を追求していること
から、メンテナンス・修理のために設備を長時間止めること、分解して工場建屋
から搬出することは難しい。現場で不具合を判断し修理方法を決め、場合によって
は修理に必要な専用機械を製作しなければならない。
例えば、火力発電所プラントの摩耗した歯車を補修する仕事では、発電設備
メーカーは歯車をはずして再生する、あるいは新品に交換するという方針を示し
費用は数億円かかるというものであった。これに対し当社は設備に歯車を付けた
まま、現場で研磨修理するNC加工機械を製作し補修費用の大幅圧縮を可能にした。
補修を必要とする機械設備の現場での修理メンテナンスは、大手メーカーの社内
部門が担っているのが一般的だが、JFEメカニカル(福山)など修理メンテ
ナンスを専業とする企業も存在する。しかし、修理メンテナンスの現場で使う専用
機械まで製作するのは当社以外にはないとされる。
機械設備の修理メンテナンス専業で優位性を維持するためには、第一に、対象
設備の状態を診断し修理が可能か、可能であればどのような方法で行うか、時間と
経費はどの程度必要かといったことを即断する総合的な判断力が求められる。
顧客は少しでも早く設備を再稼働させたいのであり「社に持ち帰って技術的な検討
をしてから・・」などといった対応では信頼を獲得できない。
第二に、一旦「できる」と引き受けた以上、失敗は致命的である。顧客は「製品
(新しい設備)」を期待しているのではなく、純粋に設備メンテナンスの「技術・
技能」に対価を支払うのであり、修理が不首尾に終わればメンテナンス業としての
技術信用は失墜する。毎回異なる修理内容と設備再稼働までのスピード要求に確実
に応え続けていくためには、社内スタッフが設計〜加工〜組立までの技術・技能
分野のベテランであること、社内でカバーできない技術・技能分野については、
どこの企業にどんな機械があり誰が有能なのかを把握し、いざというときには協力
を得られるネットワークを維持していることが必要である。この点、代表者の日本
製鋼所における24年間の業務経験の蓄積が十分に活かされている。
「技術を駆使する技能」の蓄積
こうした機械設備のメンテナンスや修理は、新しい機械設備を設計・製造する
技術・技能と異なる技量が求められる。メンテナンスや修理は、繰り返し生産を
前提とする新製品開発・製造の対局にある究極の「一品受注」の仕事である。
例えば、研削加工という切削技術・技能を駆使する場合、新製品の量産部品は
部品図をもとに加工データを入力すれば多くの作業は工作機械で処理できる。
しかし、メンテナンスや修理の場合、補修に必要な部品を研削する際に部品図も
ないところから1点の部品を創りだすことになる。さらに、修理すべき部品を
工作機械にセットできず機械設備に組み込まれたまま作業しなければならないと
いった環境下では、作業者は自身が保有する専門技術をすべて投入し一点一点の
部品ごとに加工法の選択を迫られる。こうした作業の繰り返しは一種の技能蓄積
の過程である。「技術を駆使する技能」の蓄積といってもよい。
研削加工といった単加工の技能蓄積は、汎用研削盤を長年使い込むことにより
可能である。NC研削盤を使いこなす場合も、研削加工のプログラミング技術を
繰り返すことによって、NC研削加工の技能蓄積が可能である。単加工の技能は
工作機械の「使いこなし」により蓄積される。
しかし「技術を駆使する技能」は、一品受注が常態化し、工場外の修理の
「現場」での作業が要求されるなど通常の加工作業と異なる環境下での作業、
すなわち通常の加工環境からはずれた異常な加工環境への対応によって蓄積され
る。専門加工技術を身に付け、工作機械を「使いこなす」ことができる人材が
「技術を駆使する技能」を蓄積していくのである。
当社の優位性の源泉である「技術を駆使する技能人材」を、どのように確保して
いるのかみてみよう。創業当初の8名は、代表者の知人およびハローワークで募集
した「モノづくりが好き」な経験者である。現在の編成は技術職11名。それぞれ、
機械設計、各種機械加工、機械組立・据え付けなどの専門技術を身に付けている
中途採用者である。今期は室蘭市の主催する「Uターンフェア」を通じて室蘭工業
大学出身の制御技術、設備組立のできる30歳代の人材を採用できた。
これまで工業高校新卒を2回採用したが1週間から1ヵ月で辞めてしまったこと
から、当面、新卒人材には期待しないとしている。今後の受注動向に応じて若手で
モノづくり経験のある転職者を求め、30歳代の社員のもとに補充する考えである。
技術・技能の評価と処遇
当社は必要とする技術・技能を「機械設計」「制御設計」「加工前のケガキ」「機械
加工」「溶接」「塗装」「設備組立」「検査測定」「見積」「顧客交渉」の10分野に
分類している。社員はこのうち、ひとつ以上の分野のスペシャリストであり、さらに
最低3つの分野を修得することが求められている。各分野のスペシャリストが
「実際にできるかどうか」を見極め、直属の上司が「努力姿勢」をそれぞれ10
ポイント制で評価し、企業利益から「協力金」として支給している。
現在、当社の技術・技能課題は「制御設計」と「溶接」である。前者は苫小牧の
専業企業、後者は溶接に専門特化している企業に外注しているが、今後、社内人材
の「マルチ・スキル」によって内製化を図る構えである。
モノづくり技能の地域内継承
現在、室蘭地域のモノづくり技能人材は、50歳代中盤から60歳代中盤の団塊の
世代が中核を占めており、企業に勤める人材は退職しつつある。あと10数年で
「昔のベテラン」が一線から引退する。当社では30歳代前半の経験者の中途採用
に努め、ベテランからの技能継承と社員同士の異なる技術継承に取り組んでいる。
当社の取り組みから、モノづくり技能の地域内継承には2つの方向が見いだせる。
一つは「世代間の垂直的技能継承」である。社外の50〜60歳代のベテラン技能者
から、30〜40歳代への技能継承を求める方向だ。一つは「世代間の水平的技能
継承」である。社内の30〜40歳代の技能人材同士で技能を継承しあい、それぞれ
が「マルチ・スキル」を身に付ける方向だ。
「世代間の垂直的技能継承」については、技能の「受け手」として30〜40歳代
の経験者に期待を寄せている。技能の「授け手」は、日本製鋼所で40年以上勤務
した退職者(代表者のかつての職場の先輩)や、新日鐵室蘭から分社した機械
加工会社や制御設計会社を退職した人材である。
そうした退職したモノづくり人材が、すべて技能の「授け手」としての能力が
あるわけではない。本当の熟練技能を身に付けた人材、他人に教えることのできる
人材は少ない。これまで3交代勤務を続け定年を迎えたことを契機にモノづくり
への気力が弱まり、モノづくりから離れて自分の世界を歩みたいとする人材も
多い。しかし、室蘭地域には技能継承の「授け手」は確実に存在している。氏は
自身の蓄積した技術・技能を客観的に認識して、それを次世代に継承したいと考え
ている人材は5%程度存在するとみている。
「世代間の水平的技能継承」については、自身の専門技能の幅を拡げたい社員
同士が就業時間を終えたあと勉強会を主催し、お互いの知識、経験を共有する取り
組みを行っている。設備メンテナンスは機械工業に関する技術・技能のすべてに
通暁することが理想型である。個人ですべての技術・技能に熟練することはでき
ない。しかし、その理想に向けて自身の技術・技能の幅を拡げ高めたいとする
意欲が、異なる技術・技能に関心のある社員同士の「教え合い」を契機として
自主的な社内勉強会の開催となった。現在、技術職社員全員が参加している。
中小企業の場合、社内人材によるマンツーマンのOJTで技術・技能継承を図る
ような企業研修は、熟練技術・技能者の現場戦力を削ぐことになるので現実的では
ない。当社では就業時間後に50歳代の熟練人材が機械設計、機械加工について
レクチャーしているほか、社員同士が自身の培った機械加工、溶接、組立などの
技術・技能に関わる図面の読み方、工具の名称や用途、測定の方法、経験に
基づいたノウハウを発表し、お互いに学び合っている。
技術・技能の継承は、現場での実践とともに基本的な理論を理解することが必要
である。この点、企業を退職した技術専門職や室蘭工業大学の教員から、社内勉強
会や製造現場で個別の技術課題についてテンポラリーにアドバイスを受ける仕組み
が求められている。専門家のアドバイスには正当な指導料を提供し、ボランティア
に期待してはならない。地域の産業支援機関(室蘭テクノセンター)が実施機関と
なり、大学(室蘭工業大学)、ハローワーク、シルバー人材センターとの連携により、
企業の現場が求めている技術・技能テーマに応じた専門家を探し出し、企業に派遣
する助成制度の普及が望まれる。
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皆さんのご意見ご感想をお待ちしております。
<o_koyama@hits.or.jp> 小山修 までお寄せください。
次号は8月下旬の発行予定です???(不定期になりゴメンナサイ)


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