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2004/09/19

風を集めて─うつわ屋さんのメールマガジン─2004年9月19日 写真

 風を集めて

     ─うつわ屋さんのメールマガジン─

           2004年9月19日  


            写真
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土門拳という写真家がいる
仏像や社寺 人物 報道なども手がける写真家である
初めて彼の写真を見たのは 何時だったろうか
初めて見た写真は どんなものだったろうか

奈良の法隆寺・中宮寺という寺が 私は好きだった
法隆寺・中宮寺のことが載っている本を いくつか探しているときに
彼の写真と 初めて出会ったのだと思う
中宮寺の弥勒菩薩像を写した写真だった

美術書や観光案内 絵葉書などでも
なんどもなんども見ていた弥勒さまだった
私自身も中宮寺に足を運んで 
それこそ半日くらい 飽きることなく見つめてきた弥勒さまだった
けれど 彼の写し取った写真は 
他の本に載っているものでもなく 私が見つめてきたものでもない
土門拳が出会った弥勒菩薩像として存在していた
これは すごいことだなと思った

それまでの私は 写真というものは記録的な媒体であって
それを芸術へと高めていくのは難しいだろうなぁと思っていた
写真は語らないものだと思っていた

私たちは 目を通して入ってくる情報は
みんながみんな 同じものだと思い込んでいる
ひとつの場所を見たときに 10人いれば10人とも
同じものを見ているものだと そう信じて疑うことがない

けれど そうではなかった
印画紙のなかに 彼が切り取った空間 時間は存在していたのである
写真を撮った人の思いを そのなかに秘めていたのである
写真は雄弁に語っていたのである



一枚の写真からも
それを作り出した人の姿が見えてくる
だとすれば ひとつの器からも
それを作った人の姿が見えているのだろう

私は 土門拳のように
真摯に器と向きあっているだろうか
まっすぐに気持ちを向けているだろうか

彼の写真を見ながら 時々 軌道修正させてもらっている



  




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