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「絵画鑑賞の本質は、その自由性にある」とむかしの人は言ったそうです。好きな絵を好きなように面白くみることを目指して、古今東西の絵画を紹介しています。このメルマガを読んで、あなたが素敵な絵に出会っていただければさいわいです。

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2009/05/30

絵のない画集 第436回 熊谷守一 岩殿山

 絵のない画集 第436回 2009年5月30日号

 弊メルマガは、さまざまな絵画を紹介していますが、
 その意図するところは(不遜を承知で言えば)、敬愛
 する絵の宣伝であります。宣伝文、コピーのつもりで
 す。でも、商業的効果は意図していないので、作者を
 はじめとして、絵画の諸権利に関わるみなさんには、
 ほとんど役に立たないと言ってもいいかと思います。
 ただ、少しでも多くの方々に絵を知ってもらって、好
 きな絵ができるだけ、永く多くの機会に見られること
 に役立てれば、と思っています。


  さて、今回の作品は・・・
 ────────────────────────
    熊谷守一 岩殿山
 ────────────────────────

  真中あたりの茶色の山形が、題名の山なのかな。
 緑の林をみぎひだりにかき分けて、その間に見えてい
 る。林の緑色は、左右で少し違っている。
  その下は、赤茶色の斜面が横たわっていて、さらに
 その手前は、茶色の岩がごろごろ。
  そのまた手前には谷川の流れだろうか、うすい空色。
 山の上の空と同じ色だ。

  川のまわりの岩の形をした青い色は、なんだろう、
 やっぱり岩かな。一番近くに在ってよく見えるから、
 流れの水の色やまわりの木立の色を映し込んで、青い
 のかな。
  それにしても、左側にそびえる大きな岩まで青いの
 は、どうしてか。下の方の岩よりも少し青い。でも、
 明るい青なので軽さがある。形は重たそうな大岩の形
 なのに。

  そんな青色の理由を考えながら、絵を見るが、すぐ
 にそれが無駄なことだとわかる。
  そんなことはどうでもいい、と呟く。
  それは、山や岩の輪郭線が、どうしてえび茶色なの
 か、と問うのも同じことだ。

  この山を見たことのある人が、まわりの林や岩の位
 置や形を絵と比べて思い出すのはもちろんいいことだ。
 この山を知らない人は、描かれた色の形と配置を味わ
 えばいい。色を区切る輪郭線をたどるのもいい。
  いろいろな色や形と大きさの変化を目で追うだけで
 楽しめる。
  それらの色と形を視線で追って輪郭にそって切りだ
 してみよう。ジグソーパズルの一片のように。
  それを画面から持ち上げて耳のそばに持ってくると、
 そこから音が聞えてくる。
  薄い青色からは、せせらぎや水のとどろく音。
  岩の形からは、そのうえを飛んで渡る鳥の鳴き声だ。
  山の形からは、その峰を吹き渡る風の音。

  この絵は、そういうふうにできている。

      * * *

 1960年作
 京都国立近代美術館所蔵
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=156199&edaban=1
 *無料で提示しているとはいえ、この写真はちょっと
 よくないです。名札と上下指示の矢印が無神経ではないですか。


 熊谷守一(くまがい もりかず)
 1880年生、1977年没

 ──────────────────────────

 次回は、

  『江見絹子 作品 R』

 を予定しています。

  ─────────────────────────── 

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
 読者のみなさんの存在が、なによりの励みです。
 これからもよろしくお願いいたします。

 お好きな絵や、面白いと思われる絵などありましたら、
 こちらから、お知らせ下さい。
http://form.mag2.com/thaitraete

 よろしければ取りあげさせていただこうと思います。

  
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