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2009/05/15

絵のない画集 第433回 ミロ 絵画

 絵のない画集 第433回 2009年5月15日号

  春過ぎて夏来たるらし、という季節になりました。
 さわやかな風に目を上げると、街路樹の若葉が生き生
 きとした緑を見せています。その美しさは葉の色だけ
 ではありません。幹や枝の黒々とした色との対比が、
 葉の明るさを引きたてているのです。葉のない時は、
 さむざむと乾いて見えていた樹幹がみずみずしい命に
 あふれて、よろこんでいるようです。


  さて、今回の作品は・・・
 ────────────────────────
     ミロ 絵画
 ────────────────────────

  
  洞窟の奥の岩壁に、壁画を発見した考古学者(老男)
 とその助手(若い女性)の対話。


  これは埋没した古い都市の壁だ。鋼で出来ている。
 鋼の上に、スプレーで描いた黒い線。焼きついたように、
 色も形も、いい保存状態だ。
  絵柄は、おさない少女が棒で星型のなにかをぶったら、
 その棒が曲がってしまった・・・というような。

  なにかの寓意でしょうか。
  たとえば、ここではゴルフが盛んで、みんながみんな、
 年がら年中、ゴルフばかりして、ところ構わず、タマを
 ひっぱたくので、それがお互いに当たって、どんどん人
 が死んで、そのあげくに全員が死に絶えた、とか・・・
  曲がった棒は、ゴルフへの呪詛の象徴。

  ハッハ、ゴルフ嫌いのきみが考えそうなことだね。
  この都市の滅亡を記録したもの、というわけだ。
  ぼくは、それよりも、これは都市の創造伝説の記録と
 見たい。
  ここの人々にとっては、この都市が全世界だっただろ
 うから、創世記と言ってもいいかも知れないが。

  幼い少女が創造主で、曲がったゴルフのクラブをふるっ
 て世界を作った、ということですか。

  もうすこし他の絵を見てみないと全体のストーリは、
 明確にならないが、この絵の黒く縁取られた赤い大きな
 円盤は太陽か、それとも、人間の体を流れる血潮・・・
  初めに血ありき、といったところかな。
  それにしても、この円盤の色を見て気がついたのだが、
 きみの目もまっかだね、ウサギの目のようだ。

  ここへ来るまでの不眠不休のはたらきのせいですよ。
  わたしもいま気がついたのですが、あなたの鼻の穴は、
 ここにある黒い丸のように、真っ黒ですよ。洞窟のスス
 をいっぱい吸いこんで。

    *  *  *

 1953年作
 国立西洋美術館所蔵
http://www.nmwa.go.jp/jp/collection/1965-0011.html

 ジョアン・ミロ(Joan Miro)
 1893年生、1983年没

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 次回は、

 『桂ゆき(ユキ子) ゴンベとカラス』

 を予定しています。

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