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2009/04/25

絵のない画集 第429回 元永定正 作品

 絵のない画集 第429回  2009年4月25日号

 先回の絵も今回も題名は「作品」です。あってもなくても
 いいような題名ですが、考えてみれば、むかしの絵画には
 題名はなく、後世の人が便利のため付けたものだったので
 しょうが、今では絵に題名があるのはあたりまえで、作者
 に命名が要求されるようです。見る方は題名を読んだだけ
 で「絵がわかった」ような気になることもあり、作者はそ
 れでは困る、題名から絵に対して先入観や思い込みを持た
 れるのはいやだな、ということで「作品」とか「無題」と
 か、とにかくなにか付けておこう、ということなのでしょ
 うか。

   さて、今回の作品は・・・
 ──────────────────────── 
    元永定正 作品
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  出会いのたいせつさについて考えたい。

  この絵のことですか。

  そうです、大きな白と棒状の赤が接触しています。その
 出会いです。

  白の領域にも赤にも、触れあったところには、黒い塊が
 あります。なにか、頭部を思わせる・・・

  でも、それをひととひとの出会いにたとえてはいけない。
  あるいは白い塊を愛玩動物にたとえて、赤いひとの足元
 にすり寄っているところ、と見るのもどうかと思います。

  そんな人間的な見方は、矮小だと言うのでしょうか・・・

  出会いのたいせつさ、というとき、そこには恋物語や物
 欲、金銭欲を思わせる、ひととひととの出来事を思いがち
 ですが、それは忘れたいのです。
  出会いのたいせつさとか、うつくしさを考えるときには、
 無機質なものこそ、ふさわしいでしょう、無味乾燥なAと
 Bとの出会いとか、線と面との出会いとか・・・

  しかし、この絵は無機質というよりも有機質、どろどろ
 した・・・ああ、ちょうど、白い卵子と赤い精子の出会い。

  すなわち受精の瞬間、と言われますか。しかし、やはり
 そうなると、そこにいたるまでのひとびとの行動だとか、
 受精の結果として生成されるであろうひとの姿形、才能や
 運命などと、つまらないことを考えてしまうでしょう。
  そういうことをすべて捨て去って、いのちなどのことも
 忘れて、宇宙的受胎を考えられればいいが、それはかなり
 むずかしい。
  あたまがいたくなりそうです。
  絵を見て頭痛になるのでは、どうかと思います。それが
 楽しい、そういう鑑賞の仕方が好きだ、というひともいる
 かも知れませんが。

  それなら、ひとのあたまの中では、どうですか。

  白い脳細胞と赤い脳細胞の間の接触による電気信号のや
 りとり、ですね。

  脳細胞間の発火こそ、ひとの創造のみなもと、美しい絵
 も、画家のあたまの中の幾百千万の発火のたまものだと、
 見るのです。

  そうして生み出された絵を見るひとの頭のなかでは、や
 はり、この絵のような、出会いによる発火が生まれている
 わけですね。

      *  *  *

 1961年作
 東京国立近代美術館所蔵
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=4490&edaban=1

 元永定正 (もとなが さだまさ)
 1922年生

────────────────────────── 

  次回は、

 『斎藤義重 作品2』

  を予定しています。 

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