2009/03/25
絵のない画集 第423回 マネ 黒い帽子のベルト・モリゾ
絵のない画集 第423回 2009年3月25日号 「マネがモネの真似をしたのではなく、モネがマネの 真似をした」とよく言われます(もちろんウソです) が、モネはマネの8歳年下でマネの絵に刺激と影響を 受けて大いに敬愛していました。モネは絵の売れない 頃にはマネに経済的に助けられた、ということがあっ たそうです。 さて、今回の作品は・・・ ──────────────────────── マネ 黒い帽子のベルト・モリゾ ──────────────────────── ざっくばらんと、かたくるしいとも言える印象が、 玉虫色に交錯して見える。 髪の毛は急いでまとめたようで、顔の横に、はみ出 ているし、黒い服の胸もとが開いて白いブラウスがの ぞいている。 なにか近所に買い物に出かけるところ、という風に 見える一方、心を決めて画家のまえにモデルとして、 立っているようにも見える。 黒い帽子は高々と頭にのっていて、その結び帯だろ うか、首に巻かれて頭の後ろに垂れて見えるのは。 うわくちびるには、かすかなけだるさがうかがえる が、まっすぐな鼻筋は堅固な意志と鋭い理知を見せて いる。 こちらを見つめる眼差しの真剣さには、静かな衝撃 を受ける。若い女性の持つさまざまな訴えのきもちを 感じるが、何一つ具体的にこたえてやれないのが、も どかしい。 せめて、言ってあげようか・・・ 「きみの目はとてもきれいだ」と。 すると彼女はこう言うだろう、 「不美人だと思うと、ひとはいつも言うのね、 君は髪がきれいだ、とか、目が美しいって」 この絵の題は、手元の画集では「黒い帽子の・・・」 となっていますが、現在この絵を所蔵しているオルセー 美術館のホームページでは「スミレの花束を持つベルト・ モリゾ」となっています。 そこで、どこにスミレの花があるのか、と見ると、 胸もとにシャツの白さと見まがうように、うすむらさき 色の筆触がある。それが、そうだろうか。 背景が、白いカーテンの明るい窓になっているので、 花の葉や茎が見えるはずだが、服の黒さにまぎれて確認 できません。 黒といっても全部が同じ黒色ではありません。帽子の 黒は紫色をおびていますし、目の虹彩には緑色がまじっ ているようです。 画家の黒色への偏愛は、背景のあかるさのために一層 きわだって、美しい効果を上げています。 * * * 1872年作 オルセー美術館所蔵 "Berthe Morisot au bouquet de violettes" http://tinyurl.com/cutesl エドゥアール・マネ(Edouard Manet) 1832年生、1883年没 ────────────────────────── 次回は、 『ファンタン・ラトゥール バティニョールのアトリエ』 を予定しています。 ─────────────────────────── 絵のない画集は、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ から 発行しています。 購読の解除は、 http://www.mag2.com/m/0000108215.htm または、 http://hw001.gate01.com/kko-ran/enonai/ から、お願いします。 -----------------------------


