2008/11/15
絵のない画集 第398回 ピエロ・ディ・コジモ 森の火事
絵のない画集 第398回 2008年11月15日号 雑誌ビッグイシューは、街角で見かけたときに買ってい ます(本屋では売っていません)が、最新106号の特集 は「森、未来をつくる人々」です。読んで初めて知ったの ですが、日本は国土の7割が森林なのに、木材の自給率は 2割。一方、世界の材木供給の3分の2は欧米先進国、だ そうです ・・・食料の自給率が4割未満で、その主たる 供給元がアメリカ、というのと類似の産業構造ですか。 さて、今回の作品は・・・ ──────────────────────── ピエロ・ディ・コジモ 森の火事 ──────────────────────── だれかわるいヤツが故意に火をつけたのか、それとも、 たき火の始末忘れだろうか。人為的な原因ではなく、風に 揺すられた木の幹がこすれ合って、火がおこったのかも知 れない。原因究明は専門家に任せよう。 とにかく、森が燃えている。真昼の空の下、木立の中を 赤い炎が照らしている。 動物たちが煙にいぶり出されて、ぞろぞろと逃げていく。 根元が曲がった大きな木のそばで茶色の雄牛が、おーい 逃げるぞう、ついて来いよう、と言っているかと思うと、 その前を雌ライオンがのそりのそり、ヤレ面倒なこってす わ、といいながら、歩いている。 雄ライオンはどこ、とさがすと、左の方の離れたところ にいて、ちょうど土手に這い上がってきた灰色熊と顔をあ わせて、およよっ、と首をすくめている。灰色熊は小熊を 引き連れて、ヨッコイショとやって来たところ。 燃えている森のまわりの野原は、緑の絨毯を敷いたよう にきれいで、そこでは牧童が杖を振り上げて牛を一所懸命 に追いやっている。 雄ライオンの向こうを歩いているのは、バクだろうか、 野豚だろうか、白いからだに黒い腹帯模様。この頭はよく 見えないが、人間の顔がはめ込まれているように見える。 錯視かも知れないが、おもしろい。しかし、そればかりを 追求してもしかたない。 左はしの木の枝では、大きな鳥が羽をひろげて、自己の 存在を主張している。 森の火事にたいして、四つ足動物はおおむね取り乱した ところはないが、迷惑千万だといってあせっているのは、 鳥たちだ。 羽を休める枝がなくなる、そのまま、枝の上で焼き鳥に なるのは勘弁してくれ、と、立ち上る黒い煙に追われて、 逃げまどっている。 右の方向に飛んでいる鳥は、まるで浜千鳥のようなシル エット。炎や煙に巻き込まれそうな鳥は、怪獣ラドンを思 いおこさせる。 もっと面白いのが、雄牛の上を飛んでいる砲弾の形をし た茶色のヤツ。まるでこいつは、あの幻の動物、ツチノコ ではないか。 森で、火事や地震などの異変が起こると、こんなにいろ いろな動物が出てきて、さまざまな様子が見られる。だか らといって、森を燃やしてはいけない。 この森は、一群の木立が焼けてしまうまで、火が消える ことはないだろう。 隣の林に燃え移らないことを祈るばかりだ。 * * * 1846年作 オックスフォード大学アシュモール美術館所蔵 "The Forest Fire" http://tinyurl.com/6pzqkk ピエロ・ディ・コジモ( Piero di Cosimo) 1461年生、1522年没 前振りの続きですが、日本では林業に従事するひとが 少なくて、木を伐り出せない、ということでしょう。 一方、外国では伐り過ぎて禿げ山化が問題となってい るところもある・・・そこで地球全体で、Co2対策の かなめとなる森林再生をめざす動きが起きているのです: "more Trees" http://www.more-trees.org/ ビッグイシューのHP http://www.bigissue.jp/index.html ────────────────────────── 次回は、 『曽我蕭白 石橋図』 を予定しています。 ─────────────────────────── 絵のない画集は、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ から 発行しています。 購読の解除と登録は、 http://www.mag2.com/m/0000108215.htm または、 http://hw001.gate01.com/kko-ran/enonai/ から、どうぞ。 -----------------------------


