2008/10/05
絵のない画集 第390回 ピーテル・ブリューゲル(父) 二匹の猿
絵のない画集 第390回 2008年10月5日号 地球温暖化のせいでしょうか、今年は四季の移ろい方に 変異を感じます。夏から秋に襲来する台風が、通り過ぎた あとには、空気が入れ替わったような晴天がやってきて、 台風ごとに、その空の下の温度と湿度が下がり、ある回数 を過ぎると、本当の秋の訪れがあったのでした。でも、今 年は秋らしい秋への変化の時がない、このままダラダラと 冬になだれ込んでいくのでしょうか。なんだか、さびしい 気がします。 さて、今回の作品は・・・ ──────────────────────── ピーテル・ブリューゲル(父) 二匹の猿 ──────────────────────── アーチ型の出窓の内側に、二匹の猿が鎖でつながれて います。一匹は下向きの目つきでこちらを向いています。 もう一匹は、背を丸めて横向きで顔は見えません。 出窓の床に長く伸びた尻尾のまわりには、食べ終わっ たクルミの殻が転がっています。 窓の下は海が広がっていて、その向こうには遠く港の 町が見えます。 猿の名は、トミーとメーセーといいます。 窓の下の左右に二匹の猿が鎮座したマスコットマーク が目印の、コンピュータソフト会社の会長と副会長だっ たのです。 (どっちがトミーでどっちがメーセーだか、それはわか りません) あーあ、とうとうこんなになっちゃったよ。しかし、 まぁ、この状況はわれわれにふさわしいかも。窓際に 並んでいるとちょうど、会社のマスコットマークと同 じになる。これは当局のイキなハカライという奴かね。 それとも、ぼくたちに対する当てつけ、イヤミかも。 ああ、アントワープがあんなに遠くだ。 あの町は昨日まで、ぼくらの天下だったのに・・・ 裁判で有罪判決をもらっちゃったから、即座にこん なところにつながれて・・・トホホ。 なんでもかんでも、うちのオペレーティングシステ ムのせいにしやがって。株の暴落の金融問題も、夏に 雪が降る異常気象も、頻発する列車の事故も、はては パチンコ台の故障まで。全部、うちのOS、モンキー ウインドーズ・オペレーティングシステム、略して、 MWOSのせいだ、訴えられた。 コンピュータソフトにバグはつきもの、どんな事故 が怒っても知りません、使うヤツの責任だって、ちゃ んと説明書に書いてあるのに。 政治家や官僚、大富豪や株屋、今のトラブルは全部、 彼らのせいなのに、すべてをMWOSのバグに押しつ けやがった。だれ一人、ぼくらの味方はいない。 でも、ことば通り全てのシステムと名の付くものに、 MWOSがのったのだから、風当たりも強いわけ。 何ごとによらず、制覇というのは考え物だね。征服 と繁栄の次に来るのは、崩壊と滅亡・・・これが世の ことわり、というもの。 しかし、世の中がコンピュータに頼る限り、OSは 不可欠だから、ぼくたちも再度挑戦といこうじゃない か、ひとの噂も何とやら、MWOSも、忘れてくれる だろう、そんなに先でなく。 いいね、その心意気。 まず手始めにわれわれの名前を変えようじゃないか。 トミー&メーセーはここで葬って、ゲーツ&ジョブ スとか、タロー&イチローとか。 ジュン・イチローは、どうかね。 いや、その名前ではもう、ごまかせないよ。 * * * 1562年頃の作 ベルリン国立博物館・絵画館所蔵 "Zwei Affen" http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Pieter_Bruegel_d._%C3%84._095.jpg ピーテル・ブリューゲル(父)(Pieter Bruegel the Elder) 1525〜30年頃生、1569年9月9日没 ────────────────────────── 次回は、 『ヤン・ブリューゲル エデンの園』 を予定しています。 ─────────────────────────── 絵のない画集は、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ から 発行しています。 購読の解除と登録は、 http://www.mag2.com/m/0000108215.htm または、 http://hw001.gate01.com/kko-ran/enonai/ から、どうぞ。 -----------------------------


