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日本再発見!チョイト小粋なダイジェスト落語と江戸のオモシロいお話しを雑談ふうに語ります。

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2009/09/29

「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●試し酒

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━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━

 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」

 平成弐拾壱己丑年長月弐拾玖日 其の弐佰玖拾漆號 (2009/09/29 No297)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━

 酒は百薬の長とやら
  楽しく美味しいお酒を呑みたいものです

●試し酒

近江屋「旦那様、今日は。」
大旦那「おお、近江屋さんか、良い所へ来てくれた。実は、今朝っから呑み
   たいなと思っていたんだが、私一人で、昼間っから呑む訳にもいかな
   い。誰か来ないかなと思っていたところなんだ。もう体の方は良いん
   だろう?つき合っておくれよ。」
近「私、これからまだ回る所もございますし、表に人を待たせてありますの
 で・・・あ、この連れ、家の下男なんでございますが、たいそう酒が強う
 ございましてな、この間、私の床上げをいたしまして、店の者に無礼講で
 呑ませました。後でちょいと用があるので呼んだところ、ちっとも酔って
 いる様子がございません。後で女中に、あの男は呑まなかったのかと聞き
 ましたら、とんでもございません、呑むは呑むは、あんなに強い人はござ
 いません。何でも一時に、五升は呑んだのではないかと。」
大「そりゃ大げさじゃないかい。一時に五升の酒を呑める訳がない。」
近「いえ、あの男なら呑みます。」

大「そりゃ面白い。こっちへ上がってもらって。近江屋さん、あの人かい?」
近「そんな所へ立っていないで、挨拶をしなさい。」
久蔵「初めまして。うちの旦様から、おめぇらの事はよーく聞くだよ。」
近「なんだ、おめぇらてのがあるか。こう言う男でございまして・・・」
大「お前さん、名前は何てんだい?久蔵さんか、お前さん、お酒が好きだそ
 うだな。一時に五升呑むってぇが、本当かい?」
久「五升、五升ってぇと、どんな五升だ?はぁ、オラ、酒なんて量って呑ん
 だ事ねぇからなぁ。どの位呑めるかわからねぇ。」

大「じゃこれから、お前さんにご馳走しましょう。五升呑み干したら、小遣
 いをやろうじゃないか。」
久「酒呑ましてもらって、その上、小遣ぇくれるかね。」
大「じゃ、もし、お前さんが五升呑めなかったら、どうする。」
近「では、その時は、私が旦那様を料理屋へご招待と言う事に。」
久「ちょっくら待ってくんろ。オラが五升っちゅう酒呑めなければ、オラが
 の旦様が、あちらの旦様連れて、何か食わせるか?こらいかねぇな・・・
 旦様、オラ、ちょっくら表へ行って考えて来る・・・」

大「ハハハ、近江屋さん、これは私の勝ちだな。お前さんが散財をすると聞
 いたら、顔色を変えて、表へ出ちまったよ。支度だけはしておこう。おや、
 帰って来たようだな。どうしたい?」
久「呑ましてもらうべぇ。小さいもんじゃ面倒臭いから、大きなモンで呑ま
 せてもれぇてぇ。あの、たらいかなんかで。」
大「たらいで呑むヤツがあるか。この盃でやっておくれ、五杯呑むんだ。」
久「酌してくれるかねぇ、ありがとうごぜぇやす。あれぇ、綺麗なもんだね
 ぇ、中の絵がキラキラしてるだなぁ、いただきやす(一升の酒を一気に呑
 み干す)。一杯、呑んだぞ。」

大「毒じゃないのかい、息もつかずに呑んじまったな。どうだい、味は?」
久「わからねえ。一気に呑んじまった、味も何もわからねぇ、酌してくれる
 かね。今度は味わって呑むべぇ(呑む)、旦様、いつもこの酒やってるで
 がすか、美味ぇ酒だね、こらぁ(呑む)。酒の方でグイグイ入って来るだ
 よ(呑む)、二杯、呑んだぞ。酌してくれるかね、ありがとうごぜぇやす。
 (呑む)オラの国はえかく酒呑みの多いところでなぁ、大江山ちゅう山が
 あって、酒呑童子っちゅう鬼がいただよ、あらぁ、オラの親戚だ。」
大「冗談じゃないよ。」
久「(呑む)やっぱり酒が好きだなぁ。(呑み干し)あと、何杯呑む?」

大「あと二杯だよ。おや、四杯目に手がかかったよ。だけどね、近江屋さん、
 面白いのはここからですよ。しかし、すごい呑み方だね、鯨飲馬食ってぇ
 がね、酒の方から勝手に入って行くよ。四杯目、空けました。これからだ、
 最後の一杯でへこたれると言うね。」
久「オラ最後の一杯でへこたれはしねぇ、でぇじょぶだぁ(一気に呑む)。
 ぷはぁ、さぁ、呑んだぞぉ!」
大「こりゃ驚いた、近江屋さん、これは私の負けだ。さあ、久藏さん、小遣
 いだ、そっちへ取っておきなよ。それから、聞きたい事がある。さっきお
 前さん、考えると言って、表へ出たけれども、あの時、何かまじないでも
 したんじゃないかい?こうすれば、いくら呑んでも酔わないとか、いくら
 でも呑めるとか、それを私に教えておくれ。」
久「あらぁ、何でもねぇだよ。オラ、五升なんて決まった酒、量って呑んだ
 事ねぇだんべえ、呑めるか呑ねぇかわかんねぇから、表の酒屋へ行って、
 試しに五升呑んで来ただ。」



●能書き

 斗酒なお辞せず、と言うやつですね。元ネタは、明治期に活躍した外国人
落語家・初代快楽亭ブラック師の「英国の落語(おとしばなし)」。これを
元に、落語研究家の今村信雄師が、昭和に入ってから、練り直したものと言
われます。

 今回は、江戸のお酒事情についてお話しします。古来、日本酒には清濁領
主があります。清くすんだ清酒は諸白、濁ったお酒は濁り酒と呼びます。幕
末頃には、中汲みと言う上澄みと濁った部分の中間を汲んだ質の悪いお酒も
出ました。

 お酒には、「青っ切り」「菊の水」「九献」などなど、異名がたくさんあ
りますが、「竹葉(ちくよう)」とも言われます。これから、お酒を女房言
葉(女房言葉については、06/05/02たらちね参照)で、「笹」とも言います。
妾馬・下(09/01/13)で、お殿様が、八五郎にお酒を勧める時「笹は食べる
か」と言っていますよね。

 江戸の銘酒は、「剣菱」、「ななつうめ」、「きく」、「みつうろこ」、
「よね」、「正宗」、「壽海」などがあり、「剣菱」は今でも銘酒として売
られていますし、日本酒には「○○正宗」なんて銘柄が多いですよね。

 江戸での酒の醸造元は上方で、伊丹、池田、灘などで作られたお酒は、上
方から江戸へ送られて来ました。上方から江戸へ下ってくるので、上等なお
酒を下り酒と呼び、下り酒じゃないもの、つまり、質の悪いものは「くだら
ないもの」と呼びました。取るに足らないものを「くだらない」と言う語源
です。江戸初期、津の国(現・三重県)の鴻池の勝庵と言う酒屋の初代・三
郎衛門と言う方が、お酒が二斗(約36リットル)入る酒樽二つを一荷とし
て担いで江戸まで運搬し、大名家など裕福な所で、一升二百文で売りました。
当時の江戸は、粗末なお酒しかなかったので、上方の美酒は大人気となり、
三郎衛門さんは、上方と江戸を何回も往復して、大儲けをしました。そのう
ちに、肩で担いで来るのは重いし、大量に運搬できないので、一荷四斗のお
酒を一樽として、馬一駄に二樽担がせ、一回に数十樽ずつ江戸へ運び、莫大
な利益を得ました。ここから、江戸ではお酒の値段を決めるとき「十駄二十
樽金何十両」と言うようになります。やがて、三郎衛門さんは、馬での運搬
でも足りないと判断、ついには、船で運ぶようになります。この三郎衛門さ
んこそ、幕末には、日本一の豪商と言われた「大坂鴻池善右衛門」の先祖な
のです。

 江戸でのお酒の値段は、文化文政年間(1804~30)で、上酒一枡二百四十八
文、安政頃(1854~60)には値上がりして、一枡三百四、五十文から四百文く
らいでした。一文=37.5円として(09/05/26一文惜しみ参照)、現代価格で
一万二千円から一万五千円と言うところです。



●跋

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 私もお酒が好きです。日本酒なら、一晩で一升くらいなら空けますが、一
時に、五升・・・そんなに呑める方がうらやましいような、それだけ呑んで
も酔えなかったらつらいような・・・

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HNを。江戸時代、あこがれます・・・

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