2009/08/26
「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●猫忠(ねこただ)(夏のお化け噺シリーズ六年目の通算第弐拾段)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」 平成弐拾壱己丑年葉月弐拾伍日 其の弐佰捌拾捌號 (2009/08/25 No288) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━ 猫は魔物 年老いた猫は 尾が二つにわかれ 猫又と呼ばれ 化けるとか ●猫忠(ねこただ)(夏のお化け噺シリーズ六年目の通算第弐拾段) 次郎吉「おうおう、六さん、稽古に行かねぉのかい?」 六兵衛「師匠の所かい?俺はもうやめた。なぁ、この町内へ転がり込んで 『皆様のお力でなんとかしていただきたい』ってぇから、駆けずり回 って弟子をつけてやったんだ。それがこの頃、内々で亭主気取りでや にさがっている野郎がいるから、癪にさわるじゃねぇか。」 次「そりゃ馬鹿にしてやがんなぁ。相手は誰だい?」 六「弁慶橋の常衆だよ。今、見て来たところだ。本当か嘘か、行ってみなよ。」 これから、二人で師匠の家へ。塀の節穴から中を覗くと、師匠と常さんが 酒を呑んでいる。すぐに常さんの家へ行き、ヤキモチ焼きのかみさんを焚き 付けるが、おかみさんは相手にしない。 おかみさん「次郎さん、六さん。お前さんたちとうちの人は何なの?友達じ ゃないの、家で喧嘩をしていたら納めてくれるのが友達じゃない の。変な事を言って夫婦喧嘩をさせて、どこが面白いの。」 六「今、見たから、あっしゃ本当の事を・・・」 お「馬鹿らしい。うちの人は、昨夜っから、風邪ェ引いて、奥で寝てるよ。」 常吉「次郎!六!くだらねぇ事を言ってきやがって、この馬鹿野郎!」 六「あっ、いけない。いたいた、いるよいるよ。おかしいな、たしかに、師 匠のところで酒呑んでいたのに。」 常「手前達二人で見て、俺が酒を呑んでいたと言うのか?ウソじゃねえんだ な。よし、一緒に見に行くから、行け。」 六「何を見に行くんです?」 常「俺を見に行くんだ、俺が。どんな様子か先ィ覗いてみろ。」 六「(節穴を覗き)あれ、中にいる。(節穴から目を離し)あれ、ここにも いる。いやぁ、両方にいらぁ。」 常「(覗いて)中で酒を呑んでいるのは、確かに俺だな。で、俺は誰だい? これは、狐狸妖怪に違いない。」 六「何です?こおりようかんって?」 常「お前たち、これから中へ入って、盃をもらえ。その時に、腕を引っ張っ ておさえつけて、耳をさわってみろ。人間なら耳を押さえてもじっとして いるが、けだものは耳を押さえると動く、そしたら、大きな声で『ピョコ ピョコだ!!』と怒鳴れ。」 二人が中へ入り、言われたとおり、盃を受けるふりをして、耳を押さえる と、ピョコピョコ動く。「ピョコピョコだぁ!」ってぇと、常さんが裏口か ら飛び込んで来た。 常「手前は何のためにここに来ている。俺は誠の吉野屋の常吉、お前は魔性 の者か、化性の者か、言わねぇか!」 偽者「はい、申します。常吉様の姿を借り、よんどころなくこの家へ、まい りましたそのわけを一通り(だんだん芝居口調に)、ま、お聞きなされ てくださいませ。(笛、太鼓、小鼓、三味線で狐の出に使う「来序(ら いじょ)」と言う鳴り物)頃は人皇六十二代、村上天皇の御代に、山城、 大和二ヶ国に田鼠(でんそ)と言って田畑を荒らすねずみつきしが、時 の博士に占わせしところ、高位の御方のお側に仕えし牝猫の生皮にて製 したる三味線を弾けばねずみは立ち去るとの事。よって女三の宮(にょ さんのみや=第三皇女)に仕えし牝猫の生皮にて製したる三味線を弾け ばねずみはぁ、立ァち退きけん。民百姓のよろこびに初めて声をあげし より、初音の三味と名付けぇ給う、たも、たも、たも・・・たも。国の ためとは言いながら、親猫を殺されましたその時は百匁に足らぬまだ仔 猫。なんの頑是もなくばかり、耳をこすりて雨を知り、目に時、時は知 りながら、なんの因果で親猫の行方は知れぬと泣き明かし、ごろごろに ゃーとたずねても、いまだに知れぬこの年月。ようよう訪ねてまいりま した。わたくしの親は、あれ、あれ、あれあれあれ・・・あれにかかり しあの三味線。わたくしはあの三味線の子でござります。」 常「見ろ、大きな猫だ。」 次「兄ぃ、今度のさらいは大当たりだ。一番終いが『千本桜』。狐忠信てえ のはあるが、猫がただで酒ぇ呑んだ。猫のただ呑む(忠信)てんだ。あっ しが駿河屋の次郎吉で駿河の次郎。こいつが亀屋の六兵衛で亀井の六郎。 兄ぃが、弁慶橋の吉野屋の常吉で弁慶と吉常(義経)。千本桜が揃ったね。」 常「肝心の静御前がねぇじゃねえか。」 次「師匠の名が延静(のぶしず)てんだから、ぶっつけ師匠が静御前だ。」 師匠「いやだよ。あたしみたいなお多福に、静御前が似合うものかね。」 ってぇと、猫が頭を上げて。 猫「にゃァう(似合う)。」 ●能書き 歌舞伎の「義経千本桜」をモチーフとした噺です。元は上方ネタで、明治 時代に六代目桂文治師によって東京へ移された噺です。上方では女師匠が義 太夫の師匠ですが、東京では常磐津か清元の師匠と言う設定の違いがありま す。 今回は、「義経千本桜」についてお話しします。浄瑠璃の名作ですが、や がて歌舞伎に移されて、江戸では大衆にとても親しまれた、全五段のお芝居 です。ストーリーは、源平合戦後の源義経の都落ちをきっかけに、平家の武 将の復讐とそれに巻き込まれた者たちの喜悲こもごもを描くもので、延享四 年(1747)竹本座で初演されました。 ●初段 ○大序仙洞御所の段 義経に後白河法皇から、合戦の恩賞に初音の鼓が下 されますが、法皇の寵臣、左大将藤原朝方はこれを院宣とみせかけ、頼朝討 伐を命じます。 ○北嵯峨の段 北嵯峨に六代君と共に潜伏していた若葉の内侍が襲われま すが、平維盛の家臣である小金吾の機転により脱出します。 ○堀川御所の段 鎌倉から義経に詰問史川越太郎が到着し、届けられた平 家の武将(知盛・惟盛・教経)の首が偽首だったこと、平家の姫である卿の 君を娶ったことを問います。義経の窮地を救うため卿の君は自害し、弁慶が 包囲陣に討ちかかり戦闘となったため義経一行は館から脱出します。 ●二段目 ○伏見稲荷の段 義経一行は伏見稲荷までやって来て、静御前もようやく 追いつきますが義経は初音の鼓を与え、静を置去りにします。そこに捜索に 来た逸見藤太が静を襲いますが、佐藤忠信が現れ藤太を討取り、静に同道す ることになります。 ○渡海屋の段 九州を目指す義経一行が、摂津国大物浦で船出を待ってい ると、主人の銀平は義経探索の者を追い払う胆力を見せますが、それは計略 で実は銀平は安徳帝を掲げ平氏の再興を狙う平知盛でした。 ○大物浦の段 知盛は幽霊に化け海上の嵐に乗じて義経を葬る作戦でした (この場面のみを取り上げたお芝居が船弁慶です。07/08/21船弁慶参照)が、 義経に露見しておりまたも敗れ、安徳帝を義経に預けた平家方は、典侍の局 を初めとする女官達、そして最後に知盛が入水して果てます。 ●三段目 ○椎の木の段 夫、平惟盛が高野山に向かったと聞いた若葉の内侍・六代 君・小金吾の一行は、大和を経由して後を追います。途中大和国吉野下市村 の茶店で休憩しますが、地元の無法者いがみの権太に路銀を騙り取られてし まいます。 ○小金吾討死の段 藤原朝方の追っ手に立ち向かった小金吾はついに息絶 え、村の寄合いからの帰り、すし屋の弥左衛門は偶然小金吾の死体を見付け ます。 ○すしやの段 釣瓶鮓には、主人の弥左衛門・女房のお米、娘のお里、美 男の手代弥助が暮らしています。そこに一夜の宿を借りに来た、若葉の内侍 と六代君。弥助との思わぬ出会いに、彼の正体が三位中将維盛と知れます。 寄合いで平家探索の手が下市村まで伸びてきていることを知って戻ってきた 弥左衛門。そんな中、勘当されている息子の権太が父親の目を盗んで訪れ、 母に無心をして出行きました。いよいよ詮議役の梶原景時がやってきて、弥 左衛門はは維盛一家を別の場所に移しますが、そこに権太が一家を捕らえた と言ってやってきます。絶望する弥左衛門ですが、それは、権太の命がけの 親孝行で、一家は救われ、維盛は出家し高野山へと向かいますが、権太は絶 命しお里は婚約者を失います。 ●四段目 ○道行初音旅(みちゆきはつねのたび) 景事(所作事)。吉野へ向かう、 静と佐藤忠信の旅路を描く場面で、吉野山の通称で有名です。 ○河連法眼館の段 吉野山、河連法眼館に身を寄せる義経。そこに佐藤忠 信がやって来ますが、自分は故郷から戻ったばかりで、静の事は知らないと 言います。静が初音の鼓を叩くともう一人の忠信が現れ、自分は鼓にされた 狐の子だと告白します。親を思う狐の心に感じ入った義経は鼓を与えます。 僧兵のいでたちの平教経が復讐に現れるますが、場を改めての決戦を約しま す。 ●五段目 藤原朝方は平教経に、その教経は佐藤忠信に討たれ、事件は終結します。 なお、話中の駿河の次郎、亀井の六郎とは、ともに、義経四天王の一人で、 残りの二人は、片岡八郎と伊勢三郎です。江戸の洒落に、この四天王「亀井 片岡伊勢駿河」をもじった「カレイ片身は二朱するか」と言うのがあります。 また、このお芝居の「すしやの段」から、今でもお寿司の事を「ヤスケ」と 言う符丁で呼びますよね。今回お届けした噺は、この初音の鼓を題材として、 三味線に置き換え、それを慕って仔猫が来た、と言う設定です。また、この 初音の鼓は、落語「初音の鼓(別称・ポンコン。まだお届けしていません)」 や「初音の鼓(別称・次の夫(つぎのぶ)。まだお届けしていません)」に も主要なアイテムとして登場しますね。 ●跋 笑助お勧めのメルマガです。落語、お笑い、なぞかけに興味がおありの方、 どうぞクリックしてください。 【笑いながら脳を鍛える】なぞかけめ~る♪ http://www.mag2.com/m/0000159712.html では、前号の江戸時代クイズ肆拾壱(四十一)の解答です。災難を避ける ときのオマジナイが「くわばら、くわばら」。その「くわばら」って、どん な意味なの? 壱 桑の木が生い茂る原には、雷が落ちないと言う俗信から「桑原」 弐 何も食べない腹には、悪意も恨みも溜まらないから「食わ腹」 参 苦難や災難はバラバラになった方が良いから「苦はバラ」 正解は、壱 桑の木が生い茂る原には、雷が落ちないと言う俗信から「桑 原」でした。伝承によると、雷神があやまって農家の井戸に落ちた時、農夫 が蓋をして天に帰らせなかった。すると、雷神は、自分は桑樹を嫌うから、 桑原桑原と唱えるならば再び落ちまいと答えたと言います。これから雷鳴の 時、落雷を避ける呪文として用いる様になり、さらに、忌わしいことを避け るためにも使われる様になりました。 桑原について、別説をお送りくださいました「滝傍洋」様、ありがとうご ざいました。ご指摘の通り、死して雷となったと伝える菅公の領地桑原には 古来落雷した例がないのに因む、との説もありますね。 ご意見・ご感想、お待ちしております。頂いたメールは、お断りのない限 り、メルマガの中で紹介させていただく場合がありますので、よろしければ、 HNを。江戸時代、あこがれます・・・ ━━は━ん━も━と━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■お話:落語とお江戸のフリーライター・福々亭 笑助(千葉落語同好会) ■ご意見・ご感想は syosuke@mbn.nifty.com 出前寄席、落語とお江戸の講演・執筆等承ります お気軽にメールください ■千葉落語同好会ホームページ [ちばらく]←検索 ■発行元 :マンモス通信 info@manmos.tv ■HP : http://www.manmos.tv/magazine/rakugo/ ■発行協力:まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000107654.htm (解除) ■バックナンバー≫ http://blog.mag2.com/m/log/0000107654/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━じ━ご━う━ご━き━た━い━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●○● オススメ商品 ●○● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●黒酢と梅肉をギュッと濃縮!黒酢梅肉は噛んでも美味しい! ■□■ダイエットに今注目のアミノ酸を高含有!■□■ 黒┃酢┃梅┃肉┃ 自然の智恵がはぐくんだ黒酢は発酵産物の王様 ━┛━┛━┛━┛ 純天然アミノ酸18種を含有、しかも普通の液体黒酢の200倍含んでいます。 「黒酢梅肉」 120粒入り(約1ヶ月分)価格:3200円(送料無料) お求めは ⇒ http://www.manmos.tv/nanakm/kurozu-bainiku/ 血液 サラサラに!飲めば違いが分かる、自然派サプリメント! 格安・最安値! 毎日の健康管理に! スパスパで紹介されたサメ肝油の人気商品です。 ス┃ク┃ワ┃レ┃ン┃n┃a┃2┃ ◆体の中から、お肌もイキイキ。 ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 深海ザメの肝油から抽出したスクワレンは、肝臓を保護し、肌に潤い を与えてくれます。肌のカサツキや肝臓の弱りが気になる方へ お求めはこちら ⇒ http://www.manmos.tv/nanakm/squalene/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


