2009/08/18
「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●藁人形(夏のお化け噺シリーズ六年目の通算第弐拾段)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」 平成弐拾壱己丑年葉月拾捌日 其の弐佰捌拾陸號 (2009/08/18 No286) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━ 長い人生 恨みのあるヤツもいろいろあるでしょうけど なんとか 丸く収めて 生きていければ・・・ ●藁人形(夏のお化け噺シリーズ六年目の通算第弐拾段) 千住の小塚っ原の若松屋と言う女郎屋に、お熊と言う妓(おんな)が現れ た。もとは遠州屋と言う糠屋の娘で、好きな男が出来て、手に手を取って上 方へ。男に死に別れて、江戸へ戻ってみると、両親は心配のあまりあの世へ 行き、店も人手に渡っている。こうなると、自棄が半分、両親の菩提を弔い たいのが半分で、こう言う所へ身を沈めましたが、流行りっ子でございます。 すると、このお熊の所へ、千住の河原にいる願人坊主で、見る影もない西 念と言う年寄りが来て、これはお経を知りませんから、「南無阿弥陀仏南無 阿弥陀仏」とだけ唱えて、お布施を頂戴する。 お熊「お前さんは、私の実のおとっつぁん、そっくりなの。他人とは思わな いよ。また、来てね。」 と、三日にあげず「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・」 西念「花魁、大変、酔ってらっしゃいますね。体をこわしますよ。」 熊「西念さん、私は悔しいよ。」 西念が話しを聞くと、上方の旦那に身請けをされて、駒形の絵双紙屋の店 を二十両の手金を出して買い取ってくれた。後金さえ払えば、お熊は、絵双 紙屋のおかみさんになれる。小女に婆やを置いて、女ばかりじゃ不用心だか ら、西念にもおとっつぁん代わりに来てもらおうと思っていたら、絵双紙屋 の方から、後金の催促が来たと言う。後金、二十両を四、五日うちに入れて くれれば良し、さもなければ、脇へ売り渡し、手金はお返しする、と言う。 飛脚を立てても、四、五日じゃけりがつく訳はない。 西「後金の二十両さえあれば、その店は買い取れるのですか。私がご用立て しましょう。」 と、西念は、家へ戻ると、畳を上げて、根太板をはがし、埋めておいた虎 の子の二十両を掘り出すと、お熊に届ける。お熊は喜んで、酒肴を出し、疲 れただろうから、今晩は泊まっておいで、と、厄介になった。家へ帰ると風 邪の気味で床へ付く、近所の人の看取りで、ようよう命を取り留めた。お熊 の絵双紙屋の店の件が気になるから、行ってみると、お熊は、絵双紙屋の件 とは、何の事だかわからない、と言う。 熊「ああ、いつだか、お前さん、お金を持って、家へ泊まったけれども、こ んな店へ男の人が泊まるのに、素手じゃ泊まれないよ。あの時のお勘定だ と思って頂戴したよ。ねえ、西念さん、うち明けて話しをすると、お前さ んが家の前を通ると、ああ言うお坊さんはお金を持っているよ、と言う人 が半分、持っていないと言う人が半分で、私は持っている方へ加担をした ね。持っているなら、こっちへ巻き上げてやろうと書いた狂言だよ。あの お金で、みんなで美味しいものを食べたよ、ごちそうさま。」 西「それでは、話しが違う!!」 お熊に掴みかかろうとする西念を、店の若い衆が突き飛ばしたから、滑っ て転ぶ。捨て石で眉間を切った、流れる血をそのままに、よろよろと立ち上 がって、「お熊!覚えていろよぉ!!」、雲っていた空からザァァァ!!! 西「誰だ、そこにいるのは?」 甚吉「お前の甥の甚吉だよ。俺は相変わらずの喧嘩ッ凶状、今日、御牢内か ら追放になって、無性にお前に会いたくなってやって来た。これから、 俺は堅気になって、天秤棒を肩にして、稼いだ金でお前を養うよ。」 西「ありがてぇ、お前が真人間になった祝いに、俺がそばをそう言って来て やろう・・・甚吉、お前の前に鍋があるが、鍋の蓋ぁ取るなよ。」 甚「ああ、取らねぇよ。ハハ、行っちまった。鍋の蓋を取るなって。油の匂 いがする、茄子か何か煮てて、そいつをつままれちゃ大変だと、年寄り子 供とは良く言ったもんだ(鍋の蓋を取ろうとして)、いや、取っちゃいけ ねぇ、うう、こうなると、手が勝手に動く、ええい、ままよ。」 鍋の蓋を取ると、煮えたぎる油の中に、藁人形が、ブクリブクリ。 西「今、そばが来る。おい、甚吉!鍋の蓋を取ったな、出かける時と蓋の置 きようが違っているぞ!ああ、見られたか、俺の念力は届かねぇ・・・」 甚「ええ、千住の女郎屋のお熊と言う女郎に、お前の虎の子の二十両を語り 取られた?それが、悔しくて、祈り殺そうてのか。おいらぁ天秤棒を肩に 当てて、まっとうな金を貯めて、そのお熊と言う女に会いに行こうじゃね ぇか。『お前にひどい目に合ったが、甥の甚吉のために、俺はまっとうに 暮らせる、お前もいつまでも、こんな商売は出来ないだろうから、思案に 余ったら、家へ訪ねて来てくれ』と、多分の祝儀を放り出す方が、喧嘩は 勝ちだよ。それにしても、藁の人形に五寸釘ってのは見たが、油炒めとは。」 西「甚吉、お熊はな、糠屋の娘だ。」 ●能書き はい、大変な考え落ちです。まだ、落ちがわからない方いらっしゃいます? ことわざで、効き目の無い事を「糠に釘、暖簾に腕押し」と言いますよね、 これでわかりました? 元ネタは、安永二年(1773)刊の江戸の笑話本、楽牽頭後編坐笑産(がくた いここうへんざしょうみやげ)にある「神木」。『丑の刻参り、神木に灸を すへて居る。宮守見付け、「なぜ、釘を打たぬぞ」「なにを隠しませう。わ たしが呪ふ男は、糠屋さ。」』と言うものです。 今回は、江戸の丑刻参(江戸時代の時刻については、09/06/09権助魚参照) と藁人形事情についてお話しします。幕末の嘉永二年(1849)刊の江戸の合巻 本「教草女房形気」(おしえぐさにょうぼうかたぎ)に丑刻参(うしのこく まいり・うしのときまいり)の事が書いてあります。「此上は外に恨を晴さ ん手段(てだて)となして、病(やまい)に仮託(かこつ)け、亭主と一所 寝せず。三ツある蔵の後に広き空地あり、是も親の代よりの持地面なり。こ の空地の隅に小さき稲荷の宮あり。ここに神木とて、年経る杉あり。おみの 夜なゝ此稲荷へ丑の時まゐりをなし、杉の木を打つて、小糸を呪ひけり。こ の悪念届きてや、小糸がぶらゝ病、とりつきもののしたる様なれば、万左衛 門も楽しみの一子、もしや流れやせんと、さまゝにいたはり、母は梓巫子 (あずさみこ)に頼みて、神おろしの口寄せをなしけり。(中略)しかるに 一昨日、奥で使ふ長松が、ごん介に申すには、裏の稲荷様の杉の木へ釘が打 ちてありし故、私が抜いて置いたれば、今日見れば、又釘が打ってある。誰 が為るか悪い事をすると長松が話すを聞きましたが、口寄のいうた事など思 合せ、もしやと存じ、昨夜密に窺(うかが)ひしに、二十六の月影に、丑み つ頃稲荷を拝み、杉へ釘を打ちたるは、おみのなり。私もぞっとする程恐ろ しく、さては小糸が病気は、おみのに呪はるるゆゑと存じます。」とあり、 これによると、坐笑産の小噺同様「藁人形」は使わず、社のご神木にダイレ クトに釘を打ち込んでいるようで、こんな方法もあったようです。 また、藁人形を使う時は、丑の刻(現代の午前二時頃)に、女が白衣にた らし髪、頭には五徳(火鉢の炭の上に置き、鉄瓶などをかける三脚または四 脚の輪形の器具。)を頭に逆さまに乗せ、その五徳の足に、火を灯した蝋燭 三本を立て、胸に円鏡をさげて、一本歯の高下駄で、鉄槌と五寸釘を持ち、 神社などで、人の見えない所へ、呪う人をかたどった藁人形に五寸釘を打ち 付け、七日間呪うと言うものです。 呪われた人は釘を刺された所が痛み、苦しみ、やがては死に至ると言いま すが、もし、呪う相手が死ぬ前に、その藁人形が他人にみつかれば、呪いは 己に返ってくるとされます。また、祈る姿を他人に見られれば、呪いは無駄 になります。今回のお噺、西念さんも、藁人形に恨みを込めている所を甚吉 に見られたので、もう念力は届かない、と嘆いたのですね。そして、満願(?) の七日目、白衣の女が藁人形に釘を打ちに行くと、大きな牛が寝ていて、そ の牛をまたいで目的地まで行って、釘を打たないと、願いが通じない、との 事です。・・・くわばら、くわばら・・・ ●跋 笑助お勧めのメルマガです。落語、お笑い、なぞかけに興味がおありの方、 どうぞクリックしてください。 【笑いながら脳を鍛える】なぞかけめ~る♪ http://www.mag2.com/m/0000159712.html 災難を避けるときのオマジナイが「くわばら、くわばら」ですね、では、 久々に江戸時代クイズ其の肆拾壱(四十一)です。その「くわばら」って、 どんな意味なの? 壱 桑の木が生い茂る原には、雷が落ちないと言う俗信から「桑原」 弐 何も食べない腹には、悪意も恨みも溜まらないから「食わ腹」 参 苦難や災難はバラバラになった方が良いから「苦はバラ」 ヒント・・・って、クイズにする程の問題じゃありませんね、誰でも知っ ている常識かも知れません。それをここまで、ひねってこじつけて、クイズ にしてみた努力を買ってください・・・ ご意見・ご感想、お待ちしております。頂いたメールは、お断りのない限 り、メルマガの中で紹介させていただく場合がありますので、よろしければ、 HNを。江戸時代、あこがれます・・・ ━━は━ん━も━と━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■お話:落語とお江戸のフリーライター・福々亭 笑助(千葉落語同好会) ■ご意見・ご感想は syosuke@mbn.nifty.com 出前寄席、落語とお江戸の講演・執筆等承ります お気軽にメールください ■千葉落語同好会ホームページ [ちばらく]←検索 ■発行元 :マンモス通信 info@manmos.tv ■HP : http://www.manmos.tv/magazine/rakugo/ ■発行協力:まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000107654.htm (解除) ■バックナンバー≫ http://blog.mag2.com/m/log/0000107654/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━じ━ご━う━ご━き━た━い━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●○● オススメ商品 ●○● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●黒酢と梅肉をギュッと濃縮!黒酢梅肉は噛んでも美味しい! ■□■ダイエットに今注目のアミノ酸を高含有!■□■ 黒┃酢┃梅┃肉┃ 自然の智恵がはぐくんだ黒酢は発酵産物の王様 ━┛━┛━┛━┛ 純天然アミノ酸18種を含有、しかも普通の液体黒酢の200倍含んでいます。 「黒酢梅肉」 120粒入り(約1ヶ月分)価格:3200円(送料無料) お求めは ⇒ http://www.manmos.tv/nanakm/kurozu-bainiku/ 血液 サラサラに!飲めば違いが分かる、自然派サプリメント! 格安・最安値! 毎日の健康管理に! スパスパで紹介されたサメ肝油の人気商品です。 ス┃ク┃ワ┃レ┃ン┃n┃a┃2┃ ◆体の中から、お肌もイキイキ。 ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ 深海ザメの肝油から抽出したスクワレンは、肝臓を保護し、肌に潤い を与えてくれます。肌のカサツキや肝臓の弱りが気になる方へ お求めはこちら ⇒ http://www.manmos.tv/nanakm/squalene/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


