2009/05/05
「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●人形買い
━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」 平成弐拾壱己丑年皐月伍日 其の弐佰陸拾壱號 (2009/05/05No261) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━ 町中には 鯉のぼりが泳ぐ 今日は五月五日 端午の節句 ●人形買い とある長屋の八っつぁん、熊さん、同じ長屋の神道者から赤ん坊の初節句 の祝いに粽(ちまき)が届けられたので、一計を案じた。普段の長屋の祝儀 不祝儀のつき合いは、四十八文だが、ここは、長屋からめでたいと言うので、 百文づつ集めて、五月人形を祝ってやろう。長屋は二十五軒、神道者の家を 除けば、二貫四百文(二千四百文)になる、二貫三百くらいの人形を探し出 し、残りの百で、二人で酒の二合も呑もうと言う魂胆。 長屋一同に話しをし、内諾を受けると、幸い、熊さんが金を持っていたの で、立て替えと言う事で、二人で十軒店の人形屋へ。店の主が三貫五百と言 う人形を、何とか、二貫三百に値切る事が出来た。買える人形は、神宮皇后 様と太閤秀吉公のどちらか、どちらにきめるかは、長屋のうるさ方の易者と 講釈師の判断を仰ごうてな事になる。店の小僧に二つの人形を持たせ、長屋 へ戻る事に・・・ 小僧「へっへっへ、今日は良いお天気ですね。」 八五郎「小僧さん、幾つだい?」 小「十三です。」 八「十三にしては、小さいな。」 小「その代わり、よくひねてます。この人形、幾らでお買いになったんで?」 八「三貫五百だてぇのを、無理を言って、二貫三百に負けてもらったんだ。」 小「これを二貫三百でお買いになった。こんなのは、一貫ぐらいで良いんで。 これは仲間の符丁で『豆食い』と申しまして、去年の売れ残りなんです。 良い人形は去年売れたんですけど、悪い人形だけが残りまして、蔵の奥へ 放り込んでおきまして、こんなんでも、ゴミを払って、店へ飾っておけば、 どんな馬鹿が戸惑いして、買わないともかぎらないてんで。」 八「物を高く買って、馬鹿くらってりゃ世話ねぇや。おいおい、小僧さん、 ついたよ、ここだ。ええ、先生、こんにちは、人形を買って来ました、神 宮皇后様と太閤様とあるんですが、どっちが良いでしょうね?」 易者「ご苦労な事で、易で占いましょう。本年お生まれになったお子様は、 金性、太閤様は火性。火と金を合わせると火克金(かこくきん)と申し、 相性がはなはだよろしくない。神宮皇后様は女帝の事なれば、女は方角 にとって北、北は陰にして水、水は方円の器に従う。また、水と金を合 わせると、金生水(きんじょうすい)と申し、相性がよろしいから、神 宮皇后様がよろいかろう。」 八「神宮皇后様が良いんで、へい、ありがとうございました。」 易「これこれ、見料を頂戴する。普段は百文頂戴するが、お心やすいゆえ、 四十八文でよろしい。」 八「二合の酒が一合になっちゃったよ。今度は講釈師の家だ。先生、こんち は、人形を買って来ました、神宮皇后様と太閤様とあるんですが、どっち が良いでしょうね?」 講釈師「(講釈)さて、太閤秀吉は備州愛知郷里の生まれにして、幼名を日 吉丸と言い、成長の後、木下藤吉郎と改め、清洲の城主、織田信長に 仕え、草履取りより、羽柴筑前守秀吉と出世をなす。中国征伐に赴き しおりは、毛利、吉川を悩ませるに、本能寺において、主君信長は、 逆臣明智光秀のために討ち取られる。秀吉は、これより毛利と和睦を なし、山崎の一戦において、明智光秀を討ち取り、柴田、滝川を滅ぼ し、従一位関白太政大臣に昇ると言えど、おごりに長じ、その家、三 代続かんとあるが、跡目相続続かんなどは、縁起が悪い。これはやは り、神宮皇后様がよろいかろう。」 八「長いね、じゃ、神宮皇后様の方が良いんで。」 講「これこれ、木戸銭を払っていけ。一人前が二十四文。」 八「おやおや、ここでも四十八文、取られちまった。」 講「別に、茶が三文、座布団が二文。」 八「馬鹿だな、こいつは。なんでそこで、布団を敷いて、茶を飲むんだ!一 文無しになっちゃった。じゃ、この人形を神道者の家へ持って行こう。え え、こんちは、今回は初節句と言う事で、粽をいただきまして、神宮皇后 様てのを買って来ましたので、飾ってください。」 神道者「手前を神職と見立て、結構なお人形を頂戴をいたしまして。そも、 神宮皇后様と申し奉るは、人皇(にんのう・神代と区別して、神武天 皇以後の天皇をいう語)は、十四代・・・」 八「わーっ、待ってください。また、これを聞くと、いくらか銭が出るんで しょうけれども、もう、二人とも一文無しですから、どうか、お返しで差 し引いていただきます。」 ●能書き 元ネタは、初代・林屋正蔵著、天保五年(1834)刊の「落噺年中行事」中の 「五月かぶと人形」。これが、上方で落語として成立したものを、三代目三 遊亭円馬師が東京に移植したとされる噺です。 男の子が生まれて、初節句を祝う家は、近所に粽(ちまき・もち米粉、う るち米粉、葛粉などで作った餅を、長細く固めて笹などの葉で巻き、いぐさ で縛って蒸したもの。)を配り、配られた家々は、お返しに何がしかの品物 を祝いに届ける、と、それに対して、また、返礼がある。と言う、古き良き 時代の風習を反映した噺です。ご近所付き合いが希薄になってしまった現代 では、こんな贈答はもうないのでしょうね。 噺中に、現代ではあまり使われない言葉が出てきます。神道者とは、神道 系の祈祷師の事で、京都吉田家・白河家の支配下で、鳥帽子(えぼし)・狩 衣(かりぎぬ)姿で、お払いをする方です。江戸では「しんどうじゃ」と発 音しました。 神宮皇后様は、第十四代仲哀(ちゅうあい)天皇の皇后で、名は息長足媛 (おきながたらしひめ)。第五代開化天皇の孫で、息長宿禰王(おきながの すくねおう)の娘。仲哀天皇とともに熊襲(くまそ・九州南部)征服に向い、 天皇が崩御すると、摂政(せっしょう・君主に代って政務を行うこと)とな り、新羅(しらぎ・古代朝鮮)を攻略して凱旋し、第十五代応神天皇を筑紫 で出産したと言う伝説上の方。 易者、太閤秀吉公、講釈師については、解説しなくても大丈夫ですよね? 今回は、江戸の端午の節句事情についてお話しします。端午の節句は、奈 良時代に宮中で端午の日(旧暦五月五日)に行われた「五日の節会(せちえ)」 が起源とされます。古来から、菖蒲(しょうぶ)には、邪気を払う力がある とされ、五月五日に菖蒲を身につけ、菖蒲で屋根を葺く儀式でしたが、時代 が経ち、武士が台頭してくると菖蒲は尚武(しょうぶ・武芸、軍事)と結び つき、武家社会で男の子を祝う行事となります。そして、江戸幕府が、その 行事を五節句の一つとして、男の子のお祭りと定めたため、武家社会を超え て、庶民にも浸透します。 江戸では、五月五日になると、菖蒲を軒に差し、菖蒲の根を刻んで浸した 菖蒲酒を呑み、子供たちは、菖蒲の葉を三つ編みにして、地面を叩き、一番 大きい音をさせた者が勝ち、と言う、菖蒲打ちと呼ばれる遊びに興じます。 翌六日には、軒に差していた菖蒲をお風呂にいれた菖蒲湯に入ります。 現代でもおなじみの、五月人形と鯉のぼりも江戸時代から続くもので、今 回のお噺にもある十軒店(現・日本橋室町三丁目付近)には、毎年、四月二 十五日から人形市が立ち、たいへんな賑わいでした。古くはマコモで作った 馬に紙人形を乗せ、門口に立てる風習が、武士の世となり、勇ましい人形を 室内に飾る風習へと移行したのです。 また、江戸時代の鯉のぼりは、現代のように黒大・紅中・青小などのファ ミリーで泳ぐのではなく、一匹の鯉を泳がせ、その竿の高さを競うものでし た。江戸の浮世絵師、歌川広重の描いた、江戸の鯉のぼりです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:100_views_ed o_063.jpg ●跋 笑助お勧めのメルマガです。落語、お笑い、なぞかけに興味がおありの方、 どうぞクリックしてください。 【笑いながら脳を鍛える】なぞかけめ〜る♪ http://www.mag2.com/m/0000159712.html 中華料理屋さんで、宴会をやった時、お料理に「粽」が出て来ました。も ち米を突かずに、味付けして、笹の葉で巻いて、蒸したと思われるものでし た。普通の味付きのおこわが葉っぱの中に入っている様な感じです。江戸期 の粽は、味付けしてありませんし、もち米を突いてありますので、本当にお 餅の様な食感だったと思います。童謡に♪ちまき〜食べ食べ兄さんが〜、と 言うフレーズがありますが、今、五月五日に食べるのは、柏餅ばかりで、柏 餅と粽を混同しておられる方もおられる様です。ご意見・ご感想、お待ちし ております。頂いたメールは、お断りのない限り、メルマガの中で紹介させ ていただく場合がありますので、よろしければ、HNを。江戸時代、あこが れます・・・ ━━は━ん━も━と━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■お話:落語とお江戸のフリーライター・福々亭 笑助(千葉落語同好会) ■ご意見・ご感想は syosuke@mbn.nifty.com ■千葉落語同好会ホームページ [ちばらく]←検索 ■発行元 :マンモス通信 info@manmos.tv ■HP : http://www.manmos.tv/magazine/rakugo/ ■発行協力:まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000107654.htm (解除) ■バックナンバー≫ http://blog.mag2.com/m/log/0000107654/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━じ━ご━う━ご━き━た━い━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 美しく年齢を重ねるために “衿元美人”は必須の条件 ブラウスの胸元が若々しく・・・それがあなたの魅力。 衿元美人を願うあなたに専門クリームを開発! ●PDビューティーネック スクワラン・コエンザイムQ10・ハトムギエキス・コラーゲン配合 ⇒ http://www.manmos.tv/nanakm/beauty-neck.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



