2009/04/21
「落語に見るオモシロ江戸風俗」 ●鼻捻じ(はなねじ)
━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」 平成弐拾壱己丑年卯月弐拾壱日 其の弐佰伍拾玖號 (2009/04/21 No259) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━ まだまだ 花見の季節は終わりまへん 桜にちなんだ 上方噺でっせ ●鼻捻じ(はなねじ) 旦那「これこれ、丁稚(こども)、ちょっとこっちへ来とくれ。」 丁稚「へぇ、旦那(だん)さん、なんぞ用だすか。」 旦「今、わしがここで本を読んでいると、風もないのに、桜の花が散ります のや、おかしいと思うて見ますと、隣の先生が、うちの庭の桜の枝を手折 っておられるのじゃ。なんぼお隣でも、一言の断りもなく、乱暴すぎます ので、ちょっとお隣へ行って掛合うてきてくだされ。」 丁「どない、言うてきますので?」 旦「今日も結構なお天気さんでござります。ただいま、手前共の主人が、縁 側で本を読んでおりますと、時ならぬ時分に花が散りますので、見てみま すと、先生が、私どもの桜の枝を無断で手折っておられます。もし、お入 用なれば、隣家様のことゆえ、根引きにしてでも差し上げます。日頃から、 書に眼(まなこ)をさらして、子曰くの、ひとつも心得てござる先生には、 似合わしからざる儀かと心得ます。言語道断、落花狼藉というものにござ ります。このご返答をうけたまわりたい、と、こない言うておいで。」 丁「うちの旦那はんも偉いなぁ、学者の先生をひねるのやさかいな。へぇ、 お頼み申します。」 先生「これは、隣の素丁稚か、何か用か。」 丁「手前共の主人が、縁側で本を読んでおりますと、時ならぬ時分に花が散 りますので、見てみますと、先生が、私どもの桜の枝を無断で手折ってお られます。もし、お入用なれば、金柑さんのことゆえ、根引きにしてでも 差し上げます。」 先「何を言うのじゃ、金柑さんじゃない。隣家様じゃろ。」 丁「あんた、立ち聞きしてたか。日頃から、障子にナマコをさらして。」 先「それを言うなら、書に眼をさらして、じゃ。」 丁「いよいよ、立ち聞きしてたな。火の玉のひとつもころばしてござる先生 には。」 先「子曰く、のひとつも心得てござる、じゃろう。」 丁「それを無沙汰で手折るとは、言語道断、パッパ唐人。」 先「それを言うなら、落花狼藉じゃ。それでは聞くが、あの庭先にある桜の 木はどこのものじゃ。貴様の所の木ならば、なぜに貴様の庭だけに花を咲 かさんのじゃ。わしの方の庭先へ無断で枝を乗り出し、わしが所見をする のに暗うて邪魔になる、そこで手折ったまでじゃ。うちへ帰って貴様のと ころの『はいす』にそう言え。」 丁「はいす、って何です?」 先「貴様のところの主人は頭がはげてるわい。そこへ蠅がとまると、蠅がす べるじゃろ、そこで、いわゆる、はいす。よく覚えておけ。」 丁「なるほど、これは上手い事つけなはった。」 先「さ、これを持って帰って、貴様のとこのアホ親父に見せてやれ。」 と、短冊に何か書いて丁稚に渡す。丁稚から短冊を渡された旦那が読んで みる。 旦「なに、塀越しに、隣の庭へ出た花は、ねじよが手折ろが、こちらまかせ じゃ。なんじゃ、これじゃ逆ねじじゃがな。この仕返しをしてやろう。」 番頭に話しをすると、番頭は少々お金がかかるが、仕返しの方法があると 言う。翌日、親類、出入りの者を集めて、花見の宴。芸妓も一流どころを集 め、幇間もやってまいります。盃が回って一座は大陽気。芸者もお客も総踊 り。 番頭「さぁ、踊った、踊った!」(囃子入り唄「竜田川」♪竜田川には紅葉 を流す、わたしゃ主ゆえ浮き名を流す、よいさ、よいさ、よいやらさ) 隣の先生、本を読んでなさったが、あんまり騒々しいので、塀の穴からの ぞきますと、この騒ぎ。こちらは番頭さん、もう、のぞきそうなもんやと見 ておりますと、案にたがわず、のぞいてますので、 番「おっと、のぞかれてたまるかい。」 と、手でふさぎます。先生が別の穴からのぞこうとすると、またぞろ、番 頭、穴をふさぎます。先生も意地になって、はしごを持って来ると、塀にか けまして、 先「ほう、アホどもが、たんと踊っておるわい。この方が良く見える。」 番頭さん、何を思うたか、はしごを持って来て、同じく塀にかけますと、 先生に気づかれんように登ると、大きな釘抜きで、先生の鼻をギュー! 先「痛い、痛い。コレ、何をするのじゃ。」 番「なにもくそもあるかい。昨日の返歌だす。塀越しに、隣の庭へ出た鼻は、 ねじよと手折ろと、こちらまかせじゃ。」 ●能書き 純粋な上方落語です。東京にも「鼻ねじり」と言う小噺があるのですが、 まるっきり違うストーリーなので、別々のネタだと思います。 江戸時代ファンなら、ご存じだと思いますが、江戸時代後期の町奉行、根 岸鎮衛(ねぎしやすもり・1737〜1815)と言う方が、実際に見聞きした珍談 奇談を書き集めた「耳嚢(みみぶくろ)」と言う本があります。今回は、そ の「耳嚢」から、江戸のちょっと変わった「桜」のお話しを、現代語に訳し てご紹介します。 黄桜の事 『桜には「黄色の花はない」と話しあっていた時、ある人が語りました。 駒込追分(現・東京都文京区駒込)の先にある行願寺と言う寺に黄桜があり ます。もっとも山吹や黄梅の様な正しい黄色ではありません。しかし白に映 えた黄色の一重の花で、その寺の名木でと、近所の方達の間でも、もてはや されていました。だが、檀家の者が参詣のおりに、ひそかに根を掘りだし、 四、五度も植え付けてみましたが、ある程度成長して枯れてしまいました。 一本根付いたと思われるものも、花が咲いてみると、一重の山桜なので、和 尚へしかじかの事をありのままに話して「なんとか接ぎ木をしたい」と願い ました。和尚が「たやすい事です」と承諾したので、植木屋を雇って接ぎ木 をしましたが、これもまた、花は咲きましたけれど、山桜の白いものでした。 残念な思いで日々を過ごしましたが、寺内で根分けした桜はやはり黄色だっ たと言います。土地によるものなのでしょうか。不思議な事だと、人々は語 り合ったと言う事です。』 黄色い花を咲かせる桜は、「ウコン」と「御衣黄(ぎょいこう)」と言う 二種類があります。「ウコン」の名は、ショウガ科ウコンの根を染料にした 「鬱金(うこん)色」に由来し、本当の鬱金と混同しないように、「ウコン 桜」「ウコンの桜」と呼ばれます。花の色は弱い淡黄色で、花弁数が十五か ら二十枚ある大輪の八重桜です。 「御衣黄」は、花の色が貴族の衣服の萌黄色の様なので、その名が付いた と言います。「ウコン」より、緑色が強い、黄色から淡緑色で、花弁数が十 から十五枚の、やはり大輪の八重桜です。 江戸期の黄色い花の咲く桜は、京都の仁和寺で栽培されたのが始まりとさ れています。黄色い桜は、古くは「黄桜」「浅葱(淺黄)桜」と呼ばれてい たと言いますが、それが「ウコン」だったのか「御衣黄」だったのかは不明 です。 しかし、いずれにせよ、「ウコン」も「御衣黄」も、花弁が多い八重桜で すので、耳嚢にある、黄色い山桜とは違う様です。私は、植物には詳しくな いので、よく分かりませんが、土壌が強酸性だとか、強アルカリ性だとか、 硫黄が多いとかの特殊な事情で、その土地に咲く桜の花だけが、黄色に染ま る様なことがあるのでしょうか?ちなみに、駒込の行願寺は、現存していま すが、そこに「黄色の桜」が現存しているか、までは調べられませんでした。 今度、行ってみようかな? ●跋 笑助お勧めのメルマガです。落語、お笑い、なぞかけに興味がおありの方、 どうぞクリックしてください。 【笑いながら脳を鍛える】なぞかけめ〜る♪ http://www.mag2.com/m/0000159712.html 前号の能書きに対して「隅田川はどぶ川ではない」とメールを下さいまし た「あきよ」様、ありがとうございました。そうですね、今の隅田川は、だ いぶ綺麗になり、余りの悪臭のため、花火大会が中止になった頃の隅田川よ りは、改善されていますね。私も時々生まれ故郷の吉原(浅草)近辺を散策 して、隅田川沿いを歩いたり、また、この頃、変な縁で頻繁に隅田川下流の 辰巳、深川近辺を歩く事があります。そんなおり、今の隅田川を眺めると、 どうしても、飲用に出来るどころか、清流にしか住めない白魚が泳ぎまくり、 ホタルが乱舞し、川の底まで透けて見えたと言う、江戸時代の「清流」隅田 川と比べてしまいます。ああ、江戸へ行きたい、江戸へ行って、江戸の隅田 川をこの目で見てみたい・・・ さて、私は、縁合って「御衣黄」を見た事があります。たしかに、普通の 桜の様な淡紅色ではなく、白緑と言うか、薄緑と言うか、そんな感じの変な 花の色です。これは、植物の葉の中にある「葉緑体」が、花の中にもあるか ら。普通の桜は葉緑体を含まない、ウコンは少し含む、御衣黄は多く含む、 のが色の違いとなるとの事です。けど、桜はやっぱり、淡紅色が良い、そう 思った方は、立派な日本人。欧米人は、淡紅色より黄色系の花を好む傾向が あり、欧米では、「ウコン」の方が、他の桜よりも人気があるそうです。日 本人に生まれて、良かった・・・ ご意見・ご感想、お待ちしております。頂いたメールは、お断りのない限 り、メルマガの中で紹介させていただく場合がありますので、よろしければ、 HNを。江戸時代、あこがれます・・・ ━━は━ん━も━と━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■お話:落語とお江戸のフリーライター・福々亭 笑助(千葉落語同好会) ■ご意見・ご感想は syosuke@mbn.nifty.com ■千葉落語同好会ホームページ [ちばらく]←検索 ■発行元 :マンモス通信 info@manmos.tv ■HP : http://www.manmos.tv/magazine/rakugo/ ■発行協力:まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000107654.htm (解除) ■バックナンバー≫ http://blog.mag2.com/m/log/0000107654/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━じ━ご━う━ご━き━た━い━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ テレビ番組でも多数取り上げられた 京都発 和柄デニムブランド mizra(ミズラ) 人気の剣道着×和柄ジーンズ! http //px.a8.net/svt/ejp?a8mat=1C06UG+6JSFM+18C4+BY643 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------------------------------------------------------------- 普段着感覚で気軽に着られる着物ブランド、「風香」のオンラインショップ。 現代の空気に溶け込む、カジュアルなポリステルの洗える着物を販売しています。 http //px.a8.net/svt/ejp?a8mat=165SRS+BGLF02+190U+601S3 ----------------------------------------------------------------


