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2008/08/09

精神科医 成木 文の「心理小説集」と「人生相談」コーナー

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     ■■■精神科カウンセリング■■■ 通算270号 
    
    ------精神科医との人生、身の上、医療相談------


          (カウンセリング例)



 ≪1≫ 妻の事で。

 妻が結婚の挙式を境に人格が豹変し、ヒステリーになりました。
それも病的なもので、ほとんど本人にはヒステリーの時の記憶がな
く、自傷行為や110番に電話して、わけのわからないことを叫ん
だり、近所とトラブルを起こして、殺す殺さないのケンカを繰り返
すようになりました。結婚前は、実家で音楽教室を開いていたお嬢
さんでしたが。 
 僕が新築した家に、彼女の思うような楽器の部屋を作らなかった
のが怒りのはじまりなのですが、今ではあきらかに病的で何度か救
急で精神科に運ばれ躁うつ病、人格障害と言われました。妊娠も、
ぼくがヒステリーが少し治まるまで避妊しようと言いますが聞かず、
妊娠し、絶対子供なんかいらない、あんたの子と思うと気持ち悪い
と勝手に中絶し、そういうことが3度もあります。本当に治るのな
ら、僕も努力しようと思いますが、人格障害というと、彼女を作っ
てきた環境、体験、すべてから現在の人格となっているので、長い
期間かけなければ治らないのではないかと思いますがどうなのでし
ょう。また躁うつ病は裁判離婚も認められる回復の難しい精神疾患
とありますが、どういうものでしょうか。
 信頼関係で結びついた夫婦なので、信頼が壊れてしまった今、僕
に何ができるでしょうか。 
 彼女の現在は、毎朝僕が出勤するときは行かないでと泣き喚きか
らはじまります。逃げるように、また時にはごめんと土下座をさせ
られてから出勤しますが、会社に到着するまでも携帯に電話で泣き
喚いてきます。会社に電話してくることも何度もあります。帰宅は
職業柄深夜になることもしばしばですが、泣きつかれて眠っている
ときや、酒に泥酔しているとき、全裸で玄関にうずくまっていると
き、風呂の中で溺れている様に眠っているとき、料理中よと笑って
いながら、なべを焦げ付かせて黒煙を上げているとき、などどれも
異常としか言いようのない毎日です。 
 現在僕も付き添うという約束で精神科に通院しており、三種類の
薬をもらっています。まじめには飲んでいないようですが、ある程
度は僕が飲ませています。毎日水割りの濃いのを2杯ほど夜飲んで
いるようです。アル中とまではいかないと思いますが、女にしたら
かなり飲むという感じです。性欲は、以前と変わらず強いです。
 今もまた携帯に電話をかけてきて、出ると無言なので、何してる
のと聞くと、今ねぇ、あたちねぇ、空気をねぇ、見てるの。としか
言いません。僕をおちょくっているのかとも思えますが、本当に幼
児化しているのかもしれません。理解不能です。


 ご返事:

 あなたがた二人だけでの解決は難しいんじゃないでしょうか。
 定期に通院しておられるようですが、服薬が不規則なら効果もあ
がっていないようですね。できれば、訪問看護などを利用される手
もありますが、今の状態では収拾が困難かもしれません。ちょっと
勇気がいり、かえって激昂をまねく場合もありますが、思いきって
いったんしばらく入院していただくのが、おたがいの距離を保つた
めにも薬の効果を事細かに判断してもらううえでも、解りやすくな
るのではないでしょうか。ただそのためには説得が必要になるでし
ょう。保健師さんやケースワ ーカーさんなど第三者に協力しても
らうことになるかもしれません。とにかく、今のままでは見通しが
たちにくくなっていますよね。
 おっしゃるように信頼関係で作りあげてきたご家庭であるだけに、
退行した状態になってしまったからといって、簡単に離婚というわ
けにもいかないでしょう。ただ、少なくともこのままでは、お二人
とも行き場をなくしてしまう恐れがあります。耐えられない状況に
近づいているのですから、多少、荒療治は覚悟しなくてはならない
でしょう。
 


 ≪2≫ 男とも女とも好きあえる私は性障害?

 私は20代の女性です。現在男(彼)とも、女(彼女)とも、それぞ
れと体の関係を含めた付き合いをしています。二人とも私とずっと
一緒にいたいといってくれます。私も同じです。しかし彼といる時
/彼女といる時、当然楽しいのですが、いつも心と体のギャップに
悩みます。
 彼女からは性転換をせまられましたが断りました。女として生き
たいという気持ちがやはりあって。でも自分が男だったら良かっ
たのに、と思う事も何回もありました。この前、この事で悩みすぎ
てストレスが溜りすぎたのか、小さなナイフで左手甲を切るという
自傷行為を生まれて初めてしてしまい、小さな傷ができてしまいま
した。二度としたくないですが。
 私は男も女も抱きたいし抱かれたいしどちらに対しても性欲があ
ります。なにより一緒にいて安らぎたいしぬくもりが欲しい。(幼
少の頃からスキンシップがなかったり、いつも一人だったからぬく
もりとか愛情に飢えていて、それを求めすぎているのでしょうか?
)女として男を好きだし、女として女を好きになる。よく、見た目
も中性的だと言われるし。男とも女とも好きあえる(両性愛?)私
は性障害か何かでしょうか?悩んでます。 


 ご返事:

 今のところ事実は事実ですから、ありのまま認めざるをえないの
ですが、それにはギャップを感じ苦しんでおられるのですから、こ
の辺で今後を見すえ整理しないといけないでしょう。
 たとえば愛する対象が男だけであっても、複数となると当然揺れ
動く気持ちに悩むことでしょうし、いつかは無理が生じてくるに違
いありません。ですから、両性に渡って愛するなどという前に、対
象が絞れるよう理性の力を借りないと混乱はさけられません。
 どちらか優位であるにしろ両性に関心を抱くのは、少年少女期に
はよくあることです。しかし、成長し社会性が増すごとに現実的な
状況がらみもあって、性の同一化は進まざるをえなくなります。内
面でそういう傾向が遷延する場合も、実生活を矛盾なく送っていく
には、計算された順位が必要になってくるはずです。



 ≪3≫ 自分の性格を変えたい。

 はじめまして、私は20代前半の女性です。私は対人関係を築く
のがとても苦手です。子供の頃は人見知りが激しく、挨拶すらろく
にできませんでしたし、中学・高校の頃になると対人恐怖や視線恐
怖症っぽくなり、学校へゆくのが嫌でたまりませんでした。会社へ
行くようになり、対人恐怖症などの症状は薄らぎましたが、今度は
鬱になってしまいました。波はあるものの、今現在も鬱で悩んでい
ます。対人関係をもつのがおっくうでたまりません。人とかかわり
たくないとさえ思ってしまいます。
 病院に行ったほうがいいなとは思うのですが、行くほど重症では
ないような気がしますし、保険証などから、会社にばれてしまうの
ではと思うと、どうも踏ん切りがつかないのです。日常生活にも支
障をきたしていて、とてもつらいです。将来にも希望がもてないで
す。鬱が治れば性格も多少は改善されるのでしょうか?それとも昔
からの性格は、そうは変わらないのでしょうか。

 
 ご返事:

 行為面での抑制もあるようですから、相当苦しいんでしょう。軽
い症状と思われておられるようですが、早期治療という言葉は精神
科でも同じことです。ひとつ気楽に門をたたいてごらんになったら
いかがですか。ちょっと勇気が出てくるような抗不安剤や軽い抗う
つ剤が処方されるかもしれません。また人と話しあう練習にもなる
でしょう。一人で思い悩んでおられないで、もちはもちや、ここは
専門家の意見を聞かれたほうが得策ではないでしょうか。憂うつや
億劫さが少しでも解消すれば、表面上も当然明るくなったと見られ
るようになります。
 以前の保険証には病名欄がありましたが、それもほとんど書きこ
みませんでした。診断書を提出するようなことがあっても、対外的
には不眠症とか自律神経失調症など、あたりさわりのない症状名に
していただくよう配慮してもらうといいですね。とにかく、心配事
は何事も遠慮せず言ってもらったほうが医師も助かるのです。
 


 ≪4≫ 聞きたい。

 ぜひ精神科医の先生に真実をお伺いしたいと思いここに辿り着き
ました。お伺いしたいのは離婚した妻の精神病の事です。
 妻は結婚後、僕の両親と衝突ばかり、折り合おうとしないどころ
か、異常行動(わら人形作ったり、刑事事件になりそうな行動の計
画書を作成していたり)が頻繁にあり、自殺未遂も何度もあり、何
日も寝ずに車を走らせ事故って車を廃車にしたり、もう滅茶苦茶な
生活で、精神科に入院もさせ通院もさせ服薬もさせましたが、彼女
への愛情が薄れ離婚したくなり申し出たところ、「精神病の状態に
しておきながら、離婚もあるか」とか「精神病になったのはこの結
婚のせいだ、今後の生活の保障をしろ(つまり慰謝料通院費などよ
こせ)」と親族や弁護士がでてきて、がんがん言われ、2年近く(
別居)交渉しましたがその間元妻に面会することは一度もなく、多
額の解決金を支払い離婚しました。
 しかし、その数ヵ月後彼女はある男性を婿養子にもらい再婚して
まして、その後に出産もしている、公に子育てのコラムを書いたり
している、旦那と一緒に新会社を起こし幅広く活躍していて、外車
に乗りまわしている・・・・。これは精神病を偽装していたのでは
ないのでしょうか?医師は、患者が偽装か、真実に精神を病んでい
るか、確実に見抜けるのでしょうか?
 元妻の弁護士に、彼女の再婚を知った段階で抗議の電話をしたら、
彼女は離婚後現夫の力を借りて回復した、今でも通院はしている、
×××万円は治療費ではなく離婚の解決金だ、仮に治療に何十年も
かかりもっと治療費がかかってもあなたに再請求できないのと同じ
で、早く治っても返還する必要のない金だと言われ、さすが弁護士
にはかないません。入院させていた頃の診断書では躁うつ病、性格
異常、心因反応と書かれています。 

 
 ご返事:

 精神疾患が重症で治癒が困難とされる場合、離婚理由となること
があります。しかし、もちろん強い申し出がないとすんなりとはい
かないようですし、また配偶者が精神病を患っているからといって、
はいそうしましょうなどと簡単にいかないのも道理のうちでしょう。
 ただ、精神疾患が状況要因だけで発病したと診断するには慎重さ
を要しますし、ましてや結婚のせいでとは断定しがたいですよね。
病名は三つあるようですが、最後の心因反応というのは、その言葉
通りある動機や原因に対して病的反応を起こしていると推定された
ものでしょうが、躁うつ病に関しては状況要因だけで説明するには
無理の生ずることがあります。元奥さんの場合も、結婚以前からそ
ういった前兆がなかったか、医者は吟味するものです。
 しかし、協議離婚に際しては時間をかけ重々話しあわれたのでし
ょうから、あなたの意見だけを聞いて判断するのも若干ためらわれ
るのですが、この結婚期間でしかもあなたはそれなりに治療にも協
力されたのですから、あなたの経済力や収入によっても違ってくる
ものの、おっしゃるように金額は少し高目でしょうかね。
 元奥さんは今現在通院しながらも再婚し幸せにやっておられるよ
うに見えるということですが、患者さんも時とともに自己洞察も進
み、薬物治療の効果もあがっていくことが十分考えられる時代です
から、急速な改善がないとはもちろん言えません。
 役者さんなどが病人の演技をしたりしますが、本質的には精神疾
患の模倣は困難と言われています。ですが、この頃では非常に有効
な薬物も出てきていますので、かつてのひどい病像はもしかして模
倣ではなかったかとつい疑ってしまうぐらい良くなることだってあ
るのです。
 さて、金銭的なことに関して再調停を希望しておられるようです
が、今やすでに事後ということになりますから、くつがえすのは難
しいかもしれません。どうしても納得がいかないというのでしたら、
あなたの方でも弁護士をつけて医師のかっての診断書をもとに話し
合いを再開されたらよろしいでしょう。しかし、これもまた結構お
金がかかりますね。口幅ったいことを言うようですが、元奥さんが
幸せになっておられるのでしたら、それで良しとできるぐらい余裕
を持たれたほうが男らしいかなと思うのですが、いかがでしょう。



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                      (発行人 記)

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          【CM】   
         
       (成木 文の心理小説集)
    

    一、 成木 文著 「或る男の残像」
                
               ブイツーソリューション

     他四作所収(悲しいがどこか滑稽な人間模様)
        
                 
     1、或る男の残像 
     2、監督 
     3、バタフライ・ノート
     4、ゆずり葉 
     5、終着駅のタンゴ
    
     (電子書店パピレスでの紹介は下記。
      http://www.papy.co.jp/act/books/1-108301/ 
      セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、
      紀伊国屋等ネット書店でもオンライン販売)


    二、 田辺 未方(成木 文)著 
           「ロッシーという名の毛編みの男」
                           
                       文芸社
 
     他五作所収(テーマはさまざま。カフカ?から
                    一幅の絵まで)

     
     1、ロッシーという名の毛編みの男 
     2、指令 
     3、崖からの眺め 
     4、コンパクトミラーの中
     5、赤い斑点 
     6、旅
     
     (電子本は下記URL.
   http://www.boon-gate.com/cgi/search/details.cgi?id=12374
      amazon.co.jp、ブックサービス、紀伊国屋BookWebでも
      オンライン販売) 

    
    三、 成木 文著 「サッカー」
               
               ブイツーソリューション
     
     他三作所収(若者のチョット深刻な素材
                     にスポット)

     
     1、サッカー 
     2、水曜日の手紙 
     3、お化け 
     4、新しい朝
     

     (電子書店パピレスでの紹介は下記。
      http://www.papy.co.jp/act/books/1-106034/
      セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、
      紀伊国屋等ネット書店でもオンライン販売)
     

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      マガジン名:【精神科カウンセリング】
      副題:精神科医との人生、身の上、医療相談
      発行:二週に一回
      発行責任者:成木 文
      発行元:「精神科医・成木 文」
      関連URL:
        http://park1.wakwak.com/~bun/
      ****************************************

                       2008.8.9(土) (753)

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