2009/10/17
精神科医成木文の「相談コーナー」と心理小説集。家族との葛藤。
■■■精神科カウンセリング■■■ 通算300号 ------精神科医との人生、身の上、医療相談------ (カウンセリング例) ≪1≫ 抜毛症について。 はじめまして。メールマガジンをいつも楽しみにし ております。わたくし36歳・独身(女)です。現在 、神経症で精神科に通院し3年がたちます。 私の悩みは20年以上続いている抜毛症です。最初 のきっかけは頭に出来たかさぶたを剥がす事でしたが 、いつのまにか髪の毛を抜くようになっていました。 私には1歳違いの兄がおり、彼はその頃中学受験の 為塾に通っていました。両親の期待は膨らみ母は塾通 いの兄にお弁当を作り、私はそれがとても羨ましかっ た事を今でもはっきり覚えています。兄弟とはいえ仲 が悪く、出来の悪い私に対して兄は色々攻撃をしてき ます。(トイレやお風呂に入っていても覗かれたり、 私が寝ていると勝手に部屋にはいってきたり、プライ バシーが無かったのです。) 両親には何度も何度も兄を注意してくれるよう言い ましたが全く効果がありませんでした。きっと、その 寂しさから抜毛が始まったのだと思います。そして、 24年が過ぎた今でも髪の毛を抜いてしまうのです。 しかし、そんな中一時的に抜毛がおさまっていた時 期があります。それは、彼ができてお付き合いをして いた2年間くらいです。結婚も考えたのですが、両親 の反対にあい泣く泣く私の方から一方的に別れを告げ ました。そして、自殺未遂。何もかもが狂っていきま した。精神科に2度入院をし、今は体調がある程度戻 り仕事を再開しましたが、何に対しても興味が湧かず 何の為に生きているのかと毎日自問自答の日々です。 抜毛症は子供の病気と考られていますが、私はまだ 子供なのでしょうか?そして、この癖(?)がなおる のでしょうか?どうか宜しくお願い致します。 追伸、私はその他にパニック障害・摂食障害・買い 物依存症などの症状でも辛い日々を送っています。 ご返事: 確かに、抜毛やその他の症状に関しても、代償的な 意味があったのかもしれませんね。逃避性もしくは自 慰的であったり、人の気をひくなり助けを求める暗示 であったり、あるいは空虚を満たす行為だったりと、 生存のバランスをとるために誰もが多少はあるもので すが、あなたの場合、たまたまそういう表現になった という見方もできるでしょう。 ここまで苦労しない方法で埋め合わせができれば、 それに越したことはありませんが、おっしゃるとおり 、心の中の無理の程度というのは、周囲との葛藤でも 変わってきます。 小児期の記憶が、まだ灰色のまま鮮烈に残っている のだとすると、その時期の心性や行為の歪みが惰性的 に遷延するということもあるでしょう。20何年と言 っても、あっという間ですからね。しかし、これから は、むしろこの先のあっという間の方に、前傾姿勢を とってみてはいかがでしょう。 彼氏とつき合っていた2年間、抜毛が消褪していた というのは、誠に霊験あらたかですね。知らず、行動 療法になっていたのでしょうか。では、今すぐまた恋 愛というふうにもいかないでしょうが、異性の前で成 人の自覚を持つのは、もちろん生きがいにつながるで しょう。 精神科へ通っておられるということですが、デイ・ ケアなどは好みではありませんか。あるいは恐る恐る でも趣味のサークルなどに参加できませんか。明るい 集団になじんでいければ、少しいびつな自我も丸く膨 らませていけるんじゃないでしょうか。 ≪2≫ 母の精神状態。 私の母は、66歳の主婦です。2,3ヶ月前から下 記のような症状が起きております。 1.父(72歳)と息子(私・34歳)に激しい憎悪 を抱き、嫌いぬくようになった。(原因不明) 2.父が祖母(母の実母、一人暮らし)の様子を見に 行くと、嫉妬して、しつこく詮索する。「肉体関係が あるのではないか?」とまでいう。 3.誰も何も話していないのに、「いま、悪口を言っ ていただろう」と、つかみかかってくる。 4.家人のやっていること(食事の支度、掃除など) をじっと監視し、細部までいちいち怒鳴りつける。時 には暴力をふるう。(つかみかかる、たたく) 5.時々、錯乱状態で物を投げる。 6.自分の今までの人生について「今まで家事や子育 てに追われて苦労してきたのだから、これからはおま えら(父、私)を、死ぬまでしごいて、いじめて苦し めぬいてやる」という。 7.何十年も前のことにさかのぼり、父に恨みつらみ をいう。 ・「あんたは私とでなく、祖母と結婚したんだ」 ・「祖母を殺してやる。あんたも殺す。死んでし まえ、馬鹿野郎」 8.病院の受診をすすめても拒否する。 以上のような状態です。その他の現状としては、 ・父は、何をされても黙って我慢している。「一緒 に病院に相談に行こう」といっても、「病院なんか行 ったら金がもったいない」という。(精神科自体に抵 抗感もある様子) ・私は、なるべく刺激しないようにしながら、「病 院に行こう」と優しく言い聞かせているが効果はない 。 ・家族がばらばらに暮らしている状態。普通の会話 をしたことがない。笑ったことも、穏やかにしゃべり あったこともない。食事も別々。今回の件についても 、母がすぐ錯乱、興奮するので話し合いにならない。 ・遺伝要因としては、私の従妹(母方)が「分裂病 (?)」と診断され自殺している。叔母(従妹の母) もそれを苦に自殺している。また、私の実姉(母の第 一子)がダウン症で施設に入所している。 以上、長々と書いてまいりましたが、これらはすべ て事実です。 父は無気力であり、私も正常な日常生活が送れない 状態が続いています。何とか本人を医療機関に受診さ せるにはどうすれば、どう言い聞かせればいいでしょ うか?家系的に何か異常な遺伝負因があるのでしょう か?よろしくご教示のほどお願いいたします。 ご返事: ニ、三ヶ月前からということですから、発症は最近 のことですね。確かに被害妄想や嫉妬妄想、それから 情動面の興奮や混乱があるようですね。加齢とも関係 があるかどうかわかりませんが、いずれにしろ精神病 状態と言っていいでしょう。もちろん、鑑別診断と治 療が必要な段階ですが、病気だとは思っておられず、 認めてもいただけないんでしょうね。 往診をしてくださる病院があれば、来てもらい診察 を受けるのが一番手っ取り早いんですが、見当がつか ないようであれば、最寄りの保健所さんか精神保健福 祉センターに電話なりご家族がまず行くなりして相談 されるのがいいでしょう。状況に応じた治療への取っ 掛かりをいろいろ教えてくださるはずです。それから 、精神科という標榜名を避けておられるのでしたら、 心療内科あたりなら、カムフラージュできるんじゃな いでしょうか。しかし、入院の場合のことを考えると 、精神科病院の方がいいでしょう。 今はいいお薬がありますから、早く治療をなされば 、治りも早いものです。最初はなだめたり、少しいつ わったりして飲んでもらうこともやむを得ないときが あります。ご主人の協力があるといいんですがね。 それから、遺伝云々のことですが、遺伝子学的な側 面からの研究は最近富みになされているものの、まだ 根拠がはっきりわかっていません。統計学的にわずか に遺伝性が憶測されている程度で、これも確たるもの ではありません。そもそも、結構発症率の高い病気群 なんですね。 ====================== このマガジンでも皆様からのご相談を受け付けていま す。どうぞお気軽にご投稿下さい。 関連URL中の下記カウンセリング専用投稿ページ http://park1.wakwak.com/~bun/counseling.html にてお願いいたします。 ご返事はすべてURL中のカウンセリングコーナーに て行います。ときどきURLにアクセスのうえご確認 していただきたくお願いいたします。 なお、登録解除URLは関連URLのトップページに あります。 (発行人 記) ======================= 【CM】 New! 夢想的、喜劇アニメ風心理小説、「銀座九丁目」。 関連URL(私と小説欄)に寄稿終了(9月25日)。 (成木 文の心理小説集) 一、成木 文著 「或る男の残像」 ブイツーソリューション 他四作所収(悲しいがどこか滑稽な人間模様) 1、或る男の残像 2、監督 3、バタフライ・ノート 4、ゆずり葉 5、終着駅のタンゴ (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-108301/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981906980 でもオンライン販売) 二、田辺 未方(成木 文)著 「ロッシーという名の毛編みの男」 文芸社 他五作所収(テーマはさまざま。カフカ?から一幅の絵まで) 1、ロッシーという名の毛編みの男 2、指令 3、崖からの眺め 4、コンパクトミラーの中 5、赤い斑点 6、旅 (電子本は、Boon-gate.comで紹介。 http://www.boon-gate.com/cgi/search/details.cgi?id=12374 ブックサービス、 紀伊国屋BookWeb、 アマゾン http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4835584686/ref=sib_dp_pt#reader-link でもオンライン販売) 三、成木 文著 「サッカー」 ブイツーソリューション 他三作(若者が主人公のアイロニー) 1、サッカー 2、水曜日の手紙 3、お化け 4、新しい朝 (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-106034/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981549487 でもオンライン販売) *************************************** マガジン名:【精神科カウンセリング】 副題:精神科医との人生、身の上、医療相談 発行:二週に一回 発行責任者:成木 文 発行元:「精神科医・成木 文」 関連URL: http://park1.wakwak.com/~bun/ **************************************** 2009.10.17(土) (904)


