2009/08/08
精神科医成木文の「相談コーナー」と心理小説集。赤面と対人恐怖。
■■■精神科カウンセリング■■■ 通算295号 ------精神科医との人生、身の上、医療相談------ (カウンセリング例) ≪1≫ 赤面恐怖 私はごく平凡な主婦です。見た目は社交的に見られ 、相手と話す事が苦手だとは誰も気づいてはいないと 思うけど、その状況によって自分ではなくなってしま う程極度の赤面症になり、今まで冷静に話していたに もかかわらず相手の話が聞こえなくなるほど赤面して いる自分を心の中で追い込み続け、深みに入っていく 病と10年以上付き合っています。 どうしてこんな感情になるのか自分と向き合いなが ら考えてきました。プライベートではお酒を利用し顔 色をカバーできる事で自分をすべてさらけ出し、あま りお酒は強くないのに本来の自分を取り戻すかの様に 精神が癒される毎日。 ただ、会社内では自分を置き換える事ができず同僚 、上司と接する事が多い中相手から声をかけられただ けで真っ赤になり、話している内容すらも頭には入ら ず相手が私の顔を見て不思議な表情をすればするほど 自分が深みに入りその場所から逃げ出したくなる状況 が毎日続いてます。 入社した当時はまだ私を知る人は当然いない為、現 在よりひどくはなくこのままここで赤面が直せるんじ ゃないかと思ったけど、だんだん月日と共にお互い相 手を知るほどに病が出てきてもう戻る事ができなくな ってます。こんなに自分を追い込み眠れない状態にま で追い込んでしまった原因はどこから始まったのかで きるものなら過去に戻ってやり直したい気持ちで一杯 です。 私はプライドが高く例えばパソコン業務など相手に 指摘されると相手を煙たいと思うのではなく、できな い事に対し自分を恥じて気づいた時には、どんどん説 明を受けながら横で赤面している事に舞い上がり全く 相手の声が聞こえなくなるのです。そして、1度この 赤面を見られた人には修復がきかず隠す事ができない 状況になってしまうのです。 何か自信を持ちたいと、今パソコン教室に通い資格 を取る事で何か見えるのではないかと期待してやみま せん。 主人や両親に対しても消えうせない病は深刻な状況 と察し精神科に見てもらおうと決断しました。今回、 私は軽はずみな気持ちで投稿した訳ではありません。 初めて悩みをこのような形で載せることによって、ど れだけ私にパワーを与えてくれるのか計り知れないで す。是非アドバイスをいただき、どこか病院があれば 教えてください。 ご返事: 対人恐怖や赤面恐怖を、お酒でカムフラージュしよ うとされる方は結構いますね。 あなたも、おそらく今までいろんな方法、たとえば 不安が予測されるような場面を、あらかじめ遠慮する とか、とっさの理由をつけて場を離れるとか、あるい は、ちょっとした仕草でとりつくろったりごまかした り、逆に居丈高に出て声を張りあげてみたり、それで 逃れ切れなかったときは、やむを得ず無言でしのいだ り顔をそむけたりなど、いろいろ苦労されたのだと思 います。女性の場合は化粧や色入りメガネやヘアスタ イルなども、顔を隠す手段に使えそうですね。 人は他者を必要以上に意識しているものですから、 以上のようなことは量の多寡はあれ、どんな人も多少 は思いあたるものです。 あなたはプライドが高く、反面コンプレックスも強 いということですが、その矛盾の幅を小さくしようと して、資格を取ろうと努力されています。それはそれ で事に当たってうろたえない自信にはつながるでしょ う。赤面に至るからくりの一端で、いくらかでも落ち つくかもしれません。 一つには慣れとか訓練とかいうことも足しになるで しょうが、年令を重ねるというのも、世間に対して厚 かましくなり、自分のプライドやコンプレックスにつ いても高が知れるようになるでしょうから、意識過剰 になることも相対的に弱くなるはずです。 恐怖心は、そもそも対象となっているものが、よく 解っていないところから生ずるものです。かかわろう とする他者とやり合う前から過大に意識し、同時に自 分の恥部や弱味を見抜かれたと早とちりしてしまうと 、出っきらない内的エネルギーが火照りとなって燃焼 するのかもしれません。戦わずして負けたことになる わけですから、プライドは行き場をなくして、こんな はずじゃなかったのにと悔やむことにもなります。プ ライドとコンプレックスという車の両輪の間で、そう いう風に空回りしてしまう自分自身への恐れも、おそ らくあるのでしょう。 まず、赤面への恐怖がなぜにあるかという説明をし てみるのも、心理分析的な効用があるかもしれません 。しかし、理屈が解ったからといって、人間の生態か ら赤面が消滅するとも考えられません。とすると、人 が集団の中で生きていく上で、必要な生理現象なのか もしれませんね。恥じらうということは、空想豊かな 人間にしかない高等な機能なのでしょう。 さて、カウンセリングの件ですが、ご自分のお気持 ちを整理なさるのには重宝だと思います。一般の精神 科クリニックでも当然扱っています。あまりにも緊張 する場面が予測される場合、抗不安薬を暗示作用も期 待し前もって頓用するという手もあります。 ≪2≫ 人が怖いです。 私は23歳の女です。両親、または世間との関係で 悩んでいます。私は昨年の7月からアパートで一人暮 らしをしているのですが、実家のほうに行くたびに精 神的に不安定になるんです。二日続けて実家に泊まる ともう駄目で、真夜中にどうしてもいたたまれなくな ってアパートに戻ったこともあります。本当に胸が苦 しくなって、不安でいらいらして、泣きたくなります 。多分、原因は父だと思います。 行かなきゃいいのにとも思うんですが、母が心配で ・・・というか、変な話ですが、目を離すのが怖いん です。監視しているような変な気分になることもある んです。考えすぎなんですが、父に辛く当たられてる のでは、とか、そのうち(母が)耐えられなくなって 倒れてしまうんではないか、とか・・・。 今は結構ましになりましたが、私が子供のころから 父は随分と気分屋で、気に食わないことがあるとすぐ 当り散らし、人の意見は聞かず、自分が言うことのほ うが正しい、だから従え、という感じのひとでした。 父は気に食わないことがあると、母にあたるので、何 か言いたくても何も言えず、くやしい思いをしました 。 私は、父が憎くて、怖かったんです。あいつさえい なければ、とも正直思いました。暴力こそなかったも のの、毎日つねに緊張していました。 私は家は出て、どん底みたいな気分も自然と良くな り、「昔のことだから」と、割り切れたと思っていた のです。でも、実家に行き、しばらく会話してると、 「やっぱり駄目だ」となります。拒否反応が起きてし まうんです。父を含め、男性の大声とかが怖いんです 。そしてちょっとでも機嫌が悪いと、ものすごい憎悪 がわいてくるんです。矛盾してますが、別に父のこと が嫌いなわけではないんです。 実家が辛くて家をでたのに、家を出た今も苦しいん です。「大人の男性は敵」だった頃の自分から、未だ 抜け出せません。条件反射で竦んでしまいます。これ から先、私は同等な立場で、まともな人間関係を築け るのか、絶望的な気分です。 まとまりのない文章で申し訳ありません。もしよろ しければ、何かアドバイスをいただければと思います 。失礼いたします。 ご返事: お父さんのことが嫌いなわけでもなく、むしろいつ も気になる存在です。そしてまた、憎しみが湧いたり もします。人を意識しすぎると、こういった相反する 感情がしばしばせめぎあうものです。恋愛においては 、それがときとして顕著になることがあります。愛は 憎悪に変わるとか、可愛さ余って憎さ百倍といった聞 き慣れた語句も、そういった人情の機微を言っている のかもしれません。これから恋をなさると、その復習 みたいなことに思いあたることもあるかと思いますが 、今は情念の訓練ぐらいに思っておかれたらいいでし ょう。 ところで、お母さんの方は心配なさらなくて大丈夫 です。夫婦とは面白いもので、端から見ると気の毒に 思えても、長い間のうちに案外それでちゃんとバラン スもとれ、互いに心得ておられるもんなんですね。 あなたは、過去の記憶に舞い戻りがちなんでしょう が、お父さんの人生哲学なり躾方針は決してマイナス 面ばかりではなかったと思います。見方をちょっと変 えてみましょうか。 人は本質的にみな同じです。そんなオーバーに怖が ることはありません。お父さん自身だって、もはやわ が子のことが多少怖いのかもしれませんしね。 ====================== このマガジンでも皆様からのご相談を受け付けていま す。どうぞお気軽にご投稿下さい。 関連URL中の下記カウンセリング専用投稿ページ http://park1.wakwak.com/~bun/counseling.html にてお願いいたします。 ご返事はすべてURL中のカウンセリングコーナーに て行います。ときどきURLにアクセスのうえご確認 していただきたくお願いいたします。 なお、登録解除URLは関連URLのトップページに あります。 (発行人 記) ======================= 【CM】 (成木 文の心理小説集) 一、成木 文著 「或る男の残像」 ブイツーソリューション 他四作所収(悲しいがどこか滑稽な人間模様) 1、或る男の残像 2、監督 3、バタフライ・ノート 4、ゆずり葉 5、終着駅のタンゴ (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-108301/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981906980 でもオンライン販売) 二、田辺 未方(成木 文)著 「ロッシーという名の毛編みの男」 文芸社 他五作所収(テーマはさまざま。カフカ?から一幅の絵まで) 1、ロッシーという名の毛編みの男 2、指令 3、崖からの眺め 4、コンパクトミラーの中 5、赤い斑点 6、旅 (電子本は、Boon-gate.comで紹介。 http://www.boon-gate.com/cgi/search/details.cgi?id=12374 ブックサービス、 紀伊国屋BookWeb、 アマゾン http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4835584686/ref=sib_dp_pt#reader-link でもオンライン販売) 三、成木 文著 「サッカー」 ブイツーソリューション 他三作(若者が主人公のアイロニー) 1、サッカー 2、水曜日の手紙 3、お化け 4、新しい朝 (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-106034/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981549487 でもオンライン販売) なお現在、「銀座九丁目」鋭意執筆中。夢想、幻想的 心理小説のつもりです。 *************************************** マガジン名:【精神科カウンセリング】 副題:精神科医との人生、身の上、医療相談 発行:二週に一回 発行責任者:成木 文 発行元:「精神科医・成木 文」 関連URL: http://park1.wakwak.com/~bun/ **************************************** 2009.8.8(土) (883)


