2009/07/25
精神科医成木文の「相談コーナー」と心理小説集。恋人の病気。
■■■精神科カウンセリング■■■ 通算294号 ------精神科医との人生、身の上、医療相談------ (カウンセリング例) ≪1≫ 恋人の事について、教えてください。 初めまして、恋人の事についてお聞きしたい事が有 るので、宜しくお願いします。私は20代後半の男、 恋人は20代前半の女です。彼女には、数年前からか 過呼吸が出るようになり、自殺(首吊り、リストカッ ト)を繰り返しています。彼女は、幼少の頃より数年 前まで、親戚の男兄弟によって、性的虐待を受けたり 、夜道で車に引きずり込まれレイプ未遂にあったりし た事があるようです。また、彼女の両親は、若くして 駆け落ち同然で結婚し苦労したらしく、彼女には幼少 の頃より、スパルタに近い教育をしていたようです。 そして、彼女は「自分の中に三人の別の人がいる」と 言い、そのうちの一人が自殺を強要するような事を話 してくれました。また、自殺願望が出るのは、「決ま って自宅の自分の部屋だ」とも教えてくれました。 そこで、質問なんですが、私自身彼女の言動に戸惑 うことが多いのですが、どの様に対応したら良いか困 っています。私は、彼女に生きてもらいたいのです。 生きる事を強要する事が出来ないのは解っているつも りです。でも、何かアドバイスを下さい。宜しくお願 いいたします。 ご返事: 首吊りとありますが、これは首を絞める行為なんで しょうか。リストカットも含めて本格的に自殺を意図 している場合と、死願望があるものの、むしろ本心は 助けを求めている場合とがあるものですが、後者のケ ースでは一般に切傷は手首の動脈側は避けられている ものです。過呼吸についても一時の避難や被救助願望 を暗示していることがあります。もし、診察をお受け になっているのでしたら、その辺の識別法も一応教え てもらっておくと役立つことがあるでしょう。 過去に忌まわしい体験があったとなると、それが大 きな外傷体験になっていて、記憶から逃げだしたいと いう気持ちはもちろんあるでしょうし、一方でご両親 の厳格な期待にそえきれなくなった自分にいまいまし さを覚えつつも、遅ればせながら反抗心も潜んでいる かもしれません。種々そういった矛盾した心理構造の ために、自分の中の各階層の人格が統合されず、時と してばらばらになって現れ出るということでしょう。 そのうちの一つの人格が自罰衝動だという説明も可能 です。ご自分の自宅でしかそれがないとなると、その ことだけでも示唆的ですね。この辺のことに少しでも 整理がつき、自己洞察ができるようになればいいんで すが、そのためにはカウンセリングも有効だと思いま す。 危険な行為は、即刻止めてもらうに越したことはあ りませんが、周りの者は冷静に構える姿勢も必要です 。心の中の収拾はともかく、外見上、日常に忙殺され るくらいに、現実の目先に関心が次々動いていってく れるとありがたいんですけどね。 ≪2≫ つきあっている彼が・・・。 6歳年下の彼と去年の7月からつきあい始め、彼が 9月末に仕事をやめ、それからも週に3~4回会った りと順調につきあっていました。その彼が1月ぐらい から、私に無言電話をかけてきました。多い時は、1 日300回とか1日中電話のベルが鳴っている状態で 、彼に問いつめても、してないの一点張りでした。で も、彼の電話番号がナンバーディスプレイに出るので 間違いないのですが・・・。 彼の親にも相談しました。家でも、心を閉ざして、 何も話さない状態で、今まで整頓されていた部屋も本 やCDケースが乱雑に散らかりすごかったようで、結 局4月に入ってから、彼は精神科に入院しました。 考えていることがありすぎて、うまくこなしていけ なくなっていると診断されたとのことです。入院後も しばらく無言電話とワン切りが続きました。 5月の初め、メールに電話くださいと入ってきまし たが、私は今もう別れたいと考えていて、電話したと しても何を話していいかわからなくて、かけれません でした。最近は電話もメールもなくなりました。 今考えると、私が12月に「1月の国家試験勉強に 打ち込みたいから、しばらく会う回数を減らして欲し い」と言ってから、変わったような気がします。彼の 精神科の先生も「彼女が原因でしょう」と言ったそう です。 自分でもなぜ彼がこうなってしまったのか、なぜ彼 がこういう風にしてくるのかわからなくて、毎日考え ている状態です。彼がこういう行動を取った気持ちが 知りたいです。このままでは、自分が悩んで前に進め ません。どうしたらいいでしょうか。長文になりすみ ません。 ご返事: あなたは彼の精神変調が、すべて自分のせいだと思 って苦しんでおられるようですが、時間的に符号する 印象を強く持たれたのでしょう。しかし、彼の方は極 端に自閉的でかつ強迫的であり、しかも了解しがたい 否認などもしておられることからすると、病気の根は もう少し深いようで、かなり以前から潜んでいた可能 性もあるでしょう。 昨年の9月で仕事をやめた理由が書かれていません が、その辺りでももっと何か下地があったのかもしれ ません。今となっては、彼の既往を聞き出すすべもな いですしね。ここは病院の本格的な治療に任せられた らよろしいのではないでしょうか。 病気の種類とタイプによっては、なかなか理解に苦 しむものもあるのです。 ====================== このマガジンでも皆様からのご相談を受け付けていま す。どうぞお気軽にご投稿下さい。 関連URL中の下記カウンセリング専用投稿ページ http://park1.wakwak.com/~bun/counseling.html にてお願いいたします。 ご返事はすべてURL中のカウンセリングコーナーに て行います。ときどきURLにアクセスのうえご確認 していただきたくお願いいたします。 なお、登録解除URLは関連URLのトップページに あります。 (発行人 記) ======================= 【CM】 (成木 文の心理小説集) 一、成木 文著 「或る男の残像」 ブイツーソリューション 他四作所収(悲しいがどこか滑稽な人間模様) 1、或る男の残像 2、監督 3、バタフライ・ノート 4、ゆずり葉 5、終着駅のタンゴ (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-108301/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981906980 でもオンライン販売) 二、田辺 未方(成木 文)著 「ロッシーという名の毛編みの男」 文芸社 他五作所収(テーマはさまざま。カフカ?から一幅の絵まで) 1、ロッシーという名の毛編みの男 2、指令 3、崖からの眺め 4、コンパクトミラーの中 5、赤い斑点 6、旅 (電子本は、Boon-gate.comで紹介。 http://www.boon-gate.com/cgi/search/details.cgi?id=12374 ブックサービス、 紀伊国屋BookWeb、 アマゾン http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4835584686/ref=sib_dp_pt#reader-link でもオンライン販売) 三、成木 文著 「サッカー」 ブイツーソリューション 他三作(若者が主人公のアイロニー) 1、サッカー 2、水曜日の手紙 3、お化け 4、新しい朝 (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-106034/ セブンアンドワイ、 bk1、amazon.co.jp、 紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981549487 でもオンライン販売) なお現在、「銀座九丁目」鋭意執筆中。幻想的夢想的 心理小説のつもりです。 *************************************** マガジン名:【精神科カウンセリング】 副題:精神科医との人生、身の上、医療相談 発行:二週に一回 発行責任者:成木 文 発行元:「精神科医・成木 文」 関連URL: http://park1.wakwak.com/~bun/ **************************************** 2009.7.25(土) (876)


