2009/05/16
精神科医成木文の「相談コーナー」と心理小説集。恋のかけひき。
■■■精神科カウンセリング■■■ 通算289号 ------精神科医との人生、身の上、医療相談------ (カウンセリング例) ≪1≫ 歯止めのきかない虚言。 私は嘘をつき、その嘘の上塗りを重ねて好きな人を失いました。 彼は6歳年下で保険の営業をしていました。知り合ったきっかけは メールです。メールのやり取りをした後、実際に会いお付き合いが 始りました。彼は私以外にもメールをしている女性がいました。他 の女性を探しているのでは?と疑った私は実在しない女性になりす まし、知り合ったサイトから彼にメールを送ったのです。何回かや りとりをし、彼から「誰とも付き合っていない。一度会ってみたい 」と返事。 彼が会おうと指定した日、私には仕事だと言いました。私は我慢 できず、彼に友達がメールしていた相手があなただったので驚いた と言い、どうゆうことかと問い詰め彼は私に謝罪しました。それか らというもの連絡がないと「女性と一緒?」と疑うようになりまし た。彼は仕事柄か、女性と一緒に過ごす時間も多く、自分の事を思 ってくれている確信がないと体が震えるほどに不安でなりませんで した。 同時に私はある男性から好意を持たれていました。初めは嫉妬し てほしくてわざと手紙やメールを見せたりしていたのですが、スト ーカーだと彼が言った事をきっかけに、その彼をストーカーの存在 に仕立て上げてしまったのです。さらに、そのストーカーから守っ てくれる男友達がいる、彼らはあなたより私を大事に思ってくれて 事件を解決してくれた、と嘘をついたのです。 彼は自分の無力を私に謝罪し、これからは俺が守ると言い、一時 は良かったのです。しかし、彼の態度や言動に不安を感じると私は 次から次へと嘘をつくようになり、その嘘を隠すために嘘を重ねて いくようになったのです。彼の私に対する思いを確認したかったの です。 私には持病が有り、「手術することになった」「腫瘍ができた」 「余命を言われた」と嘘の連続でした。緊急を察知して連絡をくれ る内容のものを思いついたままに伝えたのです。そして私が死んだ と共通の友達の名を語ってメールを送るという最悪のところまでき てしまったのです。 彼は私の母親と面識があったので母のところへ行き、いままで私 が彼についた嘘を一部始終話しました。(彼は私が言ったことが本 当だと信じて) 母は何も知らなかったので驚き、私は母に嘘をついていた事を認 めました。何故このようになったのか原因を一緒に考えようと言っ てくれましたが、精神科へ行くのにもなかなか足を踏み込めずにい ます。なにかいいアドバイスがあったらと思い書き込みました。 ご返事: メールという交通手段は、確かに虚構を育み易い土壌であること も確かですね。現実に会って互いに顔を見ながら話しているだけな ら、まだ嘘の程度にも歯止めがきいていたのでしょう。ところが、 愛情の駆け引きにメール体験や内容も利用できると気付かれてから は、ご自分の力量以上の手練に魅かれていったのでしょう。相手さ んもメールをフルに利用されているという証拠が嫉妬に追い討ちを かけ、メールを介した空想の世界で情念の炎ばかりが燃えあがった のかもしれません。 相手の気持ちを確認するはずだったものが、ひたすらその技巧の 方に血道を上げるようになったのでしょう。彼への愛情がしからし めたと言えばそれまでですが、自分を殺してしまうほどの演出をや ってしまったんでは、少し思慮と自制心が足りなかったということ になります。 これからのITの時代、こういう形での情念の交流も増えていく のでしょう。すべていけないとも言えないような気がします。どん なに科学が進歩しても、人間の感情はそう変わっていないはずで す。愛や憎悪や怨恨、そして嫉妬や独占欲。そういったものはそも そもいつの時代になっても、なかなかコントロールしきれないもの です。コミュニケーションが多様に拡大し、よく考える暇を与えな いほど迅速化してしまうと、主体性や自我が希薄になったり、混乱 したり時流に操られたりする危険も多くなるはずです。時には時間 軸をゆるめて、少しのんびりゆっくり生活する工夫も必要になるの でしょう。 さて、嘘をつくというのがいかに計画性と緻密な記憶力がなくて はならないものか、今回の経験でよくお分かりになったようです ね。こんな苦労はしないほうが得でしょう。彼氏やお母さんにはあ りのままをおっしゃっていいのです。許してもらえるかどうかは分 かりませんけどね。ただ、一つ言えるのは嘘の上塗りをしても、す ぐに剥げてしまうということです。 ≪2≫ 留学からの「うつ病」。 こんにちは。私は今海外に留学中です。最近感じてきたのですが 私はうつ病かもしれません。それに今、遠距離恋愛をしています。 彼女は日本です。実は女友達が先週家に来て、その友達と寝まし た。友達は観光で私の場所に泊まり今はもう日本です。友達にも彼 氏が日本にいます。その友達は本当に普通の友達でした。友達も付 き合って2年の彼氏がいるのにこんなことになったのは初めてだと 言ってました。留学して今大学生をやっていますが、私生活のスト レスがピークでもありました。実際今もその生活が続いていますが 毎日大学の課題に追われ、自炊はしないので食生活もほぼ毎日外食 です。 本当に彼女が大好きでそんなことやる自分が最悪だと思いまし た。結局黙っていることに耐え切れず、日本の彼女にそのことを言 い、彼女の友人にも責められました。彼女も最初は激怒し今まで大 きな喧嘩もしたこともなかったのですが、当然暴言をはかれまし た。しかし、最後にはもう二度とこんなことをしないということで 許してもらいました。 正直に言った後、暴言を言われてる間、自分は実家の親にも日本 で精神科に行きたいとも言いましたが、とりあえず、次の大学の休 暇(来月)に日本に帰ることになってます。 それに今相手の友達が彼氏に正直に言うか迷ってる最中です。そ の友人は自分が彼女に打ち明けたことを知ってます。友達は今はそ ばにいませんし、連絡は当分しないということになってますが、も し友達が彼氏に言えば自分はまた責められるのは当然ですし、怖い です。彼女にはもう相手の友達には連絡取らないみたいなことも言 ってますが、実際相手の友達からメールが来た時にどうすればいい かわかりません。 結局は相手の友達を傷つけることにもなったような気がします。 本当にもうこんなことはしたくありませんし、するつもりもありま せん。これほど人を傷つけることが苦しいと思ったことはありませ んでした。今はすべてを言ったことで少しは楽になりましたが、ま だ憂鬱加減は抜けません。こっちで病院に行こうとも思ってますが 日本ではないですし、やはり最初はこういった形で相談しようと思 いました。こんな自分は今どうすればいいのでしょうか? ご返事: あなたの彼女とは話がついたというわけですね。その点に関して は、まずご同慶の至りと言っておきましょう。それで、友達さんも 自分の彼氏さんに告白されるということですが、彼女を引き止める ことはできないのですか。あなたは後悔なさっておられますが、同 じ屋根の下でいっしょに泊まれば、若いあなたがたのことです、そ ういう関係に陥るという期待もまったくなかったとは言えないでし ょう。息抜きや楽しいことの後には苦しいことが往々にして待って いるものです。彼女の彼氏に叱られる覚悟は一応しておいたほうが いいでしょう。できれば、もう会わないことですね。こういう経験 も大学での学習以上に意外と実践的な人生勉強になるものです。 終わったことは終わったこと、どちらもどちらだったんですから そんなにきれいごとで考えないほうがいいでしょう。よくあること です。気にしないでよく眠られれば、気うつも治ります。 ========================== このマガジンでも皆様からのご相談を受け付けています。どうぞ お気軽にご投稿下さい。 関連URL中の下記カウンセリング専用投稿ページ http://park1.wakwak.com/~bun/counseling.html にてお願いいたします。 ご返事はすべてURL中のカウンセリングコーナーにて行います。 ときどきURLにアクセスのうえご確認していただきたくお願い いたします。 なお、登録解除URLは関連URLのトップページにあります。 (発行人 記) ========================== 【CM】 (成木 文の心理小説集) 一、成木 文著 「或る男の残像」 ブイツーソリューション 他四作所収(悲しいがどこか滑稽な人間模様) 1、或る男の残像 2、監督 3、バタフライ・ノート 4、ゆずり葉 5、終着駅のタンゴ (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-108301/ セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981906980 でもオンライン販売) 二、田辺 未方(成木 文)著 「ロッシーという名の毛編みの男」 文芸社 他五作所収(テーマはさまざま。カフカ?から一幅の絵まで) 1、ロッシーという名の毛編みの男 2、指令 3、崖からの眺め 4、コンパクトミラーの中 5、赤い斑点 6、旅 (電子本は、Boon-gate.comで紹介。 http://www.boon-gate.com/cgi/search/details.cgi?id=12374 ブックサービス、紀伊国屋BookWeb、アマゾン http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4835584686/ref=sib_dp_pt#reader-link でもオンライン販売) 三、成木 文著 「サッカー」 ブイツーソリューション 他三作(若者のチョット深刻な素材にスポット) 1、サッカー 2、水曜日の手紙 3、お化け 4、新しい朝 (電子書店パピレスで紹介。 http://www.papy.co.jp/act/books/1-106034/ セブンアンドワイ、bk1、amazon.co.jp、紀伊国屋等ネット書店 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?USID=&W-NIPS=9981549487 でもオンライン販売) なお現在、「銀座九丁目」鋭意執筆中。幻想童話的心理小説の つもりです。 *************************************** マガジン名:【精神科カウンセリング】 副題:精神科医との人生、身の上、医療相談 発行:二週に一回 発行責任者:成木 文 発行元:「精神科医・成木 文」 関連URL: http://park1.wakwak.com/~bun/ **************************************** 2009.5.16(土) (856)



