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ベートーヴェンの音楽を語ります。「不屈の精神力で苦難を克服した超人、偉大なる芸術家」とかいう先入観は捨て、人間味溢れるベートーヴェンの音楽そのものを純粋に楽しみましょう。

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2005/01/02

ベートーヴェン音楽夜話 WoO.35

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【ベートーヴェン音楽夜話】 WoO.35   2005年1月2日(日)

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1.ちょっと時期はずれ? それでも「第九」、されど「第九」
2.狂乱の三日間 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン
   ベートーヴェンと仲間たち

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1.ちょっと時期はずれ? それでも「第九」、されど「第九」

いまや日本の風物詩となった観のある「第九」。正式名称は、

 ベートーヴェン 交響曲第9番 ハ短調 作品125番

である。小学校、中学など義務教育の音楽教育で、ベートーヴェンの逸話と共
に必ず取りあげられるから、普通に授業を受けている限り、知らない人はいな
いはずだ。

年末の日本列島では11月頃から、津々浦々のオーケストラのコンサートで、
とりあげられる。年末には「第九」を必ず演奏する、という暗黙の了解がある。
プロはもちろん、アマチュア団体も同じだ。

オーケストラだけではなく、ある意味この曲の主役でもある合唱団にとっても
「第九」は恒例行事のひとつだ。独自路線にこだわりたい合唱団も、このある
種恒例イベント化した演奏会への参加を拒絶することは難しい。地域密着の団
体であればなおさらである。

団員に私のような偏屈な音楽ファンがいるとして、
 「第九」、「第九」って騒いでばかりいないで、他の作品をやろうじゃない
 の。今年の参加はやめて、俺たちはモツレクでいこうよ。
 
 いや、ぜったいブラレク。
 
 なんの、なんの、フォーレクだべさ。
 
 きみたちねぇ、ベートーヴェンの代わりの曲をやるんだから、やっぱりベー
 トーヴェンでしょう。なら、コールファンタジーしかありえない!
 
 あれは歌が短くて、メインとしてはいまひとつだな。
 
 じゃ、やっぱミサソレですか!
 
 ええっ? ナニソレ?
 
という侃々諤々(かんかんがくがく)喧々囂々(けんけんごうごう)の議論で
盛り上がる合唱団も少なくないだろう。

けれど、仮にこれら大作を本当にプログラムとして演奏会を開き、成功したと
しても、何となくいつもと違う感動具合であったことに、気が付くのである。
(これはフィクションですから…、「うちの合唱団は大感動満足度百点だった
ぞ!」とクレームのメールを送るのはご遠慮下さい)
いや、モーツァルト、ブラームス、フォーレの「レクイエム」は素晴らしい曲
である。ベートーヴェン「合唱幻想曲」は確かに出番が短いが、クライマック
スは第九に似ていて、今風に表現すると「プチ・第九」体験が可能な作品だ。
「荘厳ミサ曲」においては、もはやいうまでもない。これを成し遂げると、お
いそれと「はい!次」というわけにはいかず、半年位活動を休止しなければな
らない。それほどエネルギーと精神力を使い果たす曲だ。充実感はひとしおな
のだ。

でも、それでも、なんだかもの足りないのは……。

★聴衆との一体感がすこし違う、この微妙な雰囲気

そう、聴衆との一体感がいまひとつなのだ。これら大作をよく知る音楽ファン
たちには感動もののコンサートとなるだろう。合唱の入る作品に拒絶感のない
人々なら、たとえ初めてでもかなり楽しめる作品である。けれども、そこが、
一般向けコンサートとして不利な点でもあるのだ。

声楽曲や合唱曲好きでない人にとって、この種の音楽は「できれば聞きたくな
い」「できれば避けたい」ものなのだ。そういう少し引きぎみの演奏会に義理
で、たとえば彼女が聞きたいからお付き合いで渋々とか、家族や親戚のよしみ
でとかで会場に足を運んだとしても、心底楽しめない。もちろん中には度肝を
抜かれ、突然「合唱&声楽命」になる人もいるかもしれないけれど、それは少
数なのである。演奏会の聴衆の五割が「引きぎみ」の人々であるとすれば、演
奏会全体のノリはまあ、五割引とまではいかなくとも三割引位にはなるだろう。
年末バーゲンが三割引なら歓迎だが、聴衆の熱気が三割引になると、演奏会の
テンションはそうとう下がり、微妙な空気が流れるのである(あの〜、たびた
び恐縮ですが…、私は昔の演奏会での感覚をお話していますので、「いや、今
は全然違う。宗教作品の演奏会は、始まるやいなや聴衆全員が立ち上がり、全
員で手拍子を打ちながらノリノリだ。指揮者なんかは、ときおり聴衆の方へ向
かい指揮棒を宙に舞いあげ振り回している。ギンギラのミラーボールも効果に
使われているぞ」という状態でしたら、教えてください)。

「第九」は、少なくとも交響曲である。いや、少なくも、多くもない、れっき
とした交響曲だ。第一楽章はアレグロ・マ・ノン・トロッポ・ポコ・マエスト
ーソ(スピード違反はいけません。ま、そんなにあわてずに、まっすぐ前を向
いて)。第二楽章はモルト・ヴィヴィアーチェ(もっと、もっと、燃えろ、気
合いだー)第三楽章はアダージョ・モルト・エ・カンタービレ(聴衆をぐっす
り眠らせるように情感たっぷりに奏でるのが君たちの使命)。と、ここまで合
計46分間、バリバリの管弦楽曲なのである。交響曲ですから当たり前といえば、
当たり前か。だからここまでで管弦楽ファンたちはかなり満足させられる。し
かも、第四楽章プレスト(マッハじゅーごののスーピイドだぁー)の前半6分
も管弦楽。バリトン先導でやっと合唱が加わるのはなんと最後の18分弱なの
である。52対18。圧倒的に管弦楽の勝利ではないか。

勝利云々はともかく、交響曲、しかもベートーヴェンの交響曲という訴求力は
すさまじいのである。管弦楽派は52分プラスαに感動させられ、合唱しか興
味のない人々も少なくとも第四楽章24分とそれ以前のαに感動させられ。中
間派は76分フルに感動する。その頂点は当然最後、「ゲーッテルフンケン!」
で管弦楽が怒濤のスピードでフィナーレを飾る箇所。聴衆も管弦楽団員も合唱
団員も、指揮者もソリストも、ステージの裏方も、表方も皆ベートーヴェンの
第九の前に兄弟になる。

だから、
 やっぱり、じゃあ、来年はまた「第九」でいきますか。
ということで、再び年末は「第九」を続けることになる。恐るべし第九の威力。
(ここまでは12月30日に書いた文章です)

ここのところずっとご無沙汰だった私も、ひさしぶりに「第九」を聞いた。も
とも私の場合、年末ではなく、正月の「第九」だけれど。

2005年は、なんとしても「ベートーヴェン音楽夜話」配信間隔を短くして
定期配信メルマガへの復活を決意している。正しく新しい出発をする時に相応
しい音楽ではないか、「第九」こそが。

度重なる失望を読者の皆様に与えたこの罪を胸に、口先だけの反省ではなく、
行動にてこの決意を示そうと思う所存でございます。今年もどうぞよろしくお
願いいたします。

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2.狂乱の三日間 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン
   ベートーヴェンと仲間たち

読者のYKさんよりすごいイベントの情報をいただきました。見て「唖然!」。
こんなイベントできりゃ私も企画に関わりたかったな〜。ベートーヴェンを聞
きたい貪欲なファンすべての皆さんのためのイベントです。

◆◆ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2005◆◆

テーマ ベートーヴェンと仲間たち
実施日時    2005年4月24日(日)〜 5月1日(日)9:00〜23:00
国際フォーラム全館および大手町・丸の内・有楽町・銀座等周辺エリア
公演数    有料公演 108公演(予定)
無料公演 40公演(予定)
出演アーティスト    約1000人(日本・アジア500人 / ヨーロッパ500人)
指定及び自由席 1,500円
※公演により一部
 全席 / 3,000円 もしくは、S席 / 3,000円 A席 / 2,000円 となります。
 
詳細はこちらでご覧下さい。
http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/

★musikerコメント

こんなとてつもないイベントが日本で行われるなんて夢のようです。期間中
文字通りベートーヴェン三昧。交響曲はもちろん、ピアノ、室内楽、声楽等、
ありとあらゆるベートーヴェンの作品の演奏があります。「プロメテウスの
創造物」というバレエ音楽の演奏なんて私の生きている間に聞けるチャンスが
来るかどうかわからないし、弦楽四重奏曲やピアノ三重奏曲なんかも全部聞き
たい。でもチケットが完売済みの恐れありますね、なにせ価格帯を見て唖然、
1500〜2000円がメインなんですから。29日金曜日から1日日曜日までがメイ
ンイベントです。お休みの方なら地方からのご参加も可能ですね。関東近辺の
皆さんは、終電まで楽しむのもいいかも。

※YKさんは、東京で入手されたパンフレットをわざわざ郵送までしてくださ
いました。本当に感謝感激です。誌上を借りて重ねて御礼申し上げます。

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【あとがき】

ついにまぐまぐから「最近発行されていないマガジンについて」メールをいた
だきました。これは、長期間不配信メルマガに対する警告のようなものでして、
このまま放置しておくと最後はメルマガ停止勧告がなされるのです。廃刊なら
ばこちらへ、とさりげなく「廃刊受付用連絡先」がついていて、「ああ、つい
にここまで時間が経過してしまったか」、と猛反省でした。

実は今日の第九の文面は年末に「クラシック音楽夜話」の前に書いていたので
す。それ以前にも、「弦楽三重奏」をテーマにいろいろ書いていたんですけど、
どうも私は「ベートーヴェン音楽夜話」に関しては慎重になってしまいます。
ブラームスの交響曲や弦楽四重奏曲を作曲する際の姿勢のようですが(笑)、
警告が来たからにはいてもたってもいられないし、なにより待ち続けて下さっ
ている皆様あて、musikerは生きていることの証の近況報告を兼ね、少し時期
はずれですが「第九」の話題で配信することにしました。

実は「クラシック音楽夜話」の方では、「弦楽四重奏曲第13番」について少
し触れています。この作品については、「ベートーヴェン音楽夜話」の方でも
別の観点による文章で後日また取りあげますけど、メルマガの文面でホームペ
ージの方に掲載してみました。よろしければご訪問ください。
http://www.musiker21.com

「第九」の項でも宣言した定期配信を目ざすため、今年は、少しリラックスし、
あまり構えすぎずに書くつもりです。青年期のベートーヴェンの続き、ボンで
彼はどんな活躍をしたのか、そしてウィーンでは?Op一桁作品の残り9番の弦
楽三重奏曲は?ベートーヴェンの絶頂期、そして晩年音楽のウィーンの音楽界
の蚊帳の外に置かれた時の状況は?などなど、興味深い話題でいっぱいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

では、WoO.36で、お目にかかりましょう!ごきげんよう。

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【ベートーヴェン音楽夜話】
発行・執筆:musiker http://www.musiker21.com
★ご意見・感想等はこちら↓
 mailto:musiker@h9.dion.ne.jp?beethoven_yawa

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◇ まぐまぐ◇ http://www.mag2.com/m/0000105739.htm
◇E-Magazine◇ http://www.emaga.com/info/beethove.html

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