2007/02/24
四万十通信 256
(四万十通信)256 四万十川だより 溝渕幸三:山川海幸雨 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■モデル林(針葉樹、広葉樹の混交林) 高知県の須崎林業事務所管内で、自然環境を守る新しい林業施業が 試験的に行われた。今まで行われてきた、山のうねや崖の縁まで杉や 桧などの針葉樹ばかりを植林する林業の施業方法を、針葉樹、広葉樹 が混在する林を造るような新しい施業方法に変えていこうというもの らしい。 どこの山を見ても、急峻な、崖と言ってもいいくらいの場所にまで、 杉などが植えられてきた。多くの収入を見込んでのことであったのだ ろうが、その多くはあまりに役に立たない木となっているのが現状で ある。私も子どものころは、家の持ち山に父親に連れられて度々植林 に行ったものだった。 たいした山ではなかったが、大きな雑木を切った跡地に杉や桧を植 えたものだった。既に、四十年を経過しているのだが、材木としての 利用価値は、まだない。今は、手入れをされる杉林や桧林は少ない。 跡継ぎも田舎を離れ、都会での生活者が多くなっている。山は人間の 手から放置され、捨て山的存在になっているのが現状である。 それでは、須崎林業事務所の取り組みを見てみよう。提案している のは、自然環境を守る新しい施業方法で、「林業」を新しい時代に合 った「森業」に変えようというものである。人工林に対しては、一度 の大型間伐を行い、広葉樹との混在する森づくりを目指す。人手不足 に対応でき、自然に近い森を育てることができるなどの効果が期待さ れる。同事務所は「桧や杉だけを育てる画一的な『林業』から、多様 な木々を育てる文字通りの『森業』へ変わるきっかけとしていきたい」 と話している。 今回の新しい施業導入のきっかけになったのは、県内に30万ヘク タールあるという人工林が山間地の人手不足や価格の低迷から間伐が 進まず荒廃していく現状に加え、水源の確保や野生鳥獣、国土保護の 観点からの広葉樹の必要性などから。 従来の施業モデル(1ha当たり)では3千本のスギ、ヒノキを、 植樹した後、補植、下刈りを実施した後、20年前後に10%を間伐 して、かつ雑木(主として広葉樹)を除く。その後は、30年、40 年にそれぞれ20から30%を間伐、60年目に残った千本内外の木 を主伐する。新モデルでは最初の植林段階では苗木の本数にはこだわ らず、20年目前後にha当たり千本位残るよう大型かん伐を実施し、 雑木(広葉樹)はそのままにする。50年目に40%を間伐し収入を あげ、80年目以降に主伐を行う、というものです。 様々な樹木が混在する自然林に近い人工林を造る施業方法、という ことで「近自然林施業」と名付けています。同事務所では高岡郡東津 野村の天狗高原の県有林(3.4ha)に試験地を設定しました。同 個所では隣接する3.3haで従来型の施業を行っており、生育状態 などを比較していく予定。 間伐や植樹への補助制度がなかった、昭和30年代までは、苗木も 貴重だったために間伐を前提とせず、最初から十分な間隔を空けて、 植林するのが普通だった。また広葉樹は、まきや木炭用に活用されて いた。その後は間伐が必要な一斉植林が普通になった。三度の間伐を 一度の大型間伐で済ますため、人手は全体では少なくて済むが、地元 森林組合などには仕事が減るなどの問題もある。 H森林組合長も「仕事が減るのは困る。また森としては立派なもの となっても、木材としては悪影響を受けるのでは」と疑問視している。 針葉樹と広葉樹を植樹する複層林づくりもあるが、今回の試験地は、 20年を経過した途中での複層林化。同事務所は「山が病んでいる。 このままでは森林の公益機能が失われる。何回もの間伐が必要なこれ までの林業施業は不可能になりつつある。これからは、森の公益性を 重視した施業が必要」と、大胆な発想の転換を提起している。 ここに出てくる「複層林」というのは杉や桧の下に広葉樹などが広 がり、さらにその下にと、樹木が重なり合うように形成されているも のをいい、わが国で一番古い複層林は、幡多郡十和村奥大道にある。 坂本龍馬と同年代の杉などが茂り、ほど好く広葉樹が広がっている。 山の中に入るとフィトンチッドが充満している感じで、自然に体に 元気が戻ってくるようだ。早くから森林のこのような作用は言われて きたが、実際に山に登り、体感すればその効用ははっきりと分かる。 山の精というものだろうか、身も心も自然と落ち着いてくる。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 【編集・発行】 四万十通信ネットワーク <ブログ版> http://kawauso100.exblog.jp/ ブログフォーカス http://shimanto.exblog.jp/ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ○『まぐまぐ』から配信 このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ ) 配信を希望 または中止されたい方はこちらでどうぞ。 http://www.mag2.com/m/0000104387.htm



