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高知県では木の文化県構想を掲げ、木を育てる、木に親しむ、木を活かす、の3視点からの取り組みをしています。森林、林業、山村、自然環境、文化及び四万十川をキーワードに関連するあらゆる情報を発信します。

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2007/02/17

四万十通信 255

(四万十通信)255

 続:大野晃教授の地下足袋に・・・

         (原 剛:「農から環境を考える」(集英社新書)より)
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■踏みとどまるクヌギ林の村

 山村にまったく希望がないわけではない。四万十川に沿う、県
西部の幡多郡十和村では1960年代から30年間の人口、戸数
の減少率が37.7%と大豊町の57.4%を、大きく下回り、
高齢化率も21%にとどまっている。

 この差に注目した大野さんは、地下足袋にリュックを背負い、
黙々と山村を訪ね歩いて、その原因が森林の違いにあることを、
明らかにしていく。
  
  大豊町の森林のうち、72.4%がスギで、残り27.6%が
クヌギ、ナラの広葉樹であるのに対し、十和村ではその比率が、
7.4%対52.6%と逆転している。65年に木材の輸入が
自由化されると、国産のスギは安い外国産材に市場を奪われ衰退
を重ねる。

 しかし十和村では広葉樹を原木にシイタケ生産と製炭に励み、
集落のまとまりを保つことができた。
  
 スギ、ヒノキの人工型山村ではなく、
    クヌギ、ナラの雑木型山村を・・。

  国の林業政策を根本から批判、住民自身の頭と手で自立した地
域社会づくりを呼びかける大野さんに全国の山村から大きな共感
が寄せられて、十和村の広葉樹林は地域起こしのシンボルとして
注目されるようになった。
  
 新緑から紅葉へ、花を咲かせ葉を繁らせ実をつけ、多くの生き
物を住まわせる共生の森、広葉樹林の復活は、日本列島の輝かし
い原風景の回復にほかならない。

 大野さんは富士山麓の、山梨県都留市生まれ。高校、大学は北
アルプスが迫る長野県松本市で過ごした。大野さんの原風景には
広葉樹にみずみずしく覆われた山がある。
  
 植物病理応用昆虫学を専攻しながら、哲学と演劇に親しみ、大
学院博士課程で社会学に転じた背景には、生産効率を追うあまり
農薬、化学肥料づけになった農業への失望がある。

 考え方、生き方にまで画一的であることを強いる都会の暮らし
にも希望を持てず、林野率83.5%と全国一の高知県に、地域
社会研究の場を求めた。
  
 だが、たどりついた四国山地にも全山がスギの植林地という画
一化が徹底し、そのことが山村の経済を破壊し、さらにスギの植
林が増える悪循環に陥っていた。

 大学で地域社会論を講義する大野さんの山里通いは熱を帯びた。
「55年このかた、工業優先、農林業従属の国策が農工間の所得
格差を拡大し、安い農林業材の無秩序な輸入を招いて山村の経済
を破壊してきました。

 作るだけ損をする田畑の耕作は放棄され、植林地は見捨てられ
た。人間の貧困化が自然を貧しくし、それがますます人間の暮ら
しを貧しくする悪循環に。

 いま山村とは、このような現代の貧困の掃き溜めにほかなりま
せん。大豊町の多くの山村はスギの森に包囲され、沈黙のうちに
滅びようとしています」
  
 自然の保護と水源の涵養が切望されるこの時代に、広葉樹林を
評価し、川下の都会に協力求め「森林環境交付税」を山村へ配分
できないか。大野さんは現場から問いかける。(原剛)


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