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2007/01/13

四万十通信 250

(四万十通信)250

 四万十川百人一首(大野晃氏)

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  四万十の川面に映るむら姿

   暮らし見つめて秋雲流る


■限界集落

 これは、四万十川中流域の十和村にある小野集落を初めて訪れた時
に詠んだものである。あれからもう30年が過ぎている。夏の調査を
終えた最後の夜は、きまって河原が酒宴の舞台になる。涼風に誘われ
三三五五河原へ降りてくるむらの衆。自分の座る平らな石を探してき
て銘々が焚火を囲むシワ深い顔々。

 アユ掛け名人のカン兄。政治談義が好きなシゲ兄とカー姉。ハーモ
ニカが得意なタケ兄とヨシ子さん。アコーディオンの名手ヒデ兄と、
フミ子さん。むらに古くから伝わる念仏踊りの踊り手、トク爺さん。
いつも元気だ。遅れてカン兄の嫁さんが・・・。

 夏の夜空を焦がした焚火が、おきになると、その上に金網がのせら
れ、元気のいいテナガエビが塩をふられ網の上で踊り出す。踊り疲れ
て赤くなるのを待って男どもは一斉にエビを丸ごと口に入れ、茶碗酒
を一気にあおる。

 時間をかけてじっくり焙った竹串のアユが口に入る頃には、次々に
歌や踊りがとび出し、女衆の手拍子と合の手が続く。夜更けとともに
歌声が漆黒の闇に消え去ると、河原はせせらぎだけの静寂の世界にか
えり、むらは深い眠りに入る。

 流域のむら人の暮らしに深く溶け込み、むら人の暮らしをじっとみ
つめつづけている大河、これが日本最後の清流四万十川である。

◆大野晃氏の【四万十川百人一首】
 http://waka100s.exblog.jp/d2005-11-06


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【編集・発行】 四万十通信ネットワーク
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