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2008/07/19

【海江田万里の政経ダイアリー】2008.7.19号 Financial Adviser 8月号 海江田万里の経済熱線

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【海江田万里の政経ダイアリー】2008.7.19号 Financial Adviser 8月号 海江田万里の経済熱線

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☆ Financial Adviser 8月号 海江田万里の経済熱線 ☆

★ 温室効果ガスの削減につながらない排出枠取引は金融市場を混乱に陥れる。★
★ 早めの対策が必要だ。★

洞爺湖サミットで話題になった温室効果ガスの「排出枠取引」につ
いて書きます。一般に排出枠取引とは、国や企業が温室効果ガスの
排出枠を決めて、枠の中に収まった国や企業と、枠の中に収まらな
い国や企業の間で、それぞれ排出枠の取引を行うことを指します。
1997年12月に京都で開催された第三回気候変動枠組み条約締
約国会議(COP3)で締結された「京都議定書」では、先進国を
対象に、それぞれの国の温室効果ガスの削減目標を決めています。
同時に、議定書では17条で、それぞれの国で削減目標が達成困難
と思われた場合に、排出量を融通しあう排出枠取引制度の導入を
「京都メカニズム」として取り決めています。

国際的な市場で取引されるのは、炭素クレジットです。炭素クレジ
ットとは、各国が持つ温室効果ガス排出枠に対する削減量(AAU、
初期割当量)や、各国が森林育成活動などによって得られる吸収量
(RMU)、温暖化対策のため途上国に技術や資金援助をして得ら
れた排出削減量(CER)などが数量化されたもので、それぞれ国
別の登録簿に記載されています。この炭素クレッジットがシカゴ気
候取引所(CCX)や欧州気候取引所(ECX)などで取引され、
その市場規模は、2007年でおよそ6兆円といわれ、年々拡大し
ています。

こうした国際的な排出枠取引と並んで、ヨーロッパを中心に国内で
の排出枠取引も盛んです。この問題に積極的に取り組んでいるEU
では、京都議定書の排出枠とは別に2005年から独自にEU域内
の各国に「欧州連合排出枠」を割り当てて、これを基準にクレジッ
ト取引を行っています。

わが国では、現在までのところ、途上国に対する技術的、資金的温
暖化防止策を講じることによって得られるクレジット(CER)を
基礎に国際市場に参加していますが、EU諸国の方式と異なり、
排出枠をオーバーした国や企業が市場からクレジットを買う必要は
ないのが特徴です。

EU方式を導入するには、国や企業が具体的に削減目標を決め、
排出量に上限(キャップ)を定めることが必要です。国は地球温暖
化対策の「福田ビジョン」の中で「2020年までに14%削減が
可能」としていますから、それに基づいて独自に温室効果ガスの削
減目標を決めることは可能ですが、問題は産業別、企業別の排出枠
を定める作業です。

経済団体や経済産業省は「削減目標は国が決めるのではなく、あく
まで個別の企業が自主的に決めるべき」と反発を強めています。
福田総理は洞爺湖サミット直前になって、「わが国でも今年の秋を
目途に排出量取引制度を試行的にスタートさせたい」と発言しまし
た。この発言が今後、どのような形で具体化されるか注目しなけれ
ばなりません。

★ 増える排出枠ビジネス ★

こうした政府の動きとは別に、最近になって銀行やカード会社が、
預金やカードでの買い物に応じたポイントで排出枠を購入する動き
があります。

例えば、滋賀銀行や伊予銀行では、預金の0・1%を排出枠の購入
に充てることにし、三井住友銀行では個人向け国債購入者の顧客1
人当たり0・5トンの排出枠を買うことにしています。三菱UFJ
ニコス・カードでは、カード利用の際たまるポイントを排出枠と交
換できる制度を設けました。銀行やカード会社では、こうして購入
した排出枠を政府に寄付します。こうした寄付がたくさん集まれば、
それだけ国としての温室効果ガス削減の目標達成に近づくわけです。

しかし、排出枠取引については、もろ手を挙げて歓迎とばかり言っ
ていられません。現在、排出枠ビジネスとして商社などが海外で大
口の枠を買い取り、それを信託銀行などが小口化して企業に売って
いるケースがあります。企業は買い取った排出枠を、将来、わが国
で個別企業の排出枠が決まった場合の備えにすることができますが、
同時に排出枠の価格が上昇した場合、市場で売却して利益を得るこ
とも可能です。 

★ 市場を混乱させる要因となる懸念も ★

現在、排出枠の市場価格は温室効果ガス1トンあたり3000〜
4000円と言われていますが、今後この価格が値上がりする可能
性は極めて高いと予測されます。

その場合、排出枠と他の債権などがパッケージで証券化され、新し
い金融商品となって市場に出回ることが予想されます。また、その
市場に世界の過剰流動性が流れ込み、市場が混乱する可能性も大い
に懸念されます。

繰り返しますが、排出枠の取引はあくまで京都議定書の副次的なメ
カニズムとして提案されたものです。本来ならばこうしたメカニズ
ムがなくても、各国や企業が削減目標を達成することが好ましい姿
ですが、それが難しい場合に限って、排出枠の取引を認めるという
制度です。

それが、一人歩きして、本来の目的である温室効果ガスの削減につ
ながらないどころか、投機資金が暴れ回り、排出枠取引市場だけで
なく金融市場そのものを混乱に陥れる事態は何としても避けなけれ
ばならないと思います。そのための対策を早いうちに取る必要があ
るでしょう。


前 衆議院議員 海江田万里

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 海江田万里事務所/民主党(東京1区)
 〒160-0004 東京都新宿区四谷3-11 山一ビル6F
 TEL.03-5363-6015 banri@aya.com
 FAX.03-3352-2710 http://aya.com/banri/
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