2009/11/15
太田述正コラム#3585(2009.10.15)
太田述正コラム#3585(2009.10.15) <民主主義が機能する条件(その3)> ━[太田述正有料メルマガご案内]━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ 2009年12月~2010年5月の有料講読を会費5,000円で募集中です。 ↓ https://ssl.formman.com/form/pc/NBimYHYptaiymqXE/ からお申し込みください。 (なお、このフォームで一口5,000円のカンパも募っています。) 申し込みをされた方には、ただちに全コラムの配信を開始しますので、早く 申し込まれれば、その分だけおトクになります。また、会費を納入された段階 で、その時点までのバックナンバー(主要投稿付き)を贈呈します。 ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ (4)ホークスリーに対する批判 「・・・<このホークリー>の論文は、アフリカの一部、アフガニスタン、中 東・・ロシアも次第にそうなりつつある・・といった、御しにくく、一票を投じ ることが必ずしも平和、繁栄、そして進歩につながらないところの世界の地域か ら背を向けたい保守的なリアルポリティークの悲観論に利用されるのがオチだ。 <しかし、そもそも、投票が、いつも適切な結果をもたらすなどとはどこの世 界でも言えそうもない。> 結局のところ、ヒットラー(Adolf Hitler<。1889~1945年>)は、ドイツで 過半の票を獲得した(注)のだし、<ジンバブエ>のロバート・ムガベ(Robert Mugabe<。1924年~>)<大統領>は、彼が票を不正工作し始める前に容易に何 度も再選を果たしているし、<旧ユーゴスラヴィアとセルビアの>スロボダン・ ミロシェヴィッチ(Slobodan Milosevic<。1941~2006年>)<大統領(当 時)>は、欧州人たるイスラム教徒達を<ボスニアの>スレブレニッツアやコソ ボで殺害するために殺人者達を解き放ってからでも何度も再選された。・・・ (注)これは誤り。 ヒットラーは1932年3月の戦前のドイツ最後の大統領選でもヒンデンブルグ (<Paul von >Hindenburg<。1847~1934年>)に次ぐ第2位だった http://en.wikipedia.org/wiki/German_presidential_election,_1932 し、ヒットラーが首相になる前の1932年11月の総選挙でのナチスの得票率は 33.1%だったし、その次の、戦前のドイツの最後の自由な1933年3月の総選挙で のナチスの得票率も43.9%だった。 http://en.wikipedia.org/wiki/German_federal_election,_March_1933 (太田) 世界中で自分の国の人々を含む、イスラム教徒を最もたくさん殺したのはサダ ム・フセイン(Saddam Hussein<。1937~2006年)>)<大統領(当時)>だった。 確かに、イラクの民主主義は<当時も現在も>不完全だが、ジョージ・W・ ブッシュの2000年11月の大統領選だって<最後は最高裁で決着がついたという意 味では>不完全だった。 <他方、>パキスタンの不完全な民主主義は、イスラム主義の過激な諸政党を 敗退させた。 <また、>インドの60年間の民主主義は大いに言祝がれているところだが、イ ンドには、英国よりもたくさんの百万長者がいるけれど、サハラ以南のアフリカ よりもたくさんの貧乏な人々がいるし、周辺諸国よりもたくさんの文盲がいる。 それでも、インドの民主主義は、専制的なそのほかのいかなる体制よりも好ま しいものだ。 民主主義が向いていない人々がいるのはなぜかを説明するなめらかな絹のよう な声よりも、民主主義の無茶苦茶さ、泥沼、そして間違いの方が良い。 念のために記せば、民主主義の推進には、自由なメディア、法の支配、非保護 主義的な経済、そして何よりも教育、教育、教育、とりわけ少女達と若い女性達 の教育への支援が必要だ。 しかし、もしも21世紀においても、20世紀後半と同程度の民主主義の勝利が実 現するとすれば、世界は、人類全員にとって、住む場所としてより良い所になる だろう。」(A) 3 終わりに 20世紀の英米史を教えているジェラード・デグルート(Gerard DeGroot)は、 「・・・民主主義は文化であり、それは学習されなければならない。 欧州の人々でも、それを正しく運用できるようになる(get it right)まで何 世紀もかかったこを思い出すがよい。・・・」(D) と指摘していますが、私も同感です。 私は、ホークスリーの、どちらかと言うと貧しい国では民主主義が機能しない という考え方・・デグルートもこの考え方を否定していないように思われる・・ はとりません。 ホークスリーの言う民主主義・・自由民主主義と言い換えた方がよい・・は、 たとえ貧しくても、自由民主主義と親和性のある文化ないし文明を持っている国 や地域であれば、機能し易いし、そうではない所では、たとえそれが豊かな国や 地域であっても、機能し難い、ということだと思うのです。 自由民主主義と親和性を持つ文化ないし文明とは、具体的には、「自由で責任 ある報道機関、腐敗していない効率的な官僚機構、訴訟を解決し決定を行う独立 した司法、規律ある警察と軍、強力な選挙管理委員会、銀行当局、そして教育、 衛生、交通その他の当局」といった自由民主主義の基盤と親和性のある文化、文 明です。 そのように考えれば、自由民主主義国による長期間にわたる統治を受けること なくして、自由民主主義を継受させ、定着させ、機能させることが可能であるか 否かは、それが、自らの文化、ないしは文明の中から、このような自由民主主義 の基盤と親和性のある伝統を発掘でき、かつこの伝統に新たな生命を吹き込むこ とができる国や地域であるかどうかにかかっている、と言えそうです。 (完) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私の考えや当コラムに対するコメントをお寄せになった場合、お断りすること なく、私のブログの掲示板や当コラムに転載することがあります。なおその際、 時候の挨拶的な部分を削除したり、筆者のアイデンティティーを隠すために必要 な範囲で、文章に手を入れたり部分的に文章を削除したりさせていただきます。 ブログ http://blog.ohtan.net/ HP http://www.ohtan.net/ 掲示板 http://www.ohtan.net/bbs/ Twitter http://twitter.com/ohtanobumasa mixi http://mixi.jp/view_community.pl?id=2428880 Youtube http://www.youtube.com/ohtanobumasa メール https://ssl.formman.com/form/pc/6yH1m2OTREHekLYi/



