2009/11/05
スペル こんな映画は見ちゃいけない!
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☆ こんな映画は見ちゃいけない! 2009/11/5 号 Vol.1063 ☆
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こんにちは、発行人のオテロです。
本日、俎上にのせる作品は
「スペル」 です。
ヒロインを追い詰める黒い影や不気味な気配が、お決まりの衝撃音で
ショッキングなシーンに転換する。思わせぶりなカメラワークは、70
年代に流行したオカルト映画のようにオーソドックス。さらに死体に
なっても襲い掛かってくる老婆のしつこさはもはや恐怖よりもコメデ
ィの域に達している。悪霊の呪いをかけられた女が体験する超常現象
を通じて逆恨みの恐ろしさを描く過程はホラー映画の教科書のようだ。
銀行の融資課に勤めるクリスは返済の延長を申し出た老婆を追い返す
が、帰宅途中、その老婆に「ラミアの呪い」をかけられる。霊能者に
見てもらうと、ラミアは3日後にクリスの魂を奪いに来るという。
歯のない口で老婆が噛みついたり、寝ているクリスの鼻の穴に入った
ハエが反対の鼻の穴から出てきたり、クリスにのしかかった老婆の死
体から大量の嘔吐物が吐き出されたり、潰れた眼球から体液が飛び散
ったり・・・。直接クリスの命を狙おうとするラミアの暴力的な恫喝より、
真綿で首を絞めるようにクリスを追い詰めていくディテールがむしろ
ユーモラスで、それが逆に彼女の繊細な感情の描写として効果的だ。
その後も、深夜に墓を暴くのだが、そこでも死体だけでなく墓穴に流
れ込む大量の泥水と大格闘。このあたりもくどいほど死体を活用し、
そのえげつなさはなかなか楽しめる。残酷な方向に走らず、あくまで
洗練された表現で、住み慣れた家を奪われた老婆の無念をB級ホラーに
仕上げるサム・ライミの姿勢に好感が持てた。
お勧め度=★★* (★★★★★が最高)
「スペル」
についての詳細は、
http://www.otello.com.ua/
を参考にしてください。解除もこちらからできます。
本日はもう一本
「母なる証明」 です。
無意識に手足が動き踊り出してしまう心理とはどんな状態なのだろう。
それは信じていたものが崩れ去った絶望なのか、信じたかったことが
現実になった安堵なのか。母と息子、成人してもなお一つの布団で眠
る濃密な親子関係が、時に生きる糧になり死にたいほどの重荷にもな
る。映画は彼女の直情的な行動の裏にある繊細な感情を丁寧に掬いあ
げ、映像は息のつまりそうな緊張感をはらんでいる。
漢方薬店を営む母と暮らすトジュンは泥酔した帰りに路地で女子高生
に声をかける。翌日、その女子高生は死体で発見され、トジュンは容
疑者として警察に。トジュンの母は無実を信じ独自に調査を開始する。
道路に流れるトジュンの小便、床にこぼれたペットボトルの水、土間
にしみ出す老人の血と廃油。もどかしさとあきらめ、恐怖、そして決
意。苦虫をかみつぶしたような表情を変えない母の心が、小さなきっ
かけで特定の心情に支配されていく過程を、液体がゆっくりと広がっ
ていくメタファーで表現する手法が強烈。母の胸の内では、ただトジ
ュンへの思いで占められているようで、狡猾な計算とこんな息子を与
えた運命への憎悪が複雑に絡み合っているのだ。
肝心の事件についてはほとんど覚えていないのに、無理心中しようと
して農薬を飲ませた過去は覚えているトジュンに、母は底知れぬ負い
目を感じている。自立を促すより溺愛で贖罪の気持ちを伝えようとす
るが、トジュンは十分に理解できないところが哀しみを増幅させた。
お勧め度=★★★* (★★★★★が最高)
「母なる証明」
についての詳細は、
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本日はもう一本
「ホワイトアウト」 です。
極寒の南極基地で起きた連続殺人事件、担当する女性連邦保安官が真
相を推理し、謎を解明していく過程で身の危険にさらされていく。警
察権を持つものがごく少数しかいない状況で、誰を信じていいのか分
からない上、極限の低温と迫りくるタイムリミットのなかで捜査は遅
々として進まない。だが、犯人の心の闇は語られず、映画はぬるいア
クションに終始する。
南極基地付近の氷床で死体が発見され、連邦保安官のキャリーは検死
中に奇妙な縫合痕を見つける。さらに調査を進める途中、別のクルー
が殺され、キャリーもまた防寒着の男にピッケルで襲われる。
キャリーは国連派遣の捜査員とパイロット、医者と共に事件を探るう
ちに50年前に行方不明になったソ連の輸送機を見つけ、積荷が犯人た
ちの目的だったと当りを付ける。そのあたり、犯人側もキャリーたち
も独自に飛行機を飛ばすなど南極基地の管理体制の甘さが目に付く。
もちろん隊員の行動をすべて監視するわけにはいかないだろうが、こ
の基地の危機管理はどうなっているのか。
手袋をせずに建物外に出て、ハッチを素手で握ってしまったキャリー
の手がたちまちハンドルに張り付いてしまい、凍傷になるシーン以外
に南極の寒さが実感できないのが寂しい。また、南極の環境を活かし
た小道具も出てこない上、キャリーが同僚を射殺したトラウマも彼女
の「今」とのつながりが弱く、脚本がアイデア不足なのは否めない。
お勧め度=★★ (★★★★★が最高)
「ホワイトアウト」
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余|談|
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明日は松田優作20回目の命日。彼のような男になりたいと髪を伸ばし
サングラスを買った若者も今では40代になっていることでしょう。
東京・三鷹の禅林寺で行われた葬儀。参列した薬師丸ひろ子や中村ト
オルにコメントをもらったことを昨日のように覚えています。
彼の個性が際立っていたのは、「最も危険な遊戯」「殺人遊戯」「処
刑遊戯」の鳴海三部作でしょう。殺し屋の孤独と派手な銃撃戦がクー
ルなタッチで描かれ異彩を放っていました。
なんか、もう一度見たくなってきました。。。
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祝日を挟むため、次回配信予定は11/7、作品は
「ジャック・メスリーヌ」
です。
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