2009/09/20
週刊 お奨め本 第360号『船に乗れ! (1)~(2)』
*********************************************** 週刊 お奨め本 2009年9月20日発行 第360号 *********************************************** 『船に乗れ! (1) 合奏と協奏』 藤谷治 ¥1,600+税 ジャイブ 2008/11/6発行 ISBN978-4-86176-579-7 *********************************************** 『船に乗れ! (2) 独奏』 藤谷治 ¥1,600+税 ジャイブ 2009/7/12発行 ISBN978-4-86176-681-7 *********************************************** まだ二巻までしか出ていません。 最終何巻まで進む予定なのか知らないので、このタイミングで紹介するのが 良いのか悪いのかもよくわからないのだけど。 チェロを学ぶ津島サトル。祖父は私立新生学園学長。サトルが通う高校はそ の附属高校音楽部。音楽一族(ただしサトルの両親は例外的に演奏を しない)に育ち、若者にありがちな、自分は特別だ、自分は優れていると いう根拠のない優越感を抱いている。 芸高受験に失敗してやむを得ず進学した音楽高校だったが、ここでサトル は友人を得、恋をし、オーケストラを体験する。 あわただしく過ぎていく一年、サトルの成長。 …というのが、一巻の内容。 オトナになったサトルが過去を振り返るという体裁になっていて、「あの ころの僕は鼻持ちならない子供だった」系の文章が頻発してちょっと鼻白 む。が、それ以上に音楽の描写が美しい。 > 僕たちは自分がやらなきゃいけないことの、主役にはなれないんだ。僕 > たちの人生の主役は音楽で、音楽の、この絶対的な美しさの前では、僕 > たちの喜びや悲しみ、怒りや苛立ちなんて、ほとんど意味なんかない。 > 音楽はこの世にあらわれる、この世ならぬものだ、この世ならぬものに > とって、この世のものごとは哀れな夾雑物にすぎない、受験がうまくい > かなかったとか、先生に叱られたとか、あるいは…。(140頁) 自信過剰で自意識過剰でありながら、それゆえに確固たる自信を持たず揺 らいでいるサトルが、音楽に触れるとき、音楽を語るとき、圧倒たる存在 を前に謙虚になる。 そういう場面を読むと、サトルの主人公性を感じ、小説の喜びを感じる。 オーケストラでの演奏シーンは高校生としてはほとんどヒーローだ。 爽やか音楽小説だ。 けれど二巻では。 美人で、ヴァイオリンの才能があり、勝気な、南枝里子。サトルは枝里子 に恋をしている。 高校二年の夏休み、サトルはハイデルベルクへ短期音楽留学することにな った。現地に住む叔父夫婦が招いたくれたのだ。枝里子はその報に動揺す る。「津島くんの家がお金持ちだから」枝里子の言葉にサトルもまた動揺 する。 そしてサトルが不在の間に恵理子は…。 一巻以上に二巻ではサトルが手に負えない。 サトルだけじゃなく、皆が皆、怒ってばかりいて傷ついてばかりいる。 音楽小説なのにぜんぜん爽快じゃない。 > 今の僕はあの頃の僕を許していない。しかしそれは、この直後に僕がや > った卑劣な行為のためで、それさえしなければ、このときの絶望的な苦 > しさには、今でも感傷的な同情を寄せることができただろう。[…] > その頃の僕は、すべての十七歳と同じように、自分のことを子供だとは > 思っていなかった。でも、やはりどうしようもなく子供だったのだ。(243頁) じゃあつまらない小説なのかといえばこれがぜんぜんそうじゃなくて、 読みふけってしまう面白さなのです。 小説って不思議ですね…。 この先の展開が楽しみな青春音楽小説。 はやく三巻出ないかなあ。 ☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆ 『船に乗れ! (1) 合奏と協奏』 藤谷治 http://www.amazon.co.jp/gp/product/486176579X?ie=UTF8&tag=sivabookpage-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=486176579X 『船に乗れ! (2) 独奏』 藤谷治 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4861766818?ie=UTF8&tag=sivabookpage-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4861766818 *********************************************** ほぼ週刊 お奨め本(ID:0000099780) 発行者:siva:ksivasiva@yahoo.co.jp 読書とかいろいろ日記: http://blog.goo.ne.jp/ksivasiva/c/ae2c0c3c85c365822876c18e384024c9 ご意見お聞かせください♪ ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。 解除は http://www.mag2.com/m/0000099780.htmからできます。 ----------------------------------------------------------------------


