2009/08/09
週刊 お奨め本 第354号『道絶えずば、また』
*********************************************** 週刊 お奨め本 2009年8月9日発行 第354号 *********************************************** 『道絶えずば、また』 松井今朝子 ¥1,800+税 集英社 2009/7/10発行 ISBN978-4-08-771294-0 *********************************************** 松井今朝子、得意の歌舞伎もの。 『非道、行ずべからず』『家、家にあらず』につづく三部作完結篇。 『非道…』は、本メルマガ第13号(2003年1月26日)でご紹介しました。 懐かしいなあ…。 松井今朝子、やっぱり歌舞伎ものがいいです。 昨年紹介した『そろそろ旅に』や、直木賞受賞した『吉原手引草』もいいけれど、 歌舞伎もの、ていうかずばり沢之丞がよかったんだよ! 文化十一年三月一日、三代目荻野沢之丞はとうとうこの世を去った。 一世一代の舞台納め、即ち引退興行での「道成寺」。舞台上に吊られた作り物の鐘 が落ちてくる、その落ちる中へ飛び込む危険な芸の、舞台切穴の下の台がなかった。 これは沢之丞自身が仕組んだ覚悟の自殺だったのか。 それとも事故か。あるいは殺し…。 大道具方の頭、甚兵衛は数日後首を吊った姿で発見された。直前に甚兵衛を呼び 出した宇源次が疑われる。 宇源次は沢之丞の血のつながらない息子、次男である。 長男、市之介は沢之丞生き写しの顔をもち、おっとりと美しい。 宇源次は次男でしかも血のつながりがなく、さらに癇性で敵を作りがちで、なの に弱いところがあって酒に逃げる。 であっても芸は達者で、役者はつまるところ芸なのである。 生前沢之丞は名跡を宇源次に譲ると明言していた。 北町奉行所同心・薗部理市郎が調べにあたるが、難航する。 理市郎は同時に大工の水死体事件も抱えていた。まじめで信心深い男がなぜ殺さ れたのか。 事件を結びつけたのは、信心だった。 その頃、宇源次は許婚の母親の紹介で、感応寺の宿坊にて修行をしていた。… > 楽屋ではこぎれいな老人としか見えなかった男がひとたび舞台に立てば、何故 > かくも美しい女性に変貌を遂げるのか、まさに恐るべき魔力を備えた化け物と > いうしかなかった。 > 能に倣った唐織の壺折装束を身に着けた沢之丞は、みごとに優雅な舞を披露し > て、年齢の衰えを少しも感じさせなかった。(8頁) > 「私は人に好かれとう存じます。けど人に好かれたいと思うのに、口を開けば > 人を罵るばっかりで。とにかく負けるのは嫌だから、人としょっちゅう揉めて > おります。勝つためには人を押し退け、人に傷を負わせ、あげくは殺しちまう > のかもしれねえ。そういうことが、もうつくづく嫌になりました」(146頁) > おっとりしすぎて芸が生ぬるいといわれ続けた市之介がここに来て、やはり父 > の血をしっかり受け継いだ役者であることを見せつけている。父が存命のうち > はそれを隠していたのだとすれば、空恐ろしいような男であった。(248頁) 松井今朝子描くところの舞台の美しさよ。 舞の華やかさよ。 役者の艶やかさよ。 しっかりミステリ、しっかり時代小説。 あ。時代小説が続いちゃってますね。 でもどれもぜんぜん色調が違いますから(^^;ゞ。 ☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆ 『道絶えずば、また』 松井今朝子 http://www.amazon.co.jp/gp/product/408771294X?ie=UTF8&tag=sivabookpage-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=408771294X *********************************************** ほぼ週刊 お奨め本(ID:0000099780) 発行者:siva:ksivasiva@yahoo.co.jp 読書とかいろいろ日記: http://blog.goo.ne.jp/ksivasiva/c/ae2c0c3c85c365822876c18e384024c9 ご意見お聞かせください♪ ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。 解除は http://www.mag2.com/m/0000099780.htmからできます。 ----------------------------------------------------------------------


