2009/07/19
週刊 お奨め本 第351号『このあいだ東京でね』
*********************************************** 週刊 お奨め本 2009年7月19日発行 第351号 *********************************************** 『このあいだ東京でね』 青木淳悟 ¥1,600+税 新潮社 2009/2/25発行 ISBN978-4-10-474103-8 *********************************************** 八篇収録の短篇集。 「さようなら、またいつか」 「このあいだ東京でね」 「TOKYO SMART DRIVER」 「障壁」 「夜の目撃談」 「ワンス・アポン・ア・タイム」 「日付の数だけ言葉が」 「東京か、埼玉 -家と創作ノートと注釈-」 表題作が90ページあるほかは、6から32ページと、極端に短い短い。 その短さのなかでなにを描くか。 描かれるのはストーリーではない。 ひとつの事象の説明、それも結論を持つ明確な解説ではなく、淡々と、誰かが誰 かに語りかけるような、そういえば○○といえばね、といった調子で話題を変え つつ表層をなぞりながらの説明。 今は専業主婦のけい子は、「銀座の近くでお勤めしていたことがあっ」たというの が、短く幸福なOL時代の思い出である。 会社の仲間たちとタクシーをとばして遊びに行く。「○○方面へお願い!」 いまでは有楽町そごうはビックカメラになっている。 「さようなら、またいつか」 東京で住居を買おうと思う。 ちょっと見にいってみようか。何とか展示場・案内所・販売センターへ。問われ るままにアンケートに記入し、ご予算ご年収など正直に答えてしまえば「お客様 のようなご家庭の場合は」とシミュレーションだとかケーススタディだとか厳然 たる現実の話が展開する。 あそこに住みたいここに住みたい、川を越えるのはいや、○○線沿線でなくちゃ。 「どこそこが最寄り駅となるその土地に、かのデベロッパーが売主として、あの ブランドやシリーズのマンションをどこの建設会社の施工で建て、どこの不動産 販売会社が販売代理で売り出すことになるようだ!」 「このあいだ東京でね」 ちょうどたまたま1999年9月分の分厚い「新聞縮刷版」を頭の下に置いていた ので、その月の社会情勢を振り返ってみた。 気象情報、政治、経済、事故事件。そして広告。 「ワンス・アポン・ア・タイム」 ストーリーらしいストーリーはない。 「ワンス・アポン・ア…」なんて、延々新聞記事の見出しを羅列する。 なのになんとなく“あの頃”を思い出させる。 「このあいだ…」では話題は転々ローン審査やらタクシー&ゴルフやら、人気マ ンションの抽選やら、まちづくり行政やら転がり続け、そのいちいちになんとな く相槌を打ってしまったりして、しかしだからといってこれといったオチがある でなく、かと思えば突然「私」なる人物が登場したり、あらあらあらという間に ぷっつりと終わる。 ………なんなんだろう、この小説は。 > あれは二十代なかばの、まだ実家でくすぶっていたころのこと、ごくごく一般 > 的な戸建住宅をまるごと一軒「トレースするだけ」の小説を構想した。(219頁・「東京か、埼玉」) トレースするだけの小説。 ああ、そう。そういうこと。 純文の世界に疎いので、そういう小説が一般的に書かれているものなのかどうか わからない。 私は本書で初めて読んだ。 新鮮! ☆★☆★☆★☆★☆ Amazon ☆ 購入はこちらから ☆★☆★☆★☆★☆ 『このあいだ東京でね』 青木淳悟 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4104741035?ie=UTF8&tag=sivabookpage-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4104741035 *********************************************** ほぼ週刊 お奨め本(ID:0000099780) 発行者:siva:ksivasiva@yahoo.co.jp 読書とかいろいろ日記: http://blog.goo.ne.jp/ksivasiva/c/ae2c0c3c85c365822876c18e384024c9 ご意見お聞かせください♪ ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。 解除は http://www.mag2.com/m/0000099780.htmからできます。 ----------------------------------------------------------------------


