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2009/07/12

週刊 お奨め本 第350号『ハチはなぜ大量死したのか』

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週刊 お奨め本
2009年7月12日発行 第350号
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『ハチはなぜ大量死したのか』 ローワン・ジェイコブセン(中里京子・訳/福岡伸一・解説)
¥1,905+税 文藝春秋 2009/1/30発行
ISBN978-4-16-371030-3
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話題になった本なので、もうお読みになってる方もいらっしゃるかもしれません
ね。いやー、今ごろようやく読みまして~。


> 2007年春までに北半球から四分の一のハチが消えた。
> 巣箱という巣箱を開けても働きバチはいない。
> 残されたのは女王蜂とそして大量のハチミツ。
> その謎の集団死は、やがて果実の受粉を移動養蜂にたよる
> 農業に大打撃をあたえていく。
> 携帯電話の電磁波? 謎のウィルス? 農薬?
> 科学者たちの必死の原因追及のはてにみえてきたのは?

上の文は表紙カバー見返しの、内容紹介。
本書の内容はこれであらかた説明できてます。
でも、「内容」だけでは伝わらない魅力がある。この本はねー、文章がいいんです
よ! 原文もきっとユーモアに満ちた楽しい文章なんだろうと思う。そしてそれ
を移しきった中里京子の翻訳に拍手。

ルポとは即ちミステリだと誰が言っていたんだったか。
本書はまさにそれを地でいってる感じ。
可能性をあぶりだし、仮説を立て、検証する。
蜂の天敵、ダニ。本来ありえない大移動を強いられる蜂の疲労。疫病の発生。
農薬。


ハチの大量死の謎、の前に、まずハチとはどういう生き物なのかの説明がある。
「第二章 集団としての知性」は、おもしろくておもしろくてジタバタしちゃい
ます(笑)。
注釈まで愉快。

> 蜂は花蜜をすべて消化してしまったりはしない。蜂の社会では、「みんなは一
> 人のためにあり、一人はみんなのためにある」。だから、体を押したら花蜜が
> こぼれだすほど(*7)たくさんのリンゴの花蜜を体内に詰め込んだら、[…]
> 注*7 ミツバチの研究者は、暇なときに、こうして遊ぶことがある。(56~57頁)

遊んでるのか、そんなことして(笑)。
本文は、蜜蜂の一生をちょっと擬人化して説明しているのだけどこれがわかりや
すくて楽しくてかーわーいーいー。
第二章を読んで蜂の生態を知るだけでも、この本を読む価値があるって思うくらい。
蜂が社会的生活を営む賢い生物だってことは知っていたけれど、具体的なシステ
ムはよくわかっていなかった。本章を読むと、いっぱしの蜂博士気分ですよ。

もちろんほかの部分、本題であるところの蜂の大量死の謎解きも興味を引く。
ただ、残念なことに、結論は出ていないのだ。はっきりとは。
ほとんど「これが結論だ」といえるほどなのではあるけれど、確たる証拠はない。
それがちょっとばかり残念なのだけど…。まあ、推測であっても、じゅうぶんに
スリリングなこの結論に恐れおののきましょう。

私たちの食生活は危険に満ちている。
農業は薄氷一枚のギリギリで成り立っている。
蜂は危うさを身をもって示してくれているのかもしれないのだ。

多くの植物は受粉を蜂に頼っている。
蜂がいなければ、受粉できない。実ができない。
たかが蜂。けれど蜂の大量死は、農作物の大幅な値上げをもたらした。
これはミツバチの問題だけではない。
環境全体の問題であり、人間の社会の問題、人間が作り上げ維持しようとしてい
るシステムそのものの問題なのである。


著者ジェイコブセンは、田園地帯に暮らし、趣味で蜂を飼っている。
「本書を読んで、蜜蜂を飼いたくなってくれたら嬉しい」と書いている。
住宅街で蜂を飼うのは現実問題としてちょっと無理があるけれど、とりあえずハ
チミツを買ってこよう、と思いました。
国産の。
できれば有機養蜂の。


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