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2009/05/10

週刊 お奨め本 第341号『屋上ミサイル』

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週刊 お奨め本
2009年5月10日発行 第341号
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『屋上ミサイル』 山下貴光
¥1,400+税 宝島社 2009/1/24発行
ISBN978-4-7966-6777-7
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第7回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
(『臨床真理』柚月裕子・著 と同時受賞)

アメリカ大統領がテロ組織に拉致監禁され、毎日ライブでネット配信されている。
そんな大事件が起きている中、主人公である辻尾アカネは高校の美術デザイン科
の課題のために普通科校舎の屋上へ登り、そこで国重、沢木、平原らと出会った。

無敵のマイペース、学校で一番偉そうな男、国重。
片思いの相手に告白する日まで喋ることを封じて筆談している沢木。
美少年の平原。「お前、人殺しなんだってな」「はい」
屋上の平和を守るために、屋上部が結成された。

屋上部の活動とは何をするのか。
「殺し屋に会いたくねえか?」
国重が偶然拾った写真。木々に囲まれた背景の、男の死体。「普通、写真なんて撮
らねえだろ」だからこの写真は殺し屋が証拠として撮ったものに違いない。
「実は、俺も拾った物がある」
沢木は拳銃を拾っていた。

偶然拾うか、そんなもの。
選考会でも「あまりにご都合主義的すぎる」と苦言を呈されているが、ご都合主
義もここまで行けば芸である。

伊坂幸太郎との類似ぶりも指摘され、それも減点対象とされている。
軽妙洒脱なセリフの応酬、音楽至上、キャラ造形。たしかにどれも伊坂系。
しかしこれもやっぱり、ここまで来れば芸でしょう。
伊坂の影響を受けてようがどうしようが、小説としての完成度、合格!

特にキャラですね。うまいです。
主要登場人物四人だけでなく、アカネの弟の寛之、両親、沢木の片思いの相手の
宮瀬春美。殺し屋。罰神様。ドラッグの売人、刑事たち。監禁されてる大統領と、
監禁しているテロリストたち。テレビに出演するコメンテイター近藤さんにいた
るまで、決してとってつけたような説明なんかじゃなくて、生きている。

特に、近藤さんのキャラ、サイコー!
アカネと寛之の会話も洒落ている。


> 「アカネ、今日も出かけるの?」と台所から母さんの声が聞こえてきた。
> 「うん、ちょっとね」詳しいことは話していない。「友達がピンチだから」
> 母さんも詳しいことは訊いてこない。「ピンチには駆けつけるべきよね」と言
> うだけだった。
> 「さあ、ピンチですよ」という声がテレビから聞こえてくる。視線を向けると
> 近藤さんが立ち上がって声を張り上げていた。(263頁)

偶然が重なって、あれやこれやの事件が最後はひとつに収束して。
主人公たちが直接関わるわけではない大統領拉致監禁事件も、その影響はきちん
と描いて、そのうえきちんと着地もさせて。


同時受賞の『臨床真理』と評価まっぷたつということですが、これは読み手の好
みを測るリトマス試験紙としてちょうどいいかも。『臨床真理』の方がいいと思う
方は、たぶん、このメルマガに向いてない…。
わざわざ自分から読者を減らすようなこと言ってどうすんだ………o(_ _o)))☆ 



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