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2009/02/15

週刊 お奨め本 第329号『実さえ花さえ』

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週刊 お奨め本
2009年2月15日発行 第329号
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『実さえ花さえ』 朝井まかて
¥1,600+税 講談社 2008/10/22発行
ISBN978-4-06-215042-2
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実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい

第一章 春の見つけかた
第二章 空の青で染めよ
第三章 実さえ花さえ、その葉さえ
第四章 いつか、野となれ山となれ
終章  語り草の、のち

第3回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
著者はながくコピーライターをしていたらしい。2006年、大阪文学学校に入学し、
小説執筆を始め、本作が初めて書き上げた作品で、初応募で受賞、デビュー。
しかし初めての小説とは思えない完成度の高さだ。


なずな屋は近頃花好きのあいだで評判上上の店である。
花師である店主の新次と女房のおりん、繁忙期にだけ手伝いに来る女性と通いの
小僧だけで切り回している小さな店だが、新次の育種の腕の良さが評判をとって
いる。
また、おりんのアイデアも人気の隠れた秘密で、縁側での番茶振る舞いや、ひと
つひとつの鉢につけた「お手入れ指南」など、客の身に立ったサービスが受けて
いる。

春の日。大店の隠居の訪問を受けた。快気祝いの宴に、引き出物としてなずな屋
の新種の桜草を出したいという。喜んで引き受けたはいいが、鉢が揃わない。新
次がむかし修業していた霧島屋が邪魔をするのだ。
ちょうどそのころ、新次の昔馴染みの留吉が、女房お袖との諍いを持ち込んだ。
お袖は怒りのままに、霧島屋のお嬢さまと新次の仲を言い募る。
かねて花の知識のなさをどこか負い目に感じていた、おりんは家を飛び出してし
まう。ところがふと腰を下ろした屋台で鉢のアイデアが思い浮かんで…。
                            「春の見つけかた」


桜草の一件以来、知己を得たご隠居の六兵衛に、「花競べ」に出品するよう勧め
られた。山から採ってきた紫の実の木を出品しようと決めた矢先、花小屋に賊が
入り、居合わせた雀が重症を負う。雀は草花の棒手振り栄助から預かったこども
である。
そのころ、江戸の町は唐橘の高騰が未曾有の騒ぎとなっていた。その首謀者は霧
島屋七代当主。花競べには、唐橘の騒動を収拾しようという意図が秘められてい
た。…
                            「夏の青で染めよ」


「実さえ花さえ、その葉さえ」では、花火を欲しがる幼い女の子に、雀が「はい、
花火を取ってきたよ」と赤い金平糖を渡す。女の子は他日、新次に赤い金平糖を
差し出す。「あい、お日様をあげるよ」
小道具がうまい。可憐。

個人的にはストーリー展開的に気になる部分もなきにしもあらずだけど、それは
受け止め方次第かなというような点で。ぜんたいによくまとまっているし、全篇
なんとなしに品のよさが漂う。これは得がたい資質であるので、大切にしてもら
いたいものだと思う。


というわけで、久しぶりに時代小説のオススメでした。
たのしみな新人の登場です。

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ほぼ週刊 お奨め本(ID:0000099780) 
発行者:siva:ksivasiva@yahoo.co.jp
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