週刊 お奨め本 第289号『退化の進化学』『人体失敗の進化史』
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週刊 お奨め本
2008年5月11日発行 第289号
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『「退化」の進化学 ヒトにのこる進化の足跡』 犬塚則久
¥820+税 講談社(講談社ブルーバックス) 2006/12/20発行
ISBN4-06-257537-X
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『人体 失敗の進化史』 遠藤秀紀
¥740+税 光文社(光文社新書258) 2006/6/20発行
ISBN4-334-03358-X
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進化の本を二冊。
切り口は違うけれど、ほぼ同じことを書いている。
人体は、何億年も前に発生した生命があれこれ手直ししながら適応していった、
その記録場所だ。私たちの体には、進化の足跡が残されている。
その進化は、必ずしも最も優れた変化とは限らない。行き当たりバッタリの、
その場しのぎもある。アリモノを流用し、使わなくなったものを端っこに追い
やり、ムダを残し、謎を残す。
『「退化」の進化学』では、人体に残る退化器官および痕跡器官から、進化の道
筋を追う。
退化とは、器官が小さくなったり、数が減ったり、形が単純化することで、わか
りやすいのは蛇の足。蛇は足を失ったが、それは蛇が劣った存在になったことを
意味しない。蛇は蛇としてより環境に適応していった結果として、足をなくした。
つまり、退化とは進化の逆ではなく、進化の一部である。
たとえば、耳の中の小さな骨を二冊とも挙げている。
ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨から成る耳小骨。このうちのアブミ骨は、サメの時
代から耳小骨として存在した。でも、その前のサカナの時代には顎を構成する骨
だった。アブミ骨だけでは機能に不足が出てきた我らが先祖は、サメの時代に顎
の蝶番だった骨をヘッドハンティングして、聴覚器にしてしまった。
『退化…』では、イラストを多用し、視覚的にもわかりやすい。このイラストが
秀逸なのである。すっきりとシンプルで、見やすいんだ。
対して『人体…』では、写真多し。うおー、実感迫る。
こちらの著者の遠藤先生は、「遺体科学」を提唱してらっしゃる方で、とにかく
解剖しまくっている。その膨大な解剖事例からの、実感を伴う解説と、疑問の余
地の無い写真群。頷くしかできません。
半年のずれがあるとはいえ、ほとんど同時期と言ってよい短期間に、このような
似たような本が出版され、しかもそのどちらもが面白い!
いや、マジに、両者とも実にいいのだ。
内容はもちろん、構成、文章、実に行き届いている。
文章がまたいいのですよ。
> 進退の歴史は決して立身出世のめでたいサクセスストーリーではない。リスト
> ラや不景気の波にもまれながら、職を転々と渡り歩いては食い扶持を得る。そ
> んなけんめいな生き方を繰り返して、それぞれの部品が持ち場の責任を果たし
> ているというのが、的確なイメージかもしれない。(『人体…』80頁)
> 世界各地に世界遺産があり、多くの観光客を集めている。世界遺産には自然の
> 景観もあれば昔の人がつくりあげた建造物もある。人工物の文化遺産の古さは
> 高々五千年だが、自然遺産なら万年、億年単位のものもある。しかし、もっと
> 古い歴史遺産が、それもごく身近なところにある。それはあなた自身である。
> (『退化…』5頁)
どちらも面白い!
二冊併せての読書をオススメします。
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『「退化」の進化学 ヒトにのこる進化の足跡』 犬塚則久
http://www.amazon.co.jp/dp/406257537X/ref=nosim/?tag=sivabookpage-22
『人体 失敗の進化史』 遠藤秀紀
http://www.amazon.co.jp/dp/433403358X/ref=nosim/?tag=sivabookpage-22
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