民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と方策
――TontonSystemのメールマガジン 第130号―――――――――――――――
★ 民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と方策
日本発のグローバルスタンダードへ!
2005年12月19日号(不定期発行)
---------------------第130号の目次-------------------------------------
1 今回のコラム
■「仁義なき戦い」
2 次号(第131号)の予告
3 TontonSystemとは
4 TontonSystemのホームページ
5 利用配信システム
6 登録・解除・アドレス変更
7 バックナンバー
8 注意事項
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1 今回のコラム
■「仁義なき戦い(ジェイコム株誤発注事件)」
みずほ証券が「ジェイコム株61万円で1株」の売り注文を「1円で61万株」の
売り注文にしたため株式市場は大騒ぎであった。
なお、ジェイコムの発行済み株式総数は1万4500株で市場に出回っている株数
は3000株程度という。つまりみずほ証券は発行済み株式総数の40倍以上の株
を空売りしてしまったのである。
この大量誤発注事件の処理のため日本証券クリアリング機構は、みずほ証券が買い
戻せなかった9万6236株について1株当たり91万2000円で強制的に現金
決済する特別措置を決めた。これによりみずほ証券の損害額は405億円になった
という。
ジェイコム株の現金決済は異議を唱える者もなく日本証券クリアリング機構と各証
券会社、そして各投資家の間で終了したようだ。
なお、当初はみずほ証券のミスとされたが東証のシステムにも問題があることが判
明し、東証とシステムを担当した富士通の責任も浮上した。今後は三者の責任分担
が争点になりそうである。
わずか16分の取引時間で405億円の損害が出たが、裏からみれば同額を儲けた
人達が存在する。
当初、ネット投資家の間で「お祭り」騒ぎだったということで彼らが主役とみられ
ていたが蓋を開けてみれば、ジェイコム株を
UBS証券グループが38198株保有
リーマン・ブラザーズ証券グループが3150株保有
クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券グループが2889株保有
モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッドが4522株保有
日興コーディアル証券グループが3455株保有
野村証券が1000株保有
その他、中小の証券会社も多数保有していたようである。
つまり、同業者が実は主役だったことが判明した。まさに仁義なき戦いである。
みずほ証券が間違いに気付いて取り消し注文を出すまでに31件、3600株の売
買が成立、その後、取り消し注文ができないため47万株を買い戻したが、この間
60件14万株の売買が成立、その後も買い戻したが結局9万6236株が残った
という。
件数と株数から考えればほとんどが「大口」である。
つまりジェイコム株を常にウオッチしていて誤発注を早く見つけ、かつ大量の資金
を用意できる証券会社の自己売買部門が一番有利な立場にいたわけである。
もちろん個人でも売り抜けた投資家はいるかもしれないが、証券会社の自己売買部
門より先に注文を出していないと順番はなかなか回ってこない。またうまくいって
も小口のネット投資家では儲けも少ないと思われた。
ところが、東京都港区在住の24歳会社役員が3701株を保有していたことが判
明した。個人で28億円もの自己資金を投じ5億円以上の利益を上げたとみられる。
さらに翌日には、千葉県市川市在住の27歳無職男性が6000株を保有していた
ことも判明した。個人で34億円もの自己資金を投じ20億円以上の利益を上げた
とみられる。
このような個人投資家が存在すること自体驚きである。なお、他にも儲けた個人が
存在するかは今のところ不明だがいても僅かだろう。
みずほ証券の損害405億円は結果的には91件14万3600株の売買が元になっ
ている。9万6236株が強制決済による損害、残りが取り引き中の損害である。
大手証券と大口個人の分かっている保有株数は合計62915株だから96236
株には33321株足りない。この分が中小の証券会社と他の個人が保有というこ
とになる。しかしその他の個人は少ないと思われるので大部分が中小の証券会社の
保有ということになるだろう。
個人の儲けも侮れないが、全体的にみれば、みずほ証券の損害の多くは同業者の自
己売買部門の利益だったと言ってもいいだろう。
相手の明らかなミスと理解しても「善意の第三者」ならば違法ではないが、せこい
やり方には違いない。
しかし、証券会社ディーラーの抜け目のなさを改めて世間に公表してしまった。
このため多くの批判を受けることになった。
与謝野金融相は「誤発注を認識しながら、間隙を縫って自己売買部門で取得するの
は美しい話ではない」と儲けた証券会社を批判した。また、自民党金融調査会でも
「火事場泥棒のような行為」と批判が噴出した。
今回の事件は、株式市場の「システムミス」でもあったので「業界人」として「自
分の売買分はチャラにしますよ」と名乗り出る証券会社があるかもしれないと感じ
ていたがその方向で動きだしたようだ。
やはり与謝野金融相の発言が利いた。銀行や証券にとって一番怖いのはいまや金融
庁だからである。
UBS証券、日興コーディアル証券、リーマン・ブラザーズ証券が、ジェイコム株
の取引で得た利益を「全額返上」する方向で金融庁などと協議を始めたという。他
の大手証券会社も追随するしかないだろう。
ただし、高値で売り抜けた利益分は返上しなくてもいいらしい。
日本証券業協会では自己売買部門で利益を上げたすべての証券会社に返上を求める
方針だという。
ただし、中小の証券会社や個人については不透明である。特に自己売買部門が収益
の柱である中小の証券会社ではそのまま飲めないかもしれない。また個人は金融庁
の指導など怖くないため善意の第三者を主張するだろう。
いずれにしろ証券会社はしかたなく「善意の寄付」という形で落ち着くだろう。
この点でみれば個人投資家はやり得である。
なお、直接返還すると課税など色々な問題が生じるので業界内に「基金」などの受
け皿を作る案も浮上している。
今回のジェイコム株誤発注事件は大きな問題を提起している。東証や金融庁が解決
を急いだのも、また「ハゲタカ」と呼ばれる外資証券が簡単に返還を申し出るのも
株式市場の問題点を深く議論されることを嫌ったからと思われる。
特に外資の「節税」に関しては以前から批判が大きいため外資に批判が集中するの
を避けたものと思われる。
また現在、株式市場が個人投資家の増加もあり盛り上がっているときに水を差した
くないからでもある。
問題点その1は、株式市場のルールである。発行済み株式総数の40倍以上の株を
一度に空売りできるのはそもそも異常である。こんなバカなことを認めないルール
が必要である。
今回の場合は少なくとも、東証がこの売り注文が出た段階で売買停止措置をとるべ
きだったのである。
問題点その2は、証券会社の自己売買部門の存在である。同じ会社に部屋が違うと
はいえブローカー部門と自己売買部門が同居するのは一般投資家に対しての背信行
為である。
なお、証券会社の自己売買部門に関しては当メールマガジン第32号も参照されたい。
バクチ場において、ある客が胴元がいっしょにミスした場合、その責任はその客と
胴元が負うのが妥当である。しかし奉行が出て来て「ミス」だから儲けた客は儲け
を返せと「指導」したわけである。
胴元の背後には奉行がいるわけだが、この奉行、個人投資家の方を向いているのか、
業界の方を向いているのか判断が難しい。
なお、バクチ場の「ミス」なのか「イカサマ」なのかは判断が難しい。ミスは単な
る手順の問題だけだが、イカサマは一部の者が優位に立つカラクリである。
UBS証券は以前、電通株の誤発注で約100億円の損失を出したがこのとき今回
のような話はでなかった。今回は東証のミスと儲けたのが外資証券が多いというこ
とで金融庁の指導が入ったのだろう。一種のガス抜きでもある。
今回儲けた証券会社の自己売買部門や個人投資家は普通の人からみれば、たしかに
せこい人でえげつない人である。外資が「ハゲタカ」とよく呼ばれるのもその理由
である。しかしそれはルールが悪いからである。
今回の金融庁のやり方は、ルールが悪いのに、「黄門の印籠」で本質をうやむやに
してしまう国民的体質をよく表している。
しかしこのルールは当分改まりそうにない。これから株式投資を始めようと考えて
いる人は「ハゲタカ」と同じ土俵で勝負することを肝に銘じなければいけない。
普通の個人投資家においしい話は絶対に来ないし、ミスは認められない。
筆者は、組織に縛られない個人投資家が「ハゲタカ」にならないことを願っているが、
このご時世では難しいかもしれない。
レストランで食事し5000円札で支払ったが、相手が1万円札と勘違いしておつ
りを多くくれた。このとき相手の間違いに気付いても「ラッキー!」と喜んで帰る
人がこれからは多くなりそうである。
振込詐欺、耐震偽装など社会の信頼感や連帯感が根底から揺らいでいる。
民主主義と資本主義の折り合いを改めて一から考える時期に来ている。
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2 次号(第131号不定期発行)の予告
「2005年の株式市場」を検討したい。
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3 TontonSystemとは
TontonSystemとは民主主義と資本主義の折り合いを目指す理念と
その具体的方策です。TontonSystemを理解するには、現状の民主主
義と資本主義の問題点、そして経済原則とは何か、市場原理とは何
か、を理解する必要があります。TontonSystemは、現状ではハード
ルはかなり高いですが、やるだけの価値はあると思います。
★TontonSystemの全文はホームページに記載してあります。
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