2009/12/10
◆ごかいの部屋 No.172『家族が積み重ねるもの』
2009.12.9 [No.172] □■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ : ご か い の 部 屋 : ~ 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ ~ ────────────────────────────────── 元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る 体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□ 当スタジオ恒例のイベント「青少年支援セミナー」の第16回が迫っ てきました。 今年度から年1回開催になったため「青少年支援セミナー2009」 という名称で「代表講演」「分科会」「家族学習会【不登校編】」とい う3種の学習会を2日間に配置。 前号に掲載したふたつのコラムをネタに話す「代表講演」と、当メル マガから一部のコラムを収録した小冊子をテキストに使う「家族学習会」 を筆者が担当するほか、分科会も掘り出し物(?)の人材が揃いました。 ひとつのプログラムから参加できますので、必要と関心に合わせてお 選びください(事前申込制ですが当日参加も可能です)。 ↓青少年支援セミナー2009 http://homepage3.nifty.com/Husta/hope/hope2.html ヒューマン・スタジオ ── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ─────────────────── ■ コラム:家族が積み重ねるもの □ カコラム:136号『角をためて牛を殺すな〔上〕』 ■ 来月のスタジオ:体制を立て直します □ ごあんない ━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 家族が積み重ねるもの ─────────────────────────────────… 前号で私は、プロ野球界でトップを極めているイチロー(鈴木一朗) 選手が、打率よりも安打数のほうを重視していることを引き合いにして 「積み重ね」というキーワードを用いて不登校やひきこもりの青少年へ の見方を提案しました。 これに対し「スポーツは健全であり人生のプラスになるが、不登校・ ひきこもりは不健全だし人生のマイナスになる」といった見方をしてい る人からは「スポーツである野球と不登校・ひきこもりとは違う」と反 論されることでしょう。 つまり、野球で「こつこつヒットを積み重ねるより一発逆転のホーム ランを」と望むように、不登校・ひきこもりの青少年に対して「時間を かけて小さな対応を積み重ねるより、一刻も早く即効性のある対応(特 別な治療や訓練など)を施して復帰を実現するべき」ということです。 相談業務や家族学習会などでも、そういうお考えの親御さんにしばし ば出会います。特に長引いているお子さんの親御さんに多いです。 階段で言えば、2段飛ばし3段飛ばしでかけ上がらせようとしている のに似ています。 しかしお話をうかがうかぎり「ことここに至っては、即効性より積み 重ねのほうがかえって効果的なのではないか」と感じる場合がほとんど です。階段で言えば、1段1段着実に踏みしめながら、自分のペースで 上がらせる方法です。まさに「急がば回れ」です。 前号で挙げたイチロー選手は、こんなことを言っています。 「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひと つの道だと思っている」 とんでもない記録を次々と達成している彼も、普段やっていることは 特別なことではなく、小さなことの積み重ね――基本の反復――なので しょう。 私は、不登校やひきこもりへの対応も同じだと感じています。 特に親御さんは、専門家や支援団体による特別な治療や支援に頼らず とも、家族にしかできない小さなことを積み重ねるにつれ、本人に変化 が現れ始めることが多いのです。 では「家族にしかできない小さなこと」とは何でしょうか。そのこと を考えるため、まず次に挙げる目標を、ご自分にとって大きい順に並べ 替えてみてください。 1.本人が学校・社会に戻る 2.本人が支援を受けるようになる 3.本人が規則正しい生活を送る 4.本人がお手伝いしたり自由に外出したりする 5.本人が穏やかに毎日を過ごす 6.本人と一緒に家族の思い出をつくる いかがですか。多くの親御さんは「順番どおり」という結果になりま せんでしたか? すなわち、親御さんにとって最も大きな目標は1で、その次が2、・ ・・(上から順に小さくなる)ということではないでしょうか。 逆に言えば、最も小さな目標は6で、その次が5、・・・(下から順に 大きくなる)ということです。 そこでですが、親御さんはとかく「1を実現する」あるいは「3から 始めて1をめざす」といった目標で本人に対応しがちです。上のほうば かりを見ておられるわけです。 しかしそのような目標は、学校の先生や支援関係者などがめざしてい ますから「家族にしかできない」ことではありませんし、多くの場合親 御さんの思いどおりに実現していないのではないでしょうか。 これに対して私は、家族は下(小さなこと)から順にひとつひとつ実 現していく(積み重ねていく)ことが大事だ、と考えています。それが 「家族にしかできない小さなことを積み重ねる」ということです。 ところで、ここで挙げた六つの目標は、三つにまとめることができる ものです。すなわち「1と2」「3と4」「5と6」の三つです。 「1と2」は、公に認められている、あるいはその準備をしている生 活(通勤、通学、主婦業、医療や支援を利用、等)です。 「3と4」は、私生活(衣食住、趣味、友だちづきあい、お手伝い、 等)です。 「5と6」は、心の安定(穏やかな心境、明るい気持ち、等)です。 私は、この三つを「心の安定」「私生活」「公に認められている、ある いはその準備をしている生活(以下「公生活」と呼びます)」の順に実 現していく=積み重ねていくことが、家族に求められていると思います。 と言うのも、本人の心は、家族関係が改善されるに従って安定してき ますし、心が安定してくるにつれ昼夜逆転などの生活リズムのずれも徐 々に少なくなり、外出の回数も増えてきます。そうなれば、支援を受け る気持ちも高まってきます。 今のプロセスは一例ですが、そのように「心の安定」の上に「私生活」、 その上に「公生活」と、積み木を積むように実現させていくのが、最も 安全確実に本人が変化していくプロセスであるわけです。 以上のことから私は、家族として当たり前の家庭生活――良好な家族 関係の構築、楽しい時間の共有、思い出づくり――を生涯積み重ねてい くという意識をお持ちになることを、親御さんにお勧めするものです。 なお、今回の「青少年支援セミナー2009」のプログラム「家族学 習会【不登校編】」では、さらに具体的なお話を出していただき、一緒 に考え合います。不登校の子を持つご家族の方はぜひご参加ください。 ↓家族学習会【不登校編】(事前申込制ですが当日参加も可能です) http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/sodan4.html :筆者:丸山 康彦(まるさん) ヒューマン・スタジオ代表兼相談員。高校時代、不登校と留年の末 入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、1999年4月に個 人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月から現職。 ━━・● カ コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 角をためて牛を殺すな〔上〕 ─────────────────────────────────… “お手伝い”することから 「公」の部分が実行できない彼らに実行できることは「私」の部分し かありません。だから「せめて家庭のなかで役に立つことをしよう」と いう、彼らなりの精一杯の姿勢だと思うわけです。 そこには、学校・社会で役に立っていない自分が、家庭で役に立つこ とで「自分はこの家で生きていていいんだ」と、家族の一員としての存 在価値を自己確認しようという、切ない気持ちが働いているように感じ るのです。 つまり彼らは、まず「私」の部分を実行することで自己肯定感を取り 戻してから「公」の部分を実行する、というプロセスを歩もうとしてい る、と考えられるわけです。 それでは、そういう彼らに対して、親御さんはどう感じていらっしゃ るでしょうか。 「やってくれるのはうれしいんだけど・・・」という複雑なお気持ち ではありませんか? できれば「私」の部分を実行するより、早く「公」の部分を実行でき るようになってほしい、そのための訓練を受けてほしい、というのが本 音ではないでしょうか。 これは「私」の部分に専念する時期を取り上げてでも、早く学校など の場や社会に復帰させようという対応につながる考え方です。 ――136号(2007.1.19)から抜粋 ━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 体制を立て直します ─────────────────────────────────… ◎諸作業の遅れを取り戻す1か月に 10月30日の「ヒュースタ日誌」に書きましたように、ホームペー ジの新装公開を来年2月に延期します。また、その他の新規業務もそれ に合わせてスタートするよう運営スケジュールを修正しています。 事情により諸作業が延び延びになっているため、来月は正月気分もな く作業に追われることでしょう。 ↓ヒュースタ日誌(10月30日) http://blog.goo.ne.jp/husta/e/04612feef7f35f5de2be96cd667ecefe ━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ────────────────────────────────… ◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる相談機関・・・ 「ヒューマン・スタジオ」は、 青少年とご家族を直接支援する相談業務はもちろん、当メルマガをは じめ相談しなくても利用できる業務を多数実施し、事情と必要に応じ て選んでくださった方に、不登校・ひきこもりの青少年への理解と対 応に役立てていただいています。 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください → http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ ──────────────────────────────── …─── ★ 次回発行は2010年1月13日です。お楽しみに ★ ────… ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ : ご か い の 部 屋 ~ 不登校・引きこもりから社会へ ~ : 2009/12/9 NO.172 (発行:第2水曜 月1回) ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ □発行・執筆者:丸山 康彦 □発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/ □ご感想ご意見お便り http://homepage3.nifty.com/Husta/mail_cc.html □メールマガジン購読解除 http://homepage3.nifty.com/Husta/maga.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ == (C) 2007 Yasuhiko Maruyama@Human Studio, All Rights Reserved.== 当メールマガジンは『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/より配信しています バックナンバー http://archive.mag2.com/0000098424/index.html


