ごかいの部屋~不登校・引きこもりから社会へ~  RSSを登録する

子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説

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2009/11/11

◆ごかいの部屋 No.171『イチロー選手に学ぶ積み重ね力』

   2009.11.11 [No.171] 
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 :         ご か い の 部 屋          
 :   ~ 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ ~  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

 当スタジオが入居している民家内のフロア「悠生館」の定例行事「四
季のつどい」の「2009秋」が、来たる15日(日)に開催されます。
今回は当スタジオと協力関係にある方を講師に招くため、特別に当ス
タジオが主催します。

 その方は、不登校体験を持つビジネスウーマン。現在自社に提案して
実現した、ひきこもり支援団体でのWEB制作技術の伝授とそれを活か
した社会参加を支援しています。

 そこで「四季のつどい2009秋」では、第1部で上記のような現在
までの体験を語っていただき(聞き手は筆者)、第2部でアクアリウム
(水生生物飼育)ショップの開店事業に携わった経験を活かしてグラス
アクア(水草インテリア)制作のワークショップをやっていただきます
(参加はどちらか片方でも可)。

 その方の体験記は、WEB上で公開されています。
http://www.ebluerose.com/story.html

 不登校の心理とひきこもり支援のあり方を聴いて考え、小さな自然物
の製作と管理を生活に取り入れることの意味を体験して考えるイベント
です。

お問い合わせ・参加お申し込みは、13日(金)午後4時までにメー
ルでお願いいたします。

ヒューマン・スタジオ


── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────

■ コラム:イチロー選手に学ぶ積み重ね力
□ カコラム:145号『イチロー選手に学ぶ自律と適応』
■ 来月のスタジオ:青少年支援セミナー2009
□ ごあんない


━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                  イチロー選手に学ぶ積み重ね力
─────────────────────────────────…

 久しぶりに野球の話をしたいと思います(いつも言いますが野球をご
存じない方にはわかりにくいお話をすることをお許しください)。

 日本シリーズは巨人の優勝で閉幕しましたが、今年のプロ野球は日本
より米国のほうが大きな話題が多かったですね。イチロー(鈴木一朗)
選手が9年連続200安打の世界新記録を樹立したのに続き、松井選手
がワールドシリーズで日本人初のMVP(最優秀選手)に選ばれる、と
いうふたつの快挙に、多くのプロ野球ファンが歓喜しました。

 さて、プロ野球では、安打(ヒット)を1試合で平均1本打てる実力
があれば、だいたいレギュラーで試合に出られます(もちろん実際には
ほかの評価基準もあります)。その意味で、年間162試合ある米国の
プロ野球では「200安打」は一流選手の証でもあるのですが、これを
9年続けて超えた選手はイチローしかいないわけですね。

 プロ野球の魅力のひとつは、いろいろな種類のタイトル(年間1位の
記録)があるところだと私は思うのですが、最も代表的な記録のひとつ
に打率(ヒットを打つ確率・1位は「首位打者」と呼ばれるタイトル)
があります。

 打率は、確率ですから上下します。そのため、仮に高い打率を残そう
とすれば、高い時期に試合に出るのをやめてしまえばいい(実際に打率
が1位でいるうちに欠場してタイトルを獲得する選手がいる)わけです。

 一方、ヒットは1本1本の積み重ねですから、ヒットを多く打とうと
すれば、最後まで試合に出続けなければなりません。
 イチロー選手のすごいところは、そういう変動のある打率よりも、1
本1本増えていく安打数のほうを重視していることです。

 ところで、プロ野球の1年間を不登校やひきこもりの始まりから終わ
りまでにたとえますと、打率は本人の心理状態に、ヒットは本人の言動
(発言と行動)に、それぞれ置き換えることができます。

 前号で「私の援助方針がうまくいくと、本人の状態はほとんど後退す
ることなく進み続けるが、それでも本人は常に揺らいでいる」とお話し
しました。つまり、本人の状態は直線的に進展するのではなく、必ず波
があって上下しながら進展するわけです。

 そのため「○○すると言い出したので実行すると思っていたら、言わ
なくなってしまった」「小さな行動を起こし始めたのでこのまま続くか
と思っていたら、最近やらなくなってしまった」などというのは、不登
校やひきこもりの最中には何回でもあることです。

 ところが、そういうときに親御さんは「なあんだ、もともとやる気が
なかったんじゃないか」と失望したり「元の木阿弥=無意味になってし
まった」とがっかりしたりなさいます。
 が、当の本人も「やっぱり自分はもともと何もできないんだ」と、同
じように自分自身にがっかりしていることが多いのです。

 このような考え方・感じ方を、ここでは“打率思考”と名づけましょ
う。
 つまり、あくまで途中経過で確定していない打率の上下に一喜一憂す
るのと同様に、本人の状態の波に一喜一憂する考え方・感じ方です。

 これに対して私が提案したいのは「波が上向いたことで出て来た言動
(発言と行動)は、波が下向いたことで出て来なくなっても人生の実績
として残る(消えない)」という考え方・感じ方です。ここでは“安打
思考”と名づけましょう。
 つまり、前記のような言動が「無くなった」のは、言動が「永遠に消
えてしまった」「無駄だった」という意味ではないということです。

 というのは第一に、発言が実行されたり行動が続いたりするためには、
本人のエネルギーが一定量に到達していなければなりません。ですから
そうならなかったということは、エネルギーがそこまで到達していなか
った――少し足りなかった――ということです。

 したがって、本人も親御さんもがっかりしたり失望したりする必要は
なく「惜しかった、これからもう少しエネルギーを増やそう」と考えれ
ばいいことなのです。

 第二に、そのとき“出来た”ひとつの言動は、野球で言えば「1本の
ヒット」です。はたからは、言動は現れたり消えたりするように見えま
すが、本人のなかでは、そのときの感覚は記憶からは消えても体は覚え
ています。

 そのため、そのときの発言や行動は、必ず次の発言や行動の礎(いし
ずえ)になります。逆に言えば、次の発言や行動は、前の発言や行動の
上に積み重ねられたものであるわけです。

 したがって、発言が実行されなかったり行動が続かなかったりしても、
発言や行動が出たことじたいを一歩前進だと評価すべきですし、発言や
行動を積み重ねていくことによって、各自にとってのゴールに一歩一歩
近づいている、とイメージすることが大切です。

 最後に、この話は周囲による本人への対応にも当てはまります。適切
に対応していても本人の状態は打率のように上下しますが、対応はヒッ
トのようにひとつまたひとつと本人に伝わっています。そのことを知っ
ていれば、迷いなく気長に対応を積み重ねていくことができるでしょう。

 次回、この“対応の積み重ね”とその効果について考えます。


:筆者:丸山 康彦(まるさん)
ヒューマン・スタジオ代表兼相談員。高校時代、不登校と留年の末
入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、1999年4月に個
人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月から現職。


━━・● カ コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                   イチロー選手に学ぶ自律と適応
─────────────────────────────────…

 そんなセオリー無視のバッティングフォームで、日本のプロ野球の頂
点に立っていた彼も、年を追うごとに微妙にフォームを変えていました。
そして、アメリカでデビューした頃には、フォームはすっかりセオリー
の範囲内に収まっていたのです。

 彼のプロ野球生活は、まず自分に合ったフォームで結果を出し、その
あと上のランクの環境を選んだときに、そこに合ったフォームへと応用
させた、というものです。
 もし彼が、最初からセオリーにもとづいたバッティングフォームを身
につけていたら“名選手イチロー”は生まれていなかったでしょう。

 このようなプロセスは、不登校やひきこもりにも大いに参考になりま
す。

 つまり、まずは世間ではなく自分自身に合った生き方を選択し、その
なかで自分なりに経験と実績を積めば、やがて大きな世界に飛び立つと
き、自らの意思でその世界に適応できる生き方を身につけることができ
るようになる、ということです。

――145号(2007.9.13)から抜粋


━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                   青少年支援セミナー2009
─────────────────────────────────…

◎不登校・ひきこもりに「自律力」の保障を!

 上のふたつのコラムにあるような、イチロー選手をたとえに使った講
演をはじめ、不登校とひきこもりの青少年への理解と支援について、よ
り深く、より具体的に考えるイベントを開催します。

 16回目を迎える標記セミナーでは「代表講演」「分科会」「家族学
習会【不登校編】」の3種のプログラムを用意し、これを2日間の日程
で実施します。
分科会と家族学習会は2日にわたって実施しますので、分科会はふた
つまで、家族学習会は2回まで、それぞれ参加することができますし、
両方のプログラムを組み合わせることもできます。

ご自身の関心や必要に合ったプログラムだけを選んで参加できる、ま
さに“セルフサービス型イベント”です!

日程:
12月12日(土)・20日(日)
会場:
神奈川県立青少年センター別館(桜木町駅10分)

内容:
1.代表講演『不登校・ひきこもりを変えるって?』
2.分科会(全5種)
3.家族学習会【不登校編】『変化を手伝うために』(全2回)

費用:
1.500円(定員36人)
2.1種500円
3.1回1000円(二人目から一人500円)+テキスト代200円
※3プログラム以上ご参加の方は500円引

詳細:
今月中にホームページに掲載します。


━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 青少年とご家族を直接支援する相談業務はもちろん、当メルマガをは
じめ相談しなくても利用できる業務を多数実施し、事情と必要に応じ
て選んでくださった方に、不登校・ひきこもりの青少年への理解と対
応に役立てていただいています。
詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 


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…─── ★ 次回発行は2009年12月9日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 ~ 不登校・引きこもりから社会へ ~  
 :   2009/11/11 NO.171  (発行:第2水曜 月1回)
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□発行・執筆者:丸山 康彦
□発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/
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□メールマガジン購読解除 http://homepage3.nifty.com/Husta/maga.html
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