ごかいの部屋~不登校・引きこもりから社会へ~  RSSを登録する

子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説

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2009/02/11

◆ごかいの部屋 No.162 『心のリバウンドを防ぐために』

   2009.2.11 [No.162] 
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 :         ご か い の 部 屋          
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

 不登校児やひきこもり青年のご家族に合った内容を中心に書いている
当メルマガのコラムですが、ここ4回もの間「気持ちの熟成」という言
葉を使いながら、支援関係者向けのお話を続けています。

そこで筆者は、今回予定していた内容を少し変更して、再び自説を前
面に出して話をまとめる方向へと舵を切りました。そういうことで今後
とも末永くご愛読のほどよろしくお願いいたします。

ヒューマン・スタジオ


── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────

■ コラム:心のリバウンドを防ぐために
□ カコラム:151号『ドラマの結末はわからない』
■ 来月のスタジオ:青少年支援方法の発表と相談
□ ごあんない

━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                   心のリバウンドを防ぐために
─────────────────────────────────…

 前号では、本人が気持ちを熟成させるまでの内的作業を支えるだけで
はなく、本人が助けを求めることができる人間関係を構築することによ
って「<内的作業だけしかできない>という本人の孤立状況」を緩和す
ることも重要な支援ではないか、と考えました。

 では「助けを求めることができる人間関係」のひとつであるべき支援
関係者は、どのように考えているのでしょうか。

 ご存知のとおり、前々号と前号で取り上げたAさんの言う「ある程度
心の再構築ができて最低限動けるようになったら、自助グループに行っ
たりボランティアをするなどして、残りを完成させる」というプロセス
は、多くの支援団体の間で「そうあるべき」と考えられているものです。

 実際、多くの支援団体では、相談や家庭訪問を通じて本人をフリース
ペースや宿泊施設へと導き、元気を回復させながら学習や就労の支援を
実践しています。

 そういう団体の多くは「最初の一歩を踏み出しさえすれば、あとはど
うにでもなるのだから」と考え、本人を支援につなげることを重視しま
す。

 確かに、不登校児やひきこもり青年の多くは、自分の力を過小評価し
ているフシがあります。だから思い切って支援団体の門をくぐれば、あ
とは順調に進展することも少なくないようです。支援団体の考え方は、
そういう多くの青少年たちの歩みを根拠にしています。

 当の青少年も「この団体に行ってよかった」「あのとき家庭訪問して
くれなければ一生閉じこもったままだった」などと感謝している場合が
少なくありません。

 だた、その事実をもって「すべての青少年を一刻も早く支援すべきだ」
ということにはならない、というのが私の考え方です。

 去年10月の本欄で「DVの被害者が支援を求めることの難しさ」を
例にあげましたが、DVであれ依存症であれ不登校・ひきこもりであれ、
支援を受ける心境に至るには「今の自分の生き方は破たんした」「もう
自分の力ではどうにもならない」などと観念することが必要です。

 この、観念するまでのプロセスを貫徹した末に支援を受けた人は、何
のわだかまりもなく悩みの解決へと向かうことができます。

 一方、観念する前に支援(不登校・ひきこもりの場合は家庭訪問で連
れ出されるなど)された人は、観念するまでのプロセスを省略されたこ
とで、表面的には悩みが解決(DVなら相手から離れること、依存症な
ら依存対象をやめること、不登校やひきこもりなら学校や社会に復帰す
ること)したように見えていても、心の底では大事な落し物をしたよう
な不安感を抱え込んでいる場合があります。

 もちろん、前々号でお話ししたように、そのままうまくいく場合もあ
ります。ただ、不安感が“わだかまり”として現れてしまうと、DVな
ら相手の元に戻ってしまう、依存症なら再び依存行為が始まってしまう、
不登校やひきこもりなら学校や仕事が長続きしない、ということが起こ
るリスクが大きくなります。

 このような考え方に対して、支援関係者の方からは「観念するまで待
てと言うのか?」「それまでに取り返しがつかないことになったらどう
するのか?」という疑問ないし反論が出ることでしょう。

 もちろん支援関係者が、支援の可能性の模索や、支援を受ける心境に
なりやすい環境づくりなどを進めることは当然です。
 家族など周囲の方も、可能な範囲で支援の情報を伝えたり、支援に対
する抵抗感を和らげる対応を積み重ねるに越したことはありません。

 ただしその効果は「観念するまでの歳月が短縮する」だけにとどまり
ます。そして、それでよいのです。観念するまでの歳月を短縮すること
をめざすにしても「プロセスを貫徹するに任せる」という前提を崩して
はならないからです。

 以上のことを「ダイエット」にたとえると、さらに理解しやすいと思
います。

 ダイエットで失敗とされるのは「やっても体重が減少しなかった場合
だではなく「体重が減少したあとリバウンドして元に戻ったり、場合に
よってはダイエット前より体重が増加したりしてしまうこと」ですよね。

 そこで「ダイエット」を「不登校・ひきこもりへの支援」に、「体重」
を「状態」(すなわち体重の増加は状態の悪化に、体重の減少は状態の
改善に)に、それぞれたとえてみましょう。

 不登校・ひきこもりへの支援で失敗とされるのは「支援しても状態が
改善しなかった場合」だけでなく「状態が改善したあと元の状態に戻っ
たり、場合によっては支援する前より状態が悪くなってしまうこと」と
いうことになります。

 このように考えると、どういう支援をやってはいけないかが見えてき
ます。

 ダイエットをやってもリバウンドしてしまうのは、体重を急激に減少
させた場合ですよね。

 支援も同じで、しても元の状態に戻ったり、場合によっては支援する
前より状態が悪くなってしまうのは、状態を急激に改善しようとするか
らです。

 ダイエットでリバウンドしない秘訣は、長期間かけて少しずつ体重を
減少させることですよね。

 支援も同じで、長期間かけて少しずつ積み重ねていけば“心のリバウ
ンド”が起こらずに、着実に状態が改善していくわけです。

:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。


━━・● カ コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    ドラマの結末はわからない
─────────────────────────────────…

 納得できないままに、または「そうすべきだ」という義務感のままに、
我慢してあるいは「この方法しかない」と観念して関係機関に従ってい
る以上、本人の心には必ず「無理」がかかっています。そして「無理」
からは「わだかまり」が生まれ、それが澱(おり)のように心の奥底に
たまっていきます。

 しかもこの心理メカニズムは、支援を受けていなくても生じます。
 すなわち、145号などで述べたように、不登校児やひきこもり青年
の多くは、学校や社会への復帰を焦っています。その焦りに突き動かさ
れて登校や社会参加をめざしていると、やはり心に「無理」がかかり、
「わだかまり」がたまっていくわけです。

 支援を受ける受けないにかかわらず、そうして学校や社会に復帰して
も、それで解決とはならないで、通学や社会生活を再開しても長続きし
なかったり、常に苦しさを抱えていたりする場合があるのです。
 こうなると、また新たな困難が生じて「最終回を迎えたはずのドラマ
に、まだ続きがあった」ということになってしまいます。

 もちろん、すべての経験者がそうなるわけではありません。ただ「不
登校やひきこもりからの脱出」だけをよい結末だと本人も周囲も考えて
いるかぎり、このような青少年がいつまでも出現し続けるであろうこと
に、疑う余地はありません。

――151号(2008.3.12)から抜粋


━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                   青少年支援方法の発表と相談
─────────────────────────────────…

◎第1回青少年支援メッセ

 昨秋当スタジオが移転した現在の所在地には、代表の個人事務所(所
内に「SSW神奈川研究会あんさんぶる」が在籍)も入居しており、3
月には提携しているフリースクールも入居して満室になります。

 そこでこれを記念し、前記3団体の参加による標記イベントが、3月
下旬に開催されることになりました。
 各団体が相談兼販売ブースと実践報告などで競演。当スタジオは、相
談兼販売ブースと「青年のひきこもり」の心理・支援の報告で参加しま
す。

 詳細は間もなく↓「ヒュースタ日誌」で発表します。
http://blog.goo.ne.jp/husta/

開催時間中は出入り自由ですので「子どもの不登校」「青年のひきこ
もり」「スクールソーシャルワーク」のいずれかにご関心のある方のご
参加をお待ちしております。


━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
────────────────────────────────…

◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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…─── ★ 次回発行は2009年3月11日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  
 :   2009/2/11 NO.162  (発行:第2水曜 月1回)
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□発行・執筆者:丸山 康彦
□発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/ 
□ご感想ご意見お便り http://homepage3.nifty.com/Husta/mail_cc.html
□メールマガジン購読解除 http://homepage3.nifty.com/Husta/maga.html
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== (C) 2007 Yasuhiko Maruyama@Human Studio, All Rights Reserved.==
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バックナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000098424
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