ごかいの部屋~不登校・引きこもりから社会へ~  RSSを登録する

子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説

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2008/04/09

◆ごかいの部屋 No.152 『結末を告げる体内カレンダー』

   2008.4.9[No.152] 
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 :         ご か い の 部 屋          
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

 2008年度最初の『ごかいの部屋』をお届けします。
 今年度の当スタジオは、業務の新設と再編を断行し、さらにご利用い
ただきやすい年間スケジュールにして「青少年とご家族」「関係の個人
・団体」「一般の市民・学生」の各方面に、ますますお役に立てるよう
がんばります。

ヒューマン・スタジオ

── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────

■ コラム:結末を告げる体内カレンダー
□ 来月のスタジオ:若者自立塾を比較し、就労支援を考える
■ ごあんない


━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    結末を告げる体内カレンダー
─────────────────────────────────…

 今年も新年度(新学年)がやってきました。
 この時期になると、中学3年生、高校生、大学生などは明暗が分かれ
ます。前号で言う“ドラマの最終回”を迎えられてホッとしているか、
まだまだ迎えられないことがはっきりして不安になっているか。

 さて、今号はそんな“最終回のわからないドラマ”を生き抜いてきた
不登校とひきこもりの経験者の話や、私が受けた相談事例を参考に、不
登校やひきこもりという“ドラマ”がどのようにして“最終回”を迎え
るか、それはどのような結末なのか、といった点を考えたいと思います。

 これまでに私が接した経験者(元当事者)の話や相談事例を総合する
と、関係機関が支援や治療をして、“終わらせる”場合のほかにも、おお
まかに言って次のふた通りの終わり方があるようです。

1.	小さな変化の積み重ねによって、新しいエネルギーが少しずつ湧き
出て、徐々に新しい人生へと切り替わっていく

 この終わり方では、その前の“産みの苦しみ”は軽くてすみますが、
ひきこもりの場合、その後も小さな葛藤を繰り返しながら、生き方を模
索する日々が長く続く青年が少なくないようです。

2.	一度の大きな変化によって、新しいエネルギーが一気に湧き出て、
劇的に新しい人生がスタートする。

 この終わり方では、人生観が変わり新しい環境に到達しますので、あ
とあとまで葛藤が残ることは少ないですが、その前につらい“産みの苦
しみ“に耐えなければなりません。

 このように、大小の違いはあれど、どちらの終わり方にも「変わり目」
と呼ぶことができる「変化が起きる瞬間」があり、しかもその瞬間に新
しいエネルギーが湧き出るわけです。
 そして、エネルギーが湧き出るきっかけは、ふたつあります。

 ひとつは“底つき”です。これは、2番目の終わり方によくあるもの
で、それまで自分だけの努力で抜け出そうと長いこともがいていたが、
あるとき、ふと「自分ではどうすることもできない」とか「このままで
は人生を棒に振ってしまう」などと観念した場合です。

 前号でお話しした福井市のひとつ目のイベントで、私の隣に座ったパ
ネリストの方も、このようなプロセスでひきこもりを終えていました。

 もうひとつは“対応の効果”です。これは、どちらの終わり方にもあ
るもので、52号と148号で推奨した対応や、133号で「介入でな
い関与」と表現したような対応の積み重ねが実を結んだ場合です。

 すなわち、適切な対応をすれば本人のなかにエネルギーが蓄積され、
不適切な対応をすれば減ります。そうやって増えたり減ったりしながら、
エネルギーが“心の容量”を越えて湧き出た、ということです。

 このいずれか一方のプロセス、または両方が混在した(多くは私の不
登校がそうだったように、適切な対応の積み重ねがあって、そのうえで
“底つき”した)プロセスによってエネルギーが湧き出たとき、本人が
とる行動は、支援を利用する(前述の「関係機関が“終わらせる”支援
や治療」とはタイミングが違うことに注意してください)か、私のよう
に独力で新しいスタートを切るか、のどちらかです。

 このように、きっかけが“底つき”であろうと“対応の効果”であろ
うと、行動が“支援を利用する”であろうと“独力で新しいスタートを
切る”であろうと「それまでにはなかった新しいエネルギーが湧き出た」
という点が共通しています。

 どの場合も「“トンネル”を自分で歩き通した」という点では、前号
でお話ししたような「悔いのない結末」だと思います。

 ところで、自らも経験者であり、かつ現在相談業務にたずさわってい
る私としては、ほかの経験者の体験談や相談を受けたケースを思い起こ
すと、不登校やひきこもりには今述べたような変わり目が「あらかじめ
用意されている」と感じられることがしばしばです。

 10号で、出身高校の先生が書いた「時計反応」という化学反応の話
を紹介しました。これは「ある薬品どうしを混ぜると、そのときには何
も起こらないが、しばらくたつと突然、まさに突然目に見えるような変
化(たとえば色の変化)が起こる」というものでした。

 これを不登校と引きこもりにたとえれば「適切な対応をしてもそのと
きには何も起こらないが、しばらくたつと突然、目に見えるような変化
が起こる」と言うことができます。

 「体内時計」という医学用語をご存じのことと思います。人間の体に
は時計の機能があり、24時間余りの「概日リズム」によって、夜に眠
くなり、朝に目が覚める、といった現象が必ず起こるわけです。

 私はこれをもじって「体内カレンダー」という概念を提唱しています。
 人間の体にはカレンダーの機能があり、人それぞれの「歳月リズム」
によって、長く葛藤に苦しんでいても変わり目が必ずやってくる、とい
う意味です。

 もちろん、生活が乱れていると「体内時計」が狂ってくるのと同様、
葛藤によって心が千々(ちぢ)に乱れるばかりでは「体内カレンダー」
も狂って、変わり目が先送りされてしまうでしょう。

 周囲の適切な対応の積み重ねや、本人を支える人・事・物・希望のど
れかがあれば「体内カレンダー」は順調にめくられ、変わり目が日一日
と近づいてくる、というケースが多いように思われます。

 しかし、経験者のなかには「変わり目が来るのが遅すぎた」「長引か
ないよう早めに厳しく支援すべきだ」などと語る人が少なくありません。
 「時計反応」や「体内カレンダー」のようにして、自然に変わり目が
来ることは良くないのでしょうか。次回別の視点から考えます。

:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。

━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
               若者自立塾を比較し、就労支援を考える 
─────────────────────────────────…

◎青少年支援セミナー2008春夏

2年前に取り上げたひきこもっている青年への支援方法のうち、近年
注目が増している「就労支援」を取り上げます。神奈川県内の、厚労省
委託事業「若者自立塾」を受託している団体と、独自に就労支援を実施
している団体が一堂に会して、若者自立塾受託団体によるプレゼンテー
ションと、独自の就労支援実施団体による合同説明会を通じて、各団体
の就労支援を総覧し、選択と利用について考える材料を提供します。
 若者自立塾受託団体が揃い、比較対照表まで用意するイベントは珍し
く、ひきこもりやニートと呼ばれる青年への就労支援のあり方を考える
絶好の機会です!

日時 5月25日(日)13:20〜16:50
会場 地球市民かながわプラザ(本郷台駅徒歩3分)
内容 第1部:プレゼンテーション
『若者自立塾の2年半〜うちの塾がやっている事語ります〜』
  子どもと生活文化協会
K2インターナショナル
   教育研究所
   第2部:就労支援合同説明会
   『これがうちの就労支援です〜趣旨と実践〜』
  子どもと生活文化協会、K2インターナショナル、他
参加 原則として事前予約制(定員40名/資料代500円)

詳細は5月以降ホームページのこちら↓をご覧下さい。
http://homepage3.nifty.com/Husta/hope/hope2.html


━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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…─── ★ 次回発行は2008年5月14日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  
 :   2008/4/9 NO.152  (発行:第2水曜 月1回)
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□発行・執筆者:丸山 康彦
□発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/ 
□ご感想ご意見お便り http://homepage3.nifty.com/Husta/mail_cc.html
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