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子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説

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2008/03/12

◆ごかいの部屋 No.151 『ドラマの結末はわからない』

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   2008.3.12[No.151] 
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 :         ご か い の 部 屋          
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

 最近、筆者が参加しているある勉強会で、2回続けて当メルマガがテ
キストに取り上げられ、多くのおほめの言葉と突っ込んだご質問、さら
に少しのご疑問をいただいたことが、とても勉強になったようです。
 このように、お読みくださった方からのご意見ご感想は、反省点とし
て今後のコラムに活かされますので、ぜひお寄せくださいますようお願
いいたします。

ヒューマン・スタジオ

── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────

■ コラム:ドラマの結末はわからない
□ 来月のスタジオ:ブックレット第7弾を発行
■ ごあんない


━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    ドラマの結末はわからない
─────────────────────────────────…

 今年も年度末(学年末)がやってきました。
 この時期になると、中学3年生、高校生、大学生など、新年度への不
安を抱えている本人やご家族がたくさんいらっしゃることでしょう。

 ただそのなかでも、テレビドラマをご覧になっていて、最終回がどう
なるか楽しみにしている方もいらっしゃるでしょう。
 年度末(学年末)というのは、ドラマの展開を考えるように「これか
らどうなっていくのだろう」と考えずにはいられない季節ですよね。

 さて、147号で、福井市で開催されたふたつのイベントに出たこと
を報告し、ふたつ目のイベントでお話しした内容の後半の一部を、修正
のうえ収録しましたが、パネリストとして参加したひとつ目のイベント
で、司会の方(主催団体代表)が「登校拒否(この方の呼び方です)は
親子のドラマだ」という持論をお話しされました。

 内容はよく覚えていませんが、そのとき隣で聞いていた私に「最終回
がわかってしまうドラマって、つまらないよな・・・」という考えが浮
かびました。
 小説でも映画でも、結末がわかってしまうシナリオ(台本)で作られ
たストーリーは“駄作”と評価されますよね。

 「これは現実の話だ。この先どうなるかわからなければ不安でやって
いられない!」と、本人や親御さんからお叱りの声が聞こえてきそうで
す。

 確かに、本人は自分の、親御さんはわが子の、不登校やひきこもりが
「どんな対応をすれば終わるのか」「いつになったら終わるのか」など
を知りたい、というお気持ちを抑えることができないでしょう。
 実際、福井市でのふたつのイベントでも、両方で「私(たち)がいな
くなったらどうなるのか」というご質問が複数の親御さんから出ました
(私なりの答えを126号でお話してあります)。

 そのご心配はもっともですが、不登校やひきこもりは病気ではなく生
きざまですから「いつどのように変わるか」「いつになったら終わるか」
などを見立てることは、どんな優秀な専門家でも難しいものです。
 せいぜい、親御さんから詳しいお話をうかがって、「今どの段階にある
か」「次の段階はどうなるか」などを判断し、それをもとに対応を提案
することまでは、ある程度確実にできるだろう、というくらいです。

 ところが「こう対応すれば必ずこういう結末を迎える」と自信たっぷ
りに断言する人たちがいます。それは、前号でお話しした「提供者主体
の関係機関」の一部の人たちです。

 確かに、そういう機関の支援には、不登校児やひきこもり青年に一律
に適用するシナリオ(システムやノウハウ)がありますから、それに本
人を当てはめて、あとはシナリオどおりにやっていけば、特に小学生を
不登校から抜け出させることは、それほど難しくないとさえ言えます。

 しかし「不登校やひきこもりからの脱出」は、はたしてよい結末だと
言い切れるでしょうか。

 前々号で、私の経験として「誓約書に関するカウンセラーの指示」を
例に挙げましたが、そのような対応は本人が納得できるプロセスにはな
らないことを、前号で指摘しました。

 納得できないままに、または「そうすべきだ」という義務感のままに、
我慢してあるいは「この方法しかない」と観念して関係機関に従ってい
る以上、本人の心には必ず「無理」がかかっています。そして「無理」
からは「わだかまり」が生まれ、それが澱(おり)のように心の奥底に
たまっていきます。

 しかもこの心理メカニズムは、支援を受けていなくても生じます。
 すなわち、145号などで述べたように、不登校児やひきこもり青年
の多くは、学校や社会への復帰を焦っています。その焦りに突き動かさ
れて登校や社会参加をめざしていると、やはり心に「無理」がかかり、
「わだかまり」がたまっていくわけです。

 支援を受ける受けないにかかわらず、そうして学校や社会に復帰して
も、それで解決とはならないで、通学や社会生活を再開しても長続きし
なかったり、常に苦しさを抱えていたりする場合があるのです。
 こうなると、また新たな困難が生じて「最終回を迎えたはずのドラマ
に、まだ続きがあった」ということになってしまいます。

 もちろん、すべての経験者がそうなるわけではありません。ただ「不
登校やひきこもりからの脱出」だけをよい結末だと本人も周囲も考えて
いるかぎり、このような青少年がいつまでも出現し続けるであろうこと
に、疑う余地はありません。

 要するに本人の多くは「決まっているゴールに一直線に到達するプロ
セス(=最終回がわかっているドラマ)」ではなく「自分でゴールを探
しながら歩くプロセス(=最終回がわからないドラマ)」を、無意識の
うちに求めているように思われるのです。
 「学校・社会への復帰」というゴールと、そこに到達する方法だけし
か視野に入らないプロセスは、納得できる生き方ではないのでしょう。

 それを正しいと私が思うのは「どうやって学校や社会に復帰するか」
よりも「どのような人生を歩むか」のほうが重要だと考えるからです。
 本人が納得できるプロセスを歩むことができ「わだかまり」を残さな
い対応を受ければ、先には明るい結末が待っていることでしょう。

 「先のことはわからない」とか「あとから“あのときが転機だった”
と気づく」などといった“人生の法則”すなわち“現実”に立ち返って
<今の生活>を最も大切にしながら生きることが、悔いのない結末を迎
える秘訣なのではないでしょうか。

:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。

━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    ブックレット第7弾を発行
─────────────────────────────────…

◎とらえ方と対応の常識を問い直す

当メルマガのコラムの一部を活字化した「ワンポイントブックレット」
の、第7弾が発行されます。タイトルは『脱常識思考で対応しよう〜不
登校・ひきこもりの見方〜』の予定。タイトルに合ったコラムを3編収
録します。

不登校児やひきこもり青年の二次症状や堂々巡りの言動、さらにはひ
きこもり自体を早くやめさせたいと願う親御さんの気持ちに寄り添いな
がら、もっと根本的な視点を打ち出し、常識的対応からの発想の転換を
訴えます。

新しい読者の方、以前のコラムを活字で読みたい方は、ぜひお求めく
ださい。

━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
────────────────────────────────…

◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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…─── ★ 次回発行は2008年4月9日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  
 :   2008/3/12 NO.151  (発行:第2水曜 月1回)
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□発行・執筆者:丸山 康彦
□発行元:ヒューマン・スタジオ http://homepage3.nifty.com/Husta/ 
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