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子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説

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2007/02/21

◆ごかいの部屋 No.138 『角をためて牛を殺すな〔下〕』

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   2007.2.21[No.138] 
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 :         ご か い の 部 屋          
 :   〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜  
──────────────────────────────────
       元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る      
     体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説     
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                     角をためて牛を殺すな
─────────────────────────────────…

        〔下〕エネルギーを保つことから

 これまで、不登校児やひきこもり青年が、家庭内でいい子であったり
平穏な家庭生活を送ったりしていることについて考えてきました。

 ただ、やはり多くの不登校児やひきこもり青年は、いい子ではなく不
穏な状態であるため、平穏な家庭生活を取り戻したくても取り戻せない
ご家族が多いことと思います。
 不穏な状態と言っても、それにはふたつのパターンがあります。

 ひとつは、二次症状(暴力・神経症的行動・話し合い依存など)がな
かなか収まらなかったり、悩みが深く常に不機嫌だったりする状態です。
 もうひとつは、一日中自室に閉じこもったきりで出てこない、あるい
は親に口を聞かない、という状態です。

 今回は、前者について考えます。

 親御さんのお話をうかがっていると、彼らのなかには、社会の不正義
(倫理にもとる行為や弱者差別など)に怒りをあらわにする一方、自分
自身をこれでもかとばかりに責める人が少なくありません。

 すなわち、彼らは「他者には規範や正義を求めるくせに、肝心の自分
は<学校・社会に出ていない>という意味で規範や正義にかなっていな
い」と感じており、そんな自分を許せないために、暴れたり徹底的に自
分を責めたりするわけです。

 このことから、彼らが規範意識や正義感が強く、自他に厳しく、弱者
への思いやりがあることがうかがわれます。これはまさしく彼らの長所
であり、人柄のよさの表れです。

 しかし、親御さんをはじめ周囲の人々は、人柄うんぬんより、考え方・
感じ方があまりに極端(過敏、被害妄想的、オール・オワ・ナッシング、
など)であり、ときにはそれが彼らを暴力などの二次症状へと駆り立て
ることに、否定的な思いをお持ちのことでしょう。

 「もっと柔軟に、いいかげんにならないと」「精神力が伴わないと」
「学校・社会でやっていけない」とか「人柄なんかどうでもいいから、
早く平穏な状態に戻って、早く学校・社会に復帰してほしい」などと願
っておられることと思います。

 では、そのような長所を削ぎ落とせば学校や社会で生きていけるとし
たら、そうすべきなのでしょうか。これが私の第一の疑問です。

 他方、親御さんのなかには、長所は大事にしてほしいが、本人の苦し
む様子を見るに忍びなく、あの苦しみを何とか取り除いてあげたい、と
思われている方も少なくないと思います。

 では、彼らの苦しみを取り除いてあげたとして、彼らは納得して生き
ていけるのでしょうか。これが私の第二の疑問です。

 私が感じるのは、暴れたり徹底的に自分を責めたりする、彼らのエネ
ルギーのすごさです。それは無尽蔵で、ときに爆発的です。
 つまり、彼らはエネルギーがない人たちではなく、逆にエネルギーを
持った人たちなのです。

 私も、何度かお話ししているように、不登校やひきこもりの時代には、
自分の現状を受け入れられないため話し合い依存状態に陥っていました
し、特にひきこもり時代は怒りが常に充満していました。しかし現在、
そのエネルギーは出し方と方向、つまり質が違うだけで、量的には変わ
っていないと感じています。

 つまり、私の現在の生活は、ひきこもり時代と変わらぬエネルギーに
よって支えられているわけです。

 ならば、エネルギーの出し方と方向が変われば、彼らの人生はイキイ
キとし始めるのではないでしょうか。

 たとえるなら、ガスは、出し方と方向を間違えると爆発します。しか
し、機能的で安全性が確保されたバーナーやコンロにパイプをつなげて
栓をひねり、適度な出力に調整すれば、とても役に立ちます。

 人間が持つエネルギーも、それと同じです。出力や方向を調整できれ
ば―出し方を身につければ―、前述の長所が大きな武器となり、人の役
に立つ存在になることは想像にかたくありません。

 そのためには、本人のエネルギーを封じ込めたり奪ったりするのでは
なく、ガス抜きの効果が出るかたちで出し続けさせる方策を考える必要
があります。つまり、彼らが苦しんでいることを否定するのではなく、
そのまま支えるのです。

 すなわち、彼らのエネルギーを、ご家族をはじめとする周囲の負担に
ならない範囲で受け止めてあげることです。そのような対応を続けるた
めには、あらかじめ許容範囲を決めておくことも必要でしょうし、場合
によっては第三者の力を借りることもあるでしょう。

 暴れたり徹底的に自分を責めたりする苦しみ方を一方的にやめさせる
ような対応は、彼らの苦しみと一緒にエネルギーも奪い、せっかくのよ
い人柄も、その後の人生に活かすことができなくなりかねません。

 本人の人柄のよさを大切にしながら、苦しみを受け止め、支え続けま
しょう。そのプロセスが、長所はそのままで、思考やエネルギーを調整
する術を身につけ、その後の人生をイキイキと生きる基礎となってくれ
るのです。

        *       *       *

 不登校児やひきこもり青年の家庭での様子、そしてその心理と活かし
方について考えてきました。
 本人の長い人生における幸せを目標にした対応や支援であるかどうか
が“大きなお世話”かどうかの分かれ目であるように思います。

:筆者:丸山 康彦(まるさん)
 スクールソーシャルワーカー(訪問子ども援助職)。高校時代、
 不登校と留年の末、入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、
 1999年4月に個人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月に
 当ヒューマン・スタジオを設立し代表に。


━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる教育相談機関・・・
 「ヒューマン・スタジオ」は、
 スクールソーシャルワークという援助法にもとづき、面接のみならず、
 相談員自ら家庭や学校を訪問し、本人を支えつつ周辺状況を改善する
 ことで、当事者主体の問題解決をめざしています。
 詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/ 

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…─── ★ 次回発行は2007年3月7日です。お楽しみに ★ ────…
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 : ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜  
 :   2007/2/21 NO.138  (発行:第1・3水曜 月2回)
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