2009/05/18
食生活について語ろう[09/5/18〕86号 アルカロイド
〜☆ようこそ、食生活館へ☆〜
2009年5月18日(月)発行・第86号
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■食生活について語ろう■ご愛読者の皆様にお届けしています。
昨年に有毒な植物の葉を食用と間違えて食べてしまい中毒を起こした事件
が報じられていました。水仙の葉にはアルカロイドが多く含まれ食用とはでき
ない、していないようでした。
そのアルカロイドとは、どのような物質で、多く含む植物にはどのようなもの
があるかなど調べてみました。
不定期に最近話題の食生活について気になる最新情報をお届けします。
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《テーマいろいろ》
◎アルカロイドAlkaloid あるかろいど
今の季節新緑がまばゆく、新芽を摘(つ)まんで口にしたくなります。水仙
の葉をニラと間違えたとか、アジサイの葉をあしらいに使って食べ食中毒を起
こしていたことが聞かれました。水仙の鱗茎にリコリン(Lycorine)のアルカ
ロイドを含み有毒とされますが鱗茎のすりおろし汁に小麦粉を加えたりして練
り、肩こり、乳腺の腫れ、打ち身、筋肉痛、歯痛など痛みを解消するとして外
用の民間薬として用いられてきました。作用が穏やかなテォブロミン
(Theobromine:ココア)などは日常的に飲用されてます。
食品としている山菜、野草、茶、コーヒーなどの嗜好飲料などにも含まれて
います。主にアカネ科、ケシ科、キンポウゲ科、セリ科、マメ科、メギ科など
の多くの植物に主に熱帯、亜熱帯地方に多く分布します。アルカロイドを含む
主な植物の生理作用についてお届けすることといたしました。
今までに2000種類以上のアルカロイドが発見され、人工的にも合成されてい
ます。動物から身を守るために働く物質といわれています。アルカロイドとは
植物塩基の意味で、植物に含まれる塩基性含有窒素化合物で有機酸塩とし存在
することからアルカリで分解し溶剤抽出、蒸留により分離されます。
苦味の成分で「苦味質」ともいわれ種類としては毒性を示すものが数多く顕著
な生理作用があり利用されているものもあります。作用が穏やかな、お茶、コ
ーヒーに含むカフェイン(Caffeine)は、臭いが無く苦味があり、熱湯にとけ出
しやすく、光沢のある白色針状の結晶でタンニンと結合して沈殿します。
●お茶でのアルカロイドの興奮作用は、抹茶>玉露>コーヒー>紅茶>煎茶・ウー
ロン茶・ほうじ茶>番茶の順で含みます。茶に見出されたものを別名で茶素(テ
イン)ともいわれ、紅茶にはテォフェリンを含みます。脳の中枢神経を刺激
し、筋肉を刺激し眠気の除去、興奮作用を呈し記憶力、集中力、判断力をよく
します。
カフェインは、市販の風邪薬、栄養ドリンクに含まれ、しばしばドーピング(運
動能力を高めるための薬物)に用いられることもあり尿中に12μg/mg排泄が認め
られてはならないこととなっています。
疲労回復、血流促進、利尿、強心、食後の消化促進作用もあり体内で尿酸となっ
て尿中に排出されます。一杯程度の茶、コーヒー、紅茶に20〜100mg、カカオ豆、
コーラに45mg含まれます。ウーロン茶のカフェインの量はコーヒーの1/3程度、
栄養ドリンクでは50〜200mgとされています。
カフェインを1回につき500mg、1日に1g(1000mg)以上とると、胃部不快感、
動悸(どうき)などの副作用が起きやすくなると言われ、致死量は、推定10g以
上とされています。
●ジャガイモの新芽、緑色部分に多く幼芽の半分ぐらいですが皮にも含まれる
ソラニン(Solanine)は、希硫酸によって赤くなり、加水分解でソラジンと糖(グ
ルコース、ガラクトース、ラムノース)に分解されるグリコアルカロイド(α−
ソラニンとα−チャコニンを主成分とする)で苦味があります。ソラニジンが、
ステロイド(抗炎、免疫抑制作用がある)系のアルカロイドで腹痛、メマイなど
を起こし、神経障害、瞳孔拡大、赤血球破壊作用を呈し毒性を有しています。
生芋で20〜40mg/100gで中毒を起こすといわれます。一般に0.05%程度含み0.1%
に達するものもあり危険とされています。加熱して分解されず水に難溶、アル
コールに溶けます。ソラニン(Solanine)は、日の当たるところで保管すると発
芽し皮が緑がかって増加し芽、皮を取り除くのがよいです。他にトマト、ほう
ずき、ヒヨドリジョウゴ(多年草)、なす、ピーマンなどナス科の植物にじゃが
芋ほどではないが含みます。
●胡椒は、香味、辛味成分アルカロイド(ピペリン、チャビシン)を含み魚、
肉の消臭、防腐、抗菌作用があり食欲増進に用いられています。
よく聞かれる食用、薬用としている植物でアルカロイドを含むものをあげて
みました。
アカネ科:コーヒーノキ、キャッツクロー、キナ
ケシ科:ケシ、コマクサ、クサノオウ
キンポウゲ科:オウレン、トリカブト
セリ科:ドクニンジン、ドクゼリ
マメ科:クララ(マトリグサ・クサエンジュ)
メギ科:イカリソウ、ナンテン
マオウ科:マオウ
ナス科:ロート(はしりどころ)、たばこ、チョウセンアサガオ、じゃがいも、トマト、
ほうずき、なす、ピーマン、クコ
ミカン科:キハダ
バンレイシ科:ポポウ
ユリ科:犬サフラン、アマドコロ
ヒガンバナ科:ヒガンバナ
アオギリ科:ココア
コカノキ科 :コカ
マチン科:ホミカ(馬銭まちん)
ムラサキ科:コンフリー
キキョウ科:ロベリア
キョウチクトウ科:インドジャボク
コショウ科:胡椒
トウダイグサ科:ヒマ(とうごま:唐胡麻)
などがありました。
歴史的に有名なソクラテスの獄中毒殺では、紀元前399年ドクニンジン(コニ
ン)の絞り汁の一服でした。マオウに含むエフェドリンが1885年に発見され喘息
の特効薬となったことはよく知られているようです。
ケシの未熟果よりでる乳汁を乾燥して得られたアヘンにはモルフィン、ヘロイ
ン、コデイン、ナルコチン、パパベリンなどのアルカロイドを含みモルフィン
(Morphine:モルヒネ)は鎮痛、麻酔、催眠作用があり依存性のきわめて強い麻薬
です。
ケシの開花後、10〜20日経った丸い大きな実の下方のくびれ目が薄黒く着色した
未熟果(芥子坊主)に切り込みを入れるなどして乳液状の物を乾燥させ黒い粘土
状の固形物になります。
これが阿片(あへん)で約10%ほどのモルヒネを含んでいます。 精製の必要がな
く、顕著なきわめて有効な効果があったので古くからその存在が知られていると
ころです。
阿片そのものは今日では他の麻薬に比べ麻薬性は相対的には少ないとされるも
のの過度の服用は幻覚症状などを引き起こし、中毒になります。製薬原料として
広く利用され阿片はモルヒネ、ヘロインの原料となりヘロインは麻薬性が特に
強い成分でありアヘン、モルヒネよりもさらに危険な麻薬として厳しく取り締
まりがおこなわれています。
タバコのニコチン(Nicotine)は興奮作用があり中毒量は1〜4mgで致死量は40〜
60mgです。
コカの樹葉のコカイン(融点98℃)は、麻酔性があり、これを利用した炭酸飲料
は習慣性になりやすく注意が必要です。
有毒性のあるものとして毒セリのシクトキシン、彼岸花のリコリンがあげられ
ます。水溶性アルカロイドのリコリン、ソラニン、トマチン(トマト) は水に晒
(さら)すことによって抜くことができます。
彼岸花はヒガンバナ科、秋の彼岸に咲くことからの呼び名としているようで
す。 全体にアルカロイド(リコリン・セキサニン・ホモリコリン)を含み嘔
吐・下痢を伴い中枢神経をマヒさせます。秋に開花した後に、すぐに葉がでて
冬を迎えます。周りの野草が枯れている時期に光合成をして、球根(鱗茎)に
でんぷんを蓄えています。
救荒作物として鱗茎にでんぷんを貯えていることから水にさらして毒抜きをし
て食用としていました。 江戸時代にサツマイモが導入されて、彼岸花はその食
料としての役目を終え今では食べ物という感覚はありません。
かつては毒を利用して壁土に混ぜ防虫に、田んぼの土手に植えネズミ、もぐら
からの外敵を防いだりしていたことが知られます。外用ですりつぶした球根を
貼って浮腫、肩こりに効果があるといわれています。
チョウセンアサガオ(アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミン)、ハシリド
コロ(アトロピン:融点116℃)には、強いアルカロイドであり麻酔性のある毒素
を持ち有毒植物とされますが、鎮痙(ちんけい)、止血(しけつ)薬としても知ら
れています。モルヒネ(未熟のけしの果皮)、キニーネ(キナ:解熱・抗マラリ
ア)、エフェドリン(マオウ:喘息)、ピペリン(コショウ)、アトロピン(ロート
根、葉、種子)、ストリキニーネ(ホミカの実)、ロベリン(キキョウ科)、レセル
ピン(Reserpineキョウチクトウ科)、ツボキュラリン(マチン属科)、アコニチン
(トリカブト)、リシン(Ricin:ヒマシユ)など数多く存在しています。
以上のようにアルカロイドは、直接食用にできるものから、有毒物質を取り
除いて食用としたものもあります。生理作用が強くそのままでは毒物とされま
すが、微量用いることによって人体に有用な作用をもたらしています。
一般に化学物質は、LD50(半数致死量)の数値によって区分されます。毒性の
程度は経口LD50ラット(mg/kg)で極大<1mg(体重60kgの人で換算して60mg/1日)
大1-50mg 中50-500mg 小500-5,000mg 極小5,000-15,000mg 殆ど異常なし
>15,000mg(体重60kgの人で換算して900g/1日)ぐらいとしています。多くの情報
を得ることによっていざという時のための日常生活に役立つことがあります。
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