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2009/04/18

食生活について語ろう[09/4/18〕85号 鶏卵 

〜☆ようこそ、食生活館へ☆〜
2009年4月18日(土)発行・第85号 
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 ■食生活について語ろう■ご愛読者の皆様にお届けしています。
 今まさに行楽のシーズンを迎えています。陽気に誘われ野山に飛び出したくなるこ
の季節です。
 鶏卵のゆで卵は、昔から、今も変わらずお弁当の定番としてつき物でした。殻に包
まれ傷みにくいということが主に利用されていることのようですね。
国内の自給率が取りざたされている昨今に最も高い自給率を誇っています。鶏卵10個
で二百円前後で購入できる、安くて栄養価の高い卵です。これからも一日1個はとり
たい食品です。

不定期に最近話題の食生活について気になる最新情報をお届けします。
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《テーマいろいろ》
◎鶏卵Hen's egg けいらん
  鶏卵の平成19年(2007年)度自給率95.6%(国内生産量2,599千万トン、輸入量113千
万トン、国内消費仕向量2,712千万トン)と数少ない自給率の高い食品です。年間一人
当たり17.2kg(1日当たり47g:約1個程度)でした。ちなみに年間の一人当たりの推移
は、昭和40(1965):11.3kg、昭和50:13.7kg、昭和60:14.5kg、平成7:17.2kg、平成
12:17.0kg、平成17(2005)16.5kgです。

 鶏は、もともとキジ(雉)の仲間で赤色野鶏(せきしょくやけい)が原種とされ現在
でも東南アジアの熱帯の地域に生息しており紀元前5,000年前後に中国やインドで家禽
(かきん:飼われている鳥類)化され、東西へ広がっていったとされています。

日本へ渡来した年代は明らかにされていませんが、弥生時代の前期に朝鮮半島を経て
来たと思われ、日本神話に鶏がとりいれられていることから、4〜5世紀以前、紀元前
にはすでに飼われていたようです。
平安時代から江戸時代の初期にかけさらに中国大陸や東南アジアから新しい品種が導
入されています。この当時、鶏肉は食用に、鶏卵は薬として利用されていました。

卵の持つ栄養的価値の認識、生活向上により、日本の養鶏は大正末期から昭和初期に
掛けて採卵を目的に急速に発展しています。

 世界では、第二次大戦後に、雌雄(しゆう)の識別ができるようになり肉専用のブロ
イラーがアメリカで始まって採卵、採肉のおのおの専門飼育が行なわれるようになり
ました。アメリカが最も盛んで、採卵鶏の40%が白色卵のレグホーン(White leghorn)
種、他の40%ほども同系統のロックホーン、ロードホーン、ハンプホーンという一代雑
種です。

日本では褐色卵(赤玉)、白色卵との嗜好の違いが見られていましたが、栄養的には大
きな違いはないとされています。羽毛の色とは関係なく品種による違いです。南米チ
リ原産のアロウカナという鶏は、殻が青色の卵を産むといいます。

褐色の色素の主体は、卵管から分泌されたプロトポルフィリンPorphyrinでありこの色
素は、主として卵殻の表面の外層に定着するため、内部の品質や栄養に関係がないと
いえます。
卵黄に付着しやすいブラッドスポット(血斑:2〜5%程度)や卵白中に多い赤褐色のミ
ートスポット(肉斑:白色卵2%・赤玉10%以上)は、一般に、褐色卵に多く認められて
います。

市場に出る卵は、洗卵、透光(とうこう)検査で汚れ、ひび割れなどの不良卵ととも
に、これらを検出し、取り除いています。洗卵で以前新鮮な卵に見られた粘液が付着
し乾燥した卵殻クチクラ(Shell cuticle)層のざらざらした面が取れて近年では新鮮卵
でもツルツルしています。卵殻が褐色であると検出率が悪く、さらに色素のプロトポ
ルフィリンが卵白に沈着することで肉斑となる場合が多くなることが知られていま
す。ただ強度的には褐色卵の殻の破損卵の発生率は低いようです。

現在では世界中に分布し自然界では春に産卵されることが多いのですが、飼育によっ
て最近は、温度、飼養環境を一定にし季節変動が少なくなっています。
雌鶏(めすどり)は、孵化(ふか)後5ヶ月で親鳥となり主に午前中に小さな卵(33g〜72g)
から産み始め、最初は産卵の機能が一定せず弐卵生の卵がこの頃に見られます。

巣から卵を取り出すと卵の数が数個6〜10個とそろう(就巣性)まで産み足す性質(補卵
性)を持っているため、この補卵性が利用され次々に卵を産むようになってしまいま
す。品種改良され採卵鶏が生まれ現在の卵用鶏は年間 300個の産卵を行い約1年間ぐら
い生み続けます。

 保存は、冷蔵で1、2週間(生食)卵の先が細く尖がっているほうを下にするとよく新
鮮卵の鑑別に比重(新鮮1.09)、粘度が測定でき古くなってくると減少してきます。時
間の経過と共に、日数がたって古くなると濃厚な卵白が水溶化、気室(空洞)は、産卵
直後には見られませんが時間の経過と共に冷却、内容物の水分蒸発と共に増大してき
ます。

卵料理で多く発生するサルモネラ菌(充分な加熱によって死滅)食中毒に注意を要しま
す。サルモネラ菌は、全卵中では、60℃3.5分、卵黄中で 61℃3.5分、卵白中5
5℃3.5分で殺菌されますが、砂糖や食塩を加えると菌の耐熱性が増し殺菌温度を上げ
る必要があります。
汚染の経路には、卵の殻の表面にいる菌が保存中に殻の気孔を通して卵の中に侵入し
卵黄に到達する経路と親鳥からの直接感染の経路があります。現在の日本の鶏卵の汚
染は、3,000個に1個くらいと言われ菌が増殖してくるまでの期間と温度関係は、10℃ 
で45日、20℃度で20日程度で産卵以降の低温管理が大切なのです。温度0度、湿度
80〜85%でおよそ3ヶ月間の保存が可能とされています。

 凝固性は、原液で卵白70度、卵黄65〜70度で固いゆで卵は、中心温度が80度以上で
完全に固まります。卵液の凍結は−20〜-30度でおこない貯蔵は-15度で保存され凍結
しても卵白の気泡性、卵黄の乳化力があり利用されています。レモン、砂糖を加える
ことによってさらに気泡性を高めることができます。凍結乾燥法による乾燥卵の利用
もされています。



 卵は栄養価値の高い食品の1つで加工品として家鴨(あひる)の卵の代用で皮蛋(ピー
タン)、燻製卵、温泉卵、半熟卵、マヨネーズ、茶碗蒸、エッグノッグ等が製造されて
います。

消化率は、調理の方法によって異なり、凝固する程度に加熱すると卵白の消化率はよ
くなり、卵黄では生と加熱で消化率に大差ありませんが加熱のほうが低下していま
す。卵黄に含まれるレシチンの乳化作用が働いているのです。

淡白で、手ごろな大きさであることから、酸味、塩、甘味と調和し料理、菓子の原料
として広く利用されています。全卵を用いるほか、卵黄、卵白と味と性質が異なるこ
とから分けても使われています。
全卵は、熱変性、濃度により、茶碗蒸し、卵豆腐、カスタード、たまごとじ、オムレ
ツ、半熟卵、玉子焼き、固ゆで卵は、加熱の仕方によって調理に変化が見られます。
全卵を15分以上ゆでると卵黄が暗緑色に黒変するのは、卵白のたんぱく質の分解によ
り生じた硫化水素と卵黄の鉄イオンと結合し硫化第一鉄になるためにできたもので
す。卵が古くなってきたり、加熱時間が長くなるほどに濃くなります。茹で上がって
後冷水に入れることによって硫化水素ガスを水中に追いやり卵黄の黒変を防ぐ効果が
あるのです。


卵黄の乳化性(マヨネーズ)、卵白の気泡性(マシュマロ)があります。卵白の熱凝固性
は結着剤として畜肉、魚肉の練り製品に広く使われています。

  鶏卵は56〜61%の卵白と、27〜32%の卵黄から構成され、その主成分はたんぱく質
と脂肪であり、そのたんぱく質の組成は卵黄と卵白でまったく性質が異なります。
卵蛋白質のアミノ酸組成は優れ必須アミノ酸の含有量が高く、栄養価の判定の基準に
も用いられます。

鶏卵100g中でエネルギー151kcl、タンパク質12.3g、脂質10.3g、炭水化物0.3g、灰分
1.0g、カルシウム51mg、マグネシウム11mg、リン180mg、鉄1.8mg、亜鉛1.3mg、銅
0.08mg、マンガン0.02mg、ビタミンA150μg、ビタミンD3μg、ビタミンE1.1mg、ビ
タミンK13μg、ビタミンB1:0.06mg、ビタミンB2:0.43mg、ビタミンB6:0.08mg、
ビタミンB12:0.9μg、 葉酸43μg、パントテン酸1.45mg、コレステロール420mgを含
みます。

蛋白質が全卵12.3%、卵白10.5%、卵黄16.5%、脂質が全卵10.3%、卵白Tr(微量含むが最
小記載量に達していない)、卵黄33.5%も含まれ、卵白はたんぱく質を、卵黄はたんぱ
く質と脂質を主成分としそれぞれ特色ある働きを持っているのです。

●卵黄は、胚(受精卵が生物を形成する)の部分で、その成分レシチン(りん脂質)は、
乳化力が強くマヨネーズを作るのに適していますが、またリンの含有量の高いリン蛋
白質(ホスビチン)が多く鉄の吸収を阻害して利用率を低くするといわれます。

酵素の大部分(コリンエステラーゼ、ホスフォターゼ)を卵黄中に含みます。コレステ
ロールの含有量が高いですがそれ以上に栄養価値の高い食品であり健康な人では1日
1、2個摂取が望ましいとしています。卵黄中のタンパク質は、リポビテリン
Lipovitellin(リポタンパク質43〜44%)、リポビテレニンLipovitellenin(リポタンパ
ク質30〜31%)、リベチンLivetin(水溶性タンパク質10%)、ホスビチンPhosvitin(リン
タンパク質14〜15%)を含みます。

卵黄の色素は、カロチノイド(ガン抑制作用があり)に属するルティン、ツェアキサン
チン、少量のカロチンとキサントフィル、リボフラビンでニワトリの体内では合成さ
れずその色素は飼料に由来します。
卵黄に含まれているコリンとビタミンB12とを合わせて取ることにより相乗効果で神経
伝達機能を調節する働きを有し自律神経のバランスを保ち認知症の改善がみられるこ
とがわかっています。
老化によって脳内のアセチルコリンとそれを合成する酵素の働きが弱くなってくると
発症しやすいといいコリンは体内の細胞膜編成をなし肝機能を強化、 アセチルコリン
は脳を活性化、リラックスさせるのに働きます。グルタチオン(グルタミン酸、システ
イン、グリシンより成る)が卵に含まれる蛋白質で肝機能を強化させます。
  


●鶏卵卵白
 卵液中卵白は70%を占め、水分87〜89%とタンパク質10〜11%のから成り、脂質は微量
です。リゾチーム、オボ(たまご)ムコイド、オボアルブミンの微生物の侵入を防ぐ蛋
白質が多く卵黄を守る働きをしています。卵白中の主なタンパク質はオボアルブミン
で、タンパク質の54%を占めます。卵白中のその他の主なタンパク質は、オボトランス
フェリン12%、オボムコイド11%、オボムチン3.5%、ゾチーム3.4%を含み、これらのタ
ンパク質に加えて、様々なタンパク質の存在が明らかにされています。

オボムチン、オボムコイドは、粘稠性(ねんちゅうせい)のある気泡性に富みたんぱく
質の泡ができます。このときにオボアルブミンの薄い膜が空気に触れて泡(あわ)をと
どめています。
リゾチームは、溶菌作用があり卵に抗菌性を与えています。卵白の卵黄を保護するこ
とからのリゾチーム(抗菌作用)を医薬品とし利用されインフルエンザのワクチンが製
造されます。

卵白中のタンパク質は、大部分糖たんぱく質の形で存在し、オボアルブミンOvalbumin
(アルブミン60%、コンアルブミンConalbumin(アルブミン13.8%)、オボムコイド
Ovomucoid(糖タンパク質14.0%)、オボグロブリンOvoglobulin・リゾチームLysozyme
(グロブリン11.7%)、オボムチンOvomucin(糖タンパク質1.1%)、アビジンAvidin(糖タ
ンパク質0.1%)などがあります。

オボアルブミンOvalbumin:アルブミン60%:微量の糖とグルコサミンを含みます。

オボムコイドOvomucoid糖タンパク質14.0%:トリプシンの作用を阻害しますが加熱によ
ってその特性は失われます。

アビジンAvidin糖タンパク質0.1%:ビオチン及びビオシチン(ビオチンを含む化合物)と
結合して不活性化する特性があります。加熱によってその特性を失います。


生卵を大量に摂取するとトリプシン、ビオチンの欠乏を招くこともあり、アナフラキ
シー(即時型食物アレルギー)などの害が及ぶことが考えられます。



 紀元前から飼育され、世界各国で食用とされてきた鶏卵は、栄養的価値の高い食品
として、価格も手ごろで、日本人では一日に一個程度が摂取されています。幼児から
高齢者まで幅広い年齢層に受け入れられ料理に製菓にと応用範囲が広くさまざまに利
用され私たちの食生活に溶け込んでいます。これからも食事バランスを考えながら常
に取り入れていきたい食材です。






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