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2008/10/18

食生活について語ろう[08/10/18〕79号 さつま芋  

〜☆ようこそ、食生活館へ☆〜
2008年10月18日(土)発行・第79号 
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 ■食生活について語ろう■ご愛読者の皆様にお届けしています。
 食欲の秋です。さつま芋は戦中戦後は、食糧難で大変重宝された食べ物であった
ようですが、近年では食の多様かもあって需要は減少傾向です。
近い将来石油に変わるエネルギー資源としてバイオマス燃料(有機物性の作物、廃棄
物)が注目されています。さつまいもも微生物を利用して、サツマイモでん粉からで
きたアルコールを燃料として、さらにデンプンからエンプラ(エンジニアリングプ
ラスチック)の製造の準備が進められているといわれます。
さつま芋が、再度貴重な資源として見直されてきそうです。

不定期に最近話題の食生活について気になる最新情報をお届けします。
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《テーマいろいろ》
◎薩摩芋 Sweet potato さつまいも
 10月はさつま芋の収穫期です。そして10月13日は「さつま芋の日」として川
越市のさつま芋愛好会「川越いも友の会」が、1987年(昭和62年)に「サツマ
イモの日」を宣言しました。よくいわれる十三里にちなんで13日に制定されて
います。十三里半(栗「九里」より「四里」半里おおく、うまい十三里)とは、
さつま芋の異名であり、江戸から十三里離れた埼玉県の川越のさつま芋がたい
そう美味しかったことから生まれたといわれ市の妙善寺にて、芋供養の「いも
の日まつり」が行われています。いい(1)お(0)芋(1)さん(3)でもあるようで
す。
また十三里は、江戸時代の宝永年間(1704年〜1711年)には、当時ふかし芋が主
流だった京都に焼き芋屋が登場し、焼いたさつま芋が栗の味に似ていたことか
ら、その看板には「栗(九里)に近い旨さ」と言うことで『八里半』と書かれ
ました。その後、寛政年間(1789〜1801)に江戸にも焼き芋屋が登場し、やは
りここでも八里半と言う看板が掲げられました。その後、小石川に出来た焼き
芋屋はさらにひねって今日まで言い伝えられている有名な栗(九里)より(四
里)旨いと言うことで十三里と書かれた看板を出して大評判になったという説
があります。
もとをただせば中国の農政全書(1639年)にさつま芋の13の利点があると記載さ
れた「甘薯十三勝」があるので、このことがヒントになって諸説語られている
ともいわれています。

さつま芋の『芋』の語源は、南アジアのインドネシアやフィリピンでヤマイモ
のことを「ウビ」「ウヒ」と言い沖縄では「ウム」といっていたようです。奈
良時代に編集された万葉集(756年)では、サトイモのことを宇毛(ウモ)と呼んで
いたことが記載されています。そして「ウモ」が「イモ」になったという説が
あります。ウム→ウモ→イモと変化していったりではないかと推測されます。 
1705年(宝永2年)に前田利右衛門が琉球から唐芋(からいも)を鹿児島本土で
栽培し広く普及するようになりました。江戸時代から鹿児島県の旧国名「薩
摩」のイモで《さつま芋》と呼ばれる様になったようです。しかし、ご当地の
鹿児島では薩摩イモがやってきた場所の名前を取って「唐イモ」「琉球イモ」
とも呼んでいます。

サツマイモは、
 ヒルガオ科、中央アメリカ、メキシコを原産地とし蔓性で熱帯の多年性(温帯
では一年生)の食物ですでに紀元前3000年ごろより作物化され栽培されていまし
た。ヒルガオ科には、アサガオやヨウサイがあります。ヨーロッパへは1492年
ごろにコロンブスによって伝えられたといいます。その後、ポルトガル人によ
って東南アジアのマレー地域へ、スペイン人によりフィリピンへ伝わり、フィ
リピンから中国に伝わりました。 
1600年代(1615年)に琉球=沖縄(中国から)、長崎(元禄時代にフィリピンから)へ
と伝わっています。カライモ、トウイモ、リュウキュウイモ、アメリカイモ、
甘藷(かんしょ)ともいい栽培は、今日では鹿児島県が生産量日本一で殆どを占
め宮崎県両県でで9割以上、千葉県、茨城県と続いています。

塊根(かいこん)を食用とし、労力が少なくて、栽培面積当たりの収量、エネル
ギー生産が多く、高温や乾燥、台風に強く、また、栄養の少ない土地で気候の
変化にも耐え(寒さには弱い)ます。
江戸時代にこのさつまいもを栽培していた為に、薩摩藩、対馬などでは餓死し
た者がいないとされ、それを聞いた蘭学者青木昆陽がさつまいもの栽培を江戸
町奉行大岡忠相に進言し、そこから幕府に提案され薩摩から関東へ、さらに日
本中でさつまいもが栽培されるようになり、一般庶民が食べる食材になったと
言われています。

青木昆陽(1698-1769)は「蕃薯考:ばんしょこう」という論文にまとめ、これが
享保の大飢きん(1733〜34)の対策に苦慮していた八代将軍・徳川吉宗の目に
とまり吉宗は、昆陽にサツマイモの試作栽培をさせ、享保の大飢饉から3年後の
享保20年(1735年)から、下総国馬加村(千葉市花見川区幕張町)、江戸小石川
の養生園(小石川植物園)、上総国不動堂村(山武郡九十九里町)などで試行
錯誤の末、江戸で初めてのサツマイモの栽培に成功したのです。その後、関東
各地に普及していき1783年の天明の大飢きん、1831年の天保の大飢きんと続い
た飢饉の時にも、多くの人が救われました。

サツマイモは、かえって肥沃(ひよく)な栄養がありすぎる土地では育ちにくい
ことが戦後の混乱期代用食とし多いに用いられて多くの人の貴重な食糧として
活躍しました。
成分は、でん粉質で100g中でエネルギー132kcal、水分が66.1%、タンパク質
1.2%、脂質0.2%、炭水化物31.5%で穀類に比べ水分が多く、輸送、貯蔵に不便で
ある事から干しいもにもされていますが昭和40年以降、食生活の多様化もあり
ピーク時に700万トン以上もの生産量があったものが平成に入って130万トンま
でに激減しています。約半分が青果用に、2割がでんぷん用に、そのほかアル
コール用、食品加工用、飼料などに使われています。さつま芋でん粉の98%は、
水飴の原料としそのままで食用に用いられることはほとんどありません。

5月頃より種芋の植付けが行われ4ヶ月ほどで収穫でき9〜11月に掘り出され旬と
しています。ツルから、開いた花が2輪と蕾が2輪、小ぶりの朝顔のような花が
咲き葉の形は栽培品種で異なり、ハート形から、深く切れ込んだ掌状形まであ
ることが多いようです。花は日本ではめったに開花しにくいといわれています。
茎の節から地中に不定根をおろし、それが肥大していも(塊根)となるのです
。低温には弱く保存は、13〜15℃、湿度85%が必要です。品種によって形は細
長い紡錘形から太い円筒形や球形があり、皮の色は紫、紅、黄白色などで肉の
色は白から黄色にかけてが普通ですが、橙、紅、紫などもあります。

加熱により甘味を増し和洋中華の調理(スイートポテト、きんとん、大学芋)、
菓子(かりんとう、飴煮、パイ)原料とされていますが焼きいも、蒸し芋への
利用が最も多く、焼酎の原料にもされています。
焼きいも(ナルトキントキ)の石焼き芋がよいのは、時間を1時間もかけじっく
りと遠赤外線で甘味を引き出すからとされます。牛乳と共に皮ごと、バター
をつけ食べるとさつま芋のタンパク質と脂質の少ないことからカルシウムも
摂取できバランス的に好ましいようです。食べ過ぎると胸焼けを起こすこと
もありますが、胃液を中和する塩、バター、牛乳を一緒に摂ることで防ぐこ
とができます。

繊維が多くあまり消化は良くありませんが食物繊維2.3g、ヤラピン(白い乳
液)という樹脂配糖体が便通を良くしダイエットに利用されています。ビタミ
ンB1(炭水化物の代謝)0.11mg、ビタミンC(タンパク質の代謝)29mg、ビタミンE
(抗不妊性)1.6mg、黄色の濃いものにはβーカロチン(皮膚、粘膜の保護)23μg
[ビタミンA4μg]/100g中を多く含み微量成分としてアクの成分のクロロゲン酸
(抗酸化作用)、タンニン(殺菌作用)、マンニット(干し芋の白い粉:旨みの成
分)、キサントフィル(黄色の色素:抗酸化作用)、紫芋の紫色(アントシアニン
系色素:抗酸化作用)が分離されています。サツマイモにはガングリオシドとい
うシアル酸を含む糖脂質が含まれています。
       
健康食品としてシモンイモ(カイアポ)が一時期よく用いられていました。
シモンイモ・ カイアポ 
  ヒルガオ科、シモンイモ(ブラジルの大学シモン教授により発見される)と
もいい白甘藷の一種で南米ブラジル(カイアポ山中)原産とする。紀元前より栽
培され「血をきれいにする」とし万能薬として神秘の食べ物とし先住民インデ
ィオの間で秘薬(薬芋)といわれて食用とされてきた。
日本に1973年に導入され主に香川、熊本県の山間部で3月に苗作りが行われ10月
に一株3〜5kgほどのものが収穫される。最近カイアポの皮に近い部分に多い成
分CAF「酸可溶性糖蛋白」といわれるものが血糖値を抑える働きが他のいも類に
比較して5〜20倍高いことが調べられた。乾燥物100g中水分1.4g(さつま芋水分
66.1g:1/47.2として計算する)、エネルギー341kcal、タンパク質5.2g、脂質
0.8g、炭水化物78.3g、ビタミンC41mg、食物繊維11.0g含まれ、またビタミンK
(血液凝固作用)を含み止血の芋ともいわれる。このことから、粉末、お茶とし
たものが健康食品とし注目される。

サツマイモには、また多くの有効成分が含まれています。
ビタミンB1・ビタミンC・ビタミンE(抗不妊性)、黄色の濃いものにはβーカロ
チン微量成分としてアクの成分のクロロゲン酸、タンニン、マンニット(白い
粉)、キサントフィル(黄色の色素)、紫芋の紫色(アントシアニン系色素)が分離
されます。サツマイモにはヤラピン、ガングリオシドという糖脂質が含まれて
います。 
さつま芋にある特徴的な成分について少し記載してみました。
マンニット まんにっと
  褐藻類(干し真昆布25%・干しわかめ10%含まれており、野菜、果物、きのこ
(干し椎茸8%)にも含まれる。マンナ樹皮の主成分とし見出される。乾燥させた
昆布、干し柿の白い粉が吹き出ている成分をマンニットといいマンニトールと
もいう。針、粒状をしており水溶性であるが吸湿性はないマンノースを還元し
て得られ糖アルコールとし存在する。蔗糖から合成もされソルビット(無色無臭
の甘味(蔗糖の60%)のある粉末で吸湿性がある)とともに得られる。吸湿性がな
いので飴、チューインガムの粘着防止剤として使われている。


キサントフィルXanthophyll きさんとふぃる
  カロチノイド(カロチン類、キサントフィル類)の一種であり脂溶性、熱に
比較的安定、空気中で酸化を受けやすいが色は比較的安定している。アルコー
ル類(クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、ルティン)、ケトン類(カプサンチ
ン、フコキサンチン)など多くの種類がある。キサントフィルはビタミンAとし
ての効力はない。ビタミンA効力(プロビタミンA)をもつのはクリプトキサンチ
ンで柑橘類、トウモロコシの果皮に多く含む。
キサントフィルには黄色の色素(卵黄、さつま芋、黄色のトウモロコシ、黄色の
ピーマン、緑葉:脂肪を黄色くする)が多く、赤色の色素(唐辛子、カプサンチ
ン)などもある。光合成の補助酵素として働きクロロフイル(葉緑素)が分解し
黄色くなるのは、カロチノイド色素であるキサントフィルによるものとされ
る。
強い抗酸化作用があり活性酸素除去、身体の酸化、脂質が酸化するのを防ぐ。


ヤラピン やらぴん
  さつま芋の芋、茎を切るとしみでてくる皮の近くに多く含む乳白色の粘質
性の液体で空気に触れると黒くなる。さつま芋を鉄鍋に入れて煮沸して湯あ
か、ボイラーの缶石(スケール)を取り除いたりでき清缶作用があるとし利用さ
れてきた。これは、分解してできるヤラピノール酸による石灰塩、マグネシウ
ム塩の沈殿防止作用を持つことによる。
水に不溶でエーテルに溶ける糖脂質とし存在する。緩下剤(かんげざい)として
便秘、肩こりも利用されてきた。糖化酵素、酵母、乳酸菌に対して抑制作用を
持つ。


ガングリオシドGanglioside がんぐりおしど
  さつまいもや母乳、野菜や果物、動物の細胞などに含まれている成分で、
糖質と脂質が結合してできた複合脂質であり、糖脂質のひとつとして存在す
る。シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の一種でganglion(神経節)にちなんで
命名され現在40種類以上が発見されている。哺乳類の組織では特に脳や神経組
織に多く存在し生体内で他の細胞との情報伝達に用いられている。

植物細胞では個々の細胞膜に組み込まれ細胞の司令塔の様な働きをする。 細胞
の分裂増殖や細胞分化、代謝などあらゆる細胞の調節をしていると考えられ
る。サツマイモに含まれるガングリオシドにガンを抑制することが調べられて
いる。


  現在主に利用されているエネルギー源は、石油(BP統計2005より埋蔵量約40
年)、天然ガス(同65年)、最近までは石炭(同165年)などの化石燃料が大部分を
占めていました。近い将来石油に変わるエネルギー・プラスチック材料の資源
としてバイオマス燃料(有機物性の作物、廃棄物)が注目されています。さつま
いも、トウモロコシ、大豆などの植物資源から微生物を利用して、発酵させ
る、稲わらなどの食べられない部分セルロースからバイオエタノールを製造す
る技術などが開発されています。サツマイモでん粉からできたアルコールを燃
料として、さらにデンプンからエンプラ(エンジニアリングプラスチック)の
製造の準備が進められているといわれます。

遺伝子組み換えを使ったトウモロコシやサトウキビなどが原料として高値で取
引され遺伝子組み換えのトウモロコシなどへの転作が増え、その結果食料とな
る農作物全般の価格が上昇するという問題がおきています。

 最近では、食材の価格の高騰が伝えられています。サツマイモは、戦後の食
糧危機を救ってくれました。さつま芋の良さをここで再度見直して食卓に取り
入れるようにしたら、家計の負担を少しでも減らせることに貢献できるのでは
ないでしょうか。




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