猫のおきて  RSSを登録する

猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。など、なぜだか猫が行う「猫のおきて」の数々をつぶさに検証。飼い猫「ち」の思わず笑える日常ものぞいていただけます。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/11/04

猫のおきてVol.195「晩秋の追分で“目呂猫”に会う」

 猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。などなど、
どういうわけでだか猫たちが決まってする行動の数々。このメールマガジンでは、そ
んな愛らしくも不可解な行動、習性を「猫のおきて」と呼び、それにまつわるあれや
これやについて大まぢめかつ勝手気ままに考察してまいります。筆者の飼い猫、黒猫
の「ち」や、通い猫の「ヘディ猫」の日常を、覗いていただけます。

 11月の声を聞き寒さも本格化しましたが、皆様の周囲の猫たちは、丸まっています
か? そんな寒さの中、当方は信州へ行ってきました。目的はもちろん、「猫」。今回
もどうぞお付き合いください。

======================================
 猫のおきて  番外 Vol.195

              晩秋の追分で“目呂猫”に会う
======================================

 信濃追分に、河村目呂二の猫作品を見に行ってきた。

 河村目呂二は、大正時代から昭和初期にかけて活躍した芸術家。彫刻、装丁、デザ
インなどに幅広く活躍したマルチ・アーティストで、無類の猫好きであった。そんな
わけで猫をモチーフとした作品も多く、魅力的な“目呂猫”が残されている。
 東京で創作活動を続けていた目呂二は、第二次大戦の折に信濃追分に疎開する。そ
してこの地を愛し、「木通庵」と名付けた草庵を結び、戦後もそのまま定住。1959年に
亡くなるまで、この地で暮らしたという。
 木通庵には、目呂二の没後も多くの作品が大切に保管されていて、その中から今回、
猫をモチーフとする作品が、古書店「追分コロニー」内に展示されることになった。
目呂二没後、初めての本格的な猫作品展だという。
 もうこれは、見に行くしかないでしょう! と、この情報を知って一人握り拳に力
を入れた私は、勇んで晩秋の追分に向かったのである。

 訪れたのは、日本列島全体が前夜から寒気におおわれ、めっきり寒くなった11月2
日。追分は鮮やかな紅葉に彩られ、前夜の雨にしっとりと湿った山の気に満ちていた。
 追分コロニーは、文学者に愛されたことで名高い油屋旅館の隣。「ふるほん」の暖簾
がはためいているのですぐわかる。扉を開けてまず感じたのは、古書の香より強く漂
う木の香。靴を脱いで上がる店内は、白木が多用されて明るい。古書の詰まった書棚
や机、ちょっと腰掛けられる椅子が、いい雰囲気に並んでいる。
 興味をそそられる古書の背表紙を横目で見ながら、店の奥、作品が展示されている
特設ギャラリーへ。そこには、絵画に彫刻、招き猫…… 表現技法もタッチも多彩な
“目呂猫”が何匹も待っていた!
 それぞれの作品の魅力を挙げればきりがないし、私などの文章で却ってその魅力を
損なっては、と憚るので、詳述は避ける。ぜひご自分の目でご覧になられんことを。

 ただ、ひとつだけ述べると、私は何しろ目呂二の俳画にしびれた。
 目呂二は、荻原井泉水に師事して自由律俳句を詠み、今回も自画賛の俳画が何点も
展示されていたが、これが、いいんである!
 自由で柔軟な線は、画家の呼吸をそのまま映すかのような緩急を持ち、さらりと描
いて猫の本質を紙の上に表す。同じくさらりと書かれた句が、また実にいい。
 今回の展示では、「自分のお気に入りの猫を投票して下さい」というアンケートが行
われていたが、私が投票したのは、そんな俳画作品の一つであった。
 横長の紙に「ないままに待ち 炉の火 山のもの 塩出ししてある」という句が書
かれ、画面の下のほうに、目を閉じて物憂げにうずくまる猫の姿が描かれた軸である。
 一見、「何のことやら」という句だ。
 しかししばらくすると、じんわりと、詠まれた世界が浮かび上がってくる。
 夕刻、あの人が来るのではないかと待ちながら、炉の火をおこす。「山のもの」とい
うのは、塩漬けの山菜か茸か、それも塩出しして、肴の支度もしてあるのに、まだ訪
れはない……、という光景だ。
 一方、画には猫がいるだけで、句の意味を説明するような描写はないが、この猫、
何となく退屈そうである。もしや句の中の人の飼い猫で、飼い主の気持ちを映して、
人待ち顔になっているのかもしれない。「猫は人の気持ちを敏感に感じ取るものであ
る」という、猫のもつ性質を知る者なればこその表現である。
 句の世界と画の世界がつかず離れず、異なるものを表現しているようでいながら少
しずつ重なり合い、互いに響き合うことで深みや広がりを増幅するのが俳画の魅力だ
が、目呂二のこの作品は、まさにその手本である。

 ああいいものを見せてもらった、と気づけばもうそろそろ追分を発たねばならない
時刻。猫的な古書もたっぷりあったのに、そちらには手も触れずに「追分コロニー」
を後にしたのである。
 次回はできれば、外歩きする猫に会うような気候のころに、もっと時間をとって訪
れたいと思う。その頃に目呂猫展第2弾、開かれるといいなあ、と思う。

========================================

●良かったですよぉ~ 目呂二の猫。今号のタイトル、「目呂猫にめろめろ」にしよう
かと思ったほどです。でも、ちょっとあんまりなので、それはやめましたけれども。

●目呂二の追分猫日和 http://www.semino-design.com/e99.html
会期:2009年10月29日(木)~11月8日(日) ※11月4日(水)は休館
12:00~17:00(最終日は16:00まで)
会場:古書 追分コロニー http://www11.plala.or.jp/colony/
〒389-0115長野県北佐久郡軽井沢町追分612 (堀辰雄文学記念館 斜め前)

●今回の監修・構成を手掛けた「セミーノデザイン」サイト内に、目呂二作品の詳細
なご紹介があり、作品画像もたっぷり。そちらもとっても面白いです♪
「河村目呂二ライブラリィ」http://www.semino-design.com/e70.html

●ブログ「猫のおきて」で、盛りだった紅葉の画像や、追分の他のことも載せていま
すので、どうぞご覧下さいませ。
http://nekono-okite.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-1f1b.html

●芸術の秋、手芸の秋ということで、猫毛フェルトワークショップ、あれこれ開催で
す。ご興味おありの皆様、ぜひおいで下さいませ。
○11月14日(土) 10:30~12:30  コミュニティクラブたまがわ
丸型携帯ストラップを作ります。連続講座の2回目ですが、途中参加も可能です。
http://nekoke.com/Entry/149/
○11月14日(土) 14時30分~16時00分・16時15分~17時45分 目黒
赤いフェルト製のサンタの靴に入った猫毛プチ人形を作ります。
http://nekoke.com/Entry/176/
○11月23日(月・祝) 13:00~15:00 エコールプランタン銀座
羊毛フェルトのバッグに、猫毛フェルトで模様をつけます。
http://nekoke.com/Entry/177/

●さて、次回は猫毛フェルトアンケートの結果ご報告です。たぶん。
 その他のテーマへのリクエストもどうぞ。ご感想なども、ぜひお送りください。

======================================
「猫のおきて」(Vol.195)2009年11月4日発行(本来は、ほぼ2の日発行)

【著者・発行者】蔦谷耕書堂 あるいは 蔦谷K
【E-MAIL】 bon-neko@mbi.nifty.com
【ブログ「猫のおきて」】http://nekono-okite.cocolog-nifty.com/
【ブログ「猫毛フェルトの部屋】http://nekoke.com
【ネットショップ「猫毛フェルトのお店】http://tsutayak.cart.fc2.com/
【@nifty「子猫の町蔵日記」】http://golog.nifty.com/feature/koneko/index.htm
【サイト「盆猫」】 http://homepage2.nifty.com/bon-neko/

【配信システム】購読申込、購読解除、バックナンバー閲覧は下記にて。
melma! http://www.melma.com/mag/84/m00052884/
( melma!の購読解除 http://www.melma.com/taikai/)
カプライト  http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/5925.html
まぐまぐ   http://www.mag2.com/m/0000096408.htm
(まぐまぐの購読解除) http://www.mag2.com/m/0000096408.htm 

【解除ならびに配信停止について】ご利用の配信システムの手順に従い、ご自分でお
手続き願います。(上記に「購読解除」記載のないシステムは記載してあるURLで解
除手続きできます)
※このメールへの返信や発行者宛メールで解除依頼をなさっても、配信停止はシステ
ム上できませんのでご注意下さい。
======================================
■誤字、脱字、文字化け、不具合、御不明点がありましたらご連絡いただければ幸い
です。
■いただいたコメントなどは、記入者にお断りなく、ブログ上及び他の媒体でご紹介
する場合があります。予めご了承ください。
■「猫のおきて」に掲載されている内容は、ご家族、ご友人などまわりの皆さんにど
んどんお広め下さい。その場合「『猫のおきて』で読んだんだけどさ」と言っていただ
けると嬉しいです。転載などなさる場合もお知らせいただけると嬉しいです。
<記事内容の全ての著作権は著者・蔦谷耕書堂に帰属します>
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る