猫のおきて RSSを登録する

猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。など、なぜだか猫が行う「猫のおきて」の数々をつぶさに検証。飼い猫「ち」の思わず笑える日常ものぞいていただけます。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2007/11/12

猫のおきてVol.177番外「猫靴下の思い出」

この記事を取り寄せる

 猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。などなど、どう
いうわけでだか猫たちが決まってする行動の数々。このメールマガジンでは、そんな愛ら
しくも不可解な行動、習性を「猫のおきて」と呼び、それにまつわるあれやこれやについ
て大まぢめかつ勝手気ままに考察してまいります。筆者の飼い猫、黒猫の「ち」や、通い
猫の「ヘディ猫」の日常を、覗いていただけます。

 1か月ぶりの配信となりました。そしてこのところ活動のお知らせが続いた「猫のおき
て」、今回は久しぶりに読み物です。筆者馨歩の子供がころ共に過ごした猫の思い出もま
じえて綴ります。

========================================
 猫のおきて 177号

         番外 猫靴下の思い出

========================================

 暦の上では立冬、冬の訪れである。そして私にとっての冬の訪れは足からやってくる。
冬になると唐辛子エキスや遠赤外線など暖め効果のある靴下と、裏起毛の部屋ばきをはき、
足指のマッサージで血行を促進。それで秋冬の「冷や足」の季節を乗り切っているのだ。
 そんな時期になると、ふと蘇る猫との思い出がある。今回はそのことを書こうと思う。

 ごく幼いころから、私の家には猫がいた。物心ついたら既に周りに猫がいた感じなのだ
が、記憶に残る最初の猫は「プミー」、別名「おかあ猫」である。別名からわかる通り、
彼女はうちに来て何度か子猫を生み、その子猫らのうち2匹も当家で暮らした。
 このおかあ猫は相当な烈女であった。巧みな鼠獲りで有能さをアピールし、気まぐれに
人間の膝でごろごろ言ってみせるような「人たらし」も心得ていて、まさしく猫らしい猫、
というか、私の中の「猫」の概念は、彼女の圧倒的な影響のもとに形作られたと言える。
 猫らしい猫であるから、当然子供は好きじゃない。私は彼女と同い年か、もしかすると
1歳くらいは年下かもしれなかった(大人になってからうちに入って来た猫なので正確な
年齢はわからない)ので、今思えば鼻も引っ掛けられていなかったに違いない。
 しかし彼女は気が向かないながらも、撫でられるくらいは我慢してくれたので、幼い私
は彼女の丸い背や顎の下を撫で、猫の柔らかさや毛並みのなめらかさに触れつつ、成長し
たのであった。

 10歳頃、私は既に冬は厚手のタイツと毛糸の靴下が欠かせなくなっていた。その頃お
かあ猫は推定60〜70歳。それが子供の私には、とても年寄りに感じられた。自分が足を
冷やす冬、まして猫は暖かいのが好きだから、「おばあさんのおかあはもっとつらいに違
いない」と思った。そしておかあ猫のために、靴下を編むことを思いついたのだ。
 まだ棒針編みはできなかったのでかぎ針編みで、靴下よりは室内履きという感じである。
まだ10歳だからかぎ針だって上手ではない。それが、猫の靴下などという、編み物の本
にも載っていないようなものをオリジナルで編もうというのも、今思えば無謀な話である。
 しかし我ながら実にいいアイデアだとやる気になっていたので、まず鎖編みを何センチ
か編んで、それをおかあ猫の足に巻いて周囲の長さを合わせ、そこを足首にして下に編み
進み、苦労しながらも、どうにかそれらしい形になるところまで編みきったのである。

 小さな長靴のような形が一つ編み上がったときは嬉しくて、おかあはどんなに喜ぶだろ
うと思った。四つ全部そろえて履かせたいが、まずはサイズが合っているかどうか確かめ
なければ。そう思って、おかあに靴下を履かせようとしたら、これが大騒ぎであった。
 まず、後足を持ち上げようとすると、後肢を蹴るように跳ねて私の手を逃れ、靴下に触
れさせることすらできない。そこで、私が靴下を編んでいたときから、面白白がって見て
いた姉がおかあを捕まえていてくれて、二人がかりでようやく履かせることができた。
 しかし履かせた途端、おかあは後肢を振り回し、口で噛んでひっぱり、靴下を脱ぎ飛ば
して、部屋を出て行ってしまった。
 私は努力が無になってがっかりしたより、おかあのために残念だった。「鬱陶しいのを
我慢して試してみれば、そのうちあったかいってわかるのに。冷たくなくてすむのに」と。
 今では、それがただ鬱陶しいだけではなく、猫にとっては足の裏も鋭敏な感覚器官だか
ら、それを覆われるなどというのに我慢ならないのはわかる。当時は思い至らなかったが、
幅の細い塀の上だって歩けなくだろうし、階段だって滑って転げ落ちるかもしれない。

 しかし、このことは、私のその後の猫との付き合い方を決定付ける体験となった。
 こちらが良かれと思ってもおかあにとってはいらぬ世話なのだ、とわかったからである。
冷たいのと鬱陶しいのとどちらが嫌なのかといえば、私は冷たいのが嫌だが、おかあは鬱
陶しいほうが嫌なのだと思った。要するに、我と彼の間には価値観の違いというものがあ
り、価値観の押し付けは迷惑千万なのだと知ったのだ。
 これは図らずも、動物行動学者マリアン・S・ドーキンズの言っていることと同じであ
るのを、長じてから知った。即ち、「どんな動物もその動物固有の快・不快軸による分岐
をもっている可能性があり、私たちの軸とかなり違うものもあるだろう」(青土社刊『動
物たちの心の世界』より)ということなのである。

 そんなわけで、私の猫に対するスタンスは、「愛しても、押し付けない」である。
 押し付けないと言っても、飼い猫に対して果たすべき責任はもちろんある。例えば、獣
医に連れて行くのはストレスになるから、それを押し付けないようにしよう、というので
は無責任である。首輪を嫌がっても、迷子札をつける必要があったら押し付けになっても
我慢させるだろう。
 判断が難しい局面もあるし、人と猫は所詮種が違うから、わからないことも多い。だか
らこれからも、ときどき猫に「これでいいのか?」と聞きながら――聞いたって答えない
ことを知りつつ――付き合っていくのだと思う。

*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

●久々に、猫についての「ああでもないこうでもない話」でした。思えばそれは、こうい
う小さい頃に端を発していたのだと、書いてみて再認識しました。うーむ。
ちなみに、靴下をはいたような柄の猫もラヴリーですよね〜。

●引き続き、ブログ上で猫句会開催中。「11月の猫句会」にぜひご投句を。
http://plaza.rakuten.co.jp/nekonookite/diary/200711040000/

●今回アンケートはお休みです。コメント、ご感想は「猫のおきて」ブログへぜひどうぞ。
http://plaza.rakuten.co.jp/nekonookite/

========================================
「猫のおきて」(177号)2007年11月12日発行(ほぼ、2の日発行)

【著者・発行者】 馨歩【E-MAIL】 bon-neko@mbi.nifty.com
【サイト「盆猫」】 http://homepage2.nifty.com/bon-neko/
【ブログ「猫のおきて」】http://plaza.rakuten.co.jp/nekonookite/
【配信システム】購読申込、購読解除、バックナンバー閲覧は下記にて。
melma! http://www.melma.com/mag/84/m00052884/
( melma!の購読解除 http://www.melma.com/taikai/
カプライト  http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/5925.html
まぐまぐ   http://www.mag2.com/m/0000096408.htm
(まぐまぐの購読解除) http://www.mag2.com/m/0000096408.htm 
【解除ならびに配信停止について】ご利用の配信システムの手順に従い、ご自分でお手続
き願います。(上記に「購読解除」記載のないシステムは記載してあるURLで解除手続
きできます)※このメールへの返信や発行者宛メールで解除依頼をなさっても、配信停止
はシステム上できませんのでご注意下さい。また、そのメールへの返信も致しませんので
ご了承下さい。
========================================
■誤字、脱字、文字化け、不具合、御不明点がありましたらご連絡いただければ幸いです。
■「猫のおきて」に掲載されている内容は、ご家族、ご友人などまわりの皆さんにどんど
んお広め下さい。その場合「『猫のおきて』で読んだんだけどさ」と言っていただけると
嬉しいです。転載などなさる場合もお知らせいただけると嬉しいです。
―――――――記事内容の全ての著作権は著者・馨歩に帰属します―――――

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る