2008/03/17
ぷろこんエッセイ 第150号 もっともっと、すっきりと仕事をするために。
■□■■■■■■□■□■□ ぷろこんエッセイ ■□■□■□■■■■■□■ 現役コンサルタントによるワイルド・コンサルティング・エッセイ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 第150号 もっともっと、すっきりと仕事をするために。 ---------------------------------------------------------------------- 寝覚めが良い企画書、というものがある。 “目覚め”ではなく“寝覚め”である。夜寝る前に書き終えて、翌朝「よし、この 企画書ならいいだろう」と自画自賛できる。「あ、そうだ。あと一ページ、○○の 項目を書けば、もっとすっきりキマる」という気づきがお日さまと共に立ち上がる。 ちょいと手を入れて完了、提出。果報は寝て待て。 つい先日書いた提案書がそれだった。作成するまでに時間も短ければ、実際 の発注主と事前に打ち合わせもできず、共同提案するIT会社の担当者とちょこ っと情報をシェアしただけだ。それにもかかわらず、すっきりと書き上げられた。 もちろん「すっきり感」は自画自賛である。それを読んだ同僚や営業担当は すっきりしていないかもしれない。すっきりし過ぎてひっかかりがないと言う かもしれない。そもそもお客さまが、それですっきりするかどうかまだこれから なのだ。それでも「すっきり書ける」のが受注への第一歩になるのは、おそらく 読者のみなさんも経験しているにちがいない。 今回のすっきり感、3つの理由がある。まず企画書として構成がきちんと できた(実際には元請けIT企業の企画書の一部なので“企画メモ”である)。 お客さまの課題からスタートして、到達点/ゴールを示し、その構築プロセスと 検証プロセスのスケジュールを明示し、仮説としてマーケティング強化の コンテンツ案も盛りだくさんに書き込んで、コンサルタントへの発注メリットで 締めくくった。もちろんデメリットはあるがあえて書かない(笑)。 二つ目はサポーターの存在である。企画書はひとりでは書けないものだ。 特にわたしのように言語明瞭・意味不明瞭の文章の書き手は、ちゃんと第三者 の目を通すことを励行している。今回も相棒のCherryさんに相談した。花粉の ごとく飛散する発想をまたしても正してくれた。コンテンツのアイデアもたくさん いただいた。加えて元請けのIT会社の方々との会話もいつになくスムーズで、 的確な事前資料をいただいたし。 三つ目は、テーマがマーケティングであったこと。クライアント企業とその お客さまとの真ん中にある関心テーマからスタートして、ウェブサイトのありかた や販売促進施策のアイデア、全体を情報化支援する・・・わたし自身、関心が もてるテーマだった。わたしにリスクマネジメント手法や内部統制の仕事を 持ちこまれても、ただ途方に暮れるだけなのである。人には得手不得手があ るのに、それに目をつむるとロクなことはない。 こうしてみると、企画書とは、実は散らばった情報や人を素直にまとめるだけ なのだ。テーマにまっすぐ素直になれるかどうか、それですっきり感が決まる。 もちろん、すっきりする=受注とは限らない。受失注には人知を越えたさまざま な作用・反作用があり、運不運が憑きものだから。果報は寝覚めして、待て なのである。 +++++++++++++++++++++ 寝覚めがすっきりしないこともある。何度書いても通じない企画書。これも 最近のことだ。 作成したものは、コンサル業界にはよくある“クィック診断”のようなもので、 「お客さまの関心テーマと自社の商品やサービスのギャップを見いだす」 「衰退する既存事業から新事業・新市場への道のりをつくり、アイデアを出す」 「ウエブなどの広報や顧客コミュニケーションにおける情報化診断」などの メニューとした。 だがこの診断提案に対しては「アウトプットが見えない」と言われた。たぶん いわゆる企業診断書の項目がない、のがその理由だろう。わたしの診断メニ ューだと「やってみないとわからない」内容なのだ。貴社は70点とか60点とか そういうアウトプットがあるとは書いていない。 診断対象企業の業種・業態と置かれた環境変化、そしてお客さま・商品・ 売り方・・・などによって、アウトプットは都度変わる。だからそこはボヤかした わけではなく、むしろ誠意を見せているつもりなのだ。 思えば、いわゆる中小企業診断のような「商品何とか率」や「資産何とか率」 といった形式的なアウトプットの無為さと戦ってきた。今どきのウェブサイトの PV数や広告販促のアクセス数やクリックスルー数も意味を感じない。ベンチ マークポイントとして知っておくのはたいせつだが、それはコンサルタントの 仕事というより、管理職の仕事だからだ。 コンサルタントが雇われるのは、ベンチマークポイントの枠組みをどうつくる か、どうしたらそこに到達できるか、その取り組み(切り口や組織)とコンテンツ (商品や施策のアイデア)を求めるからだと思う。 この診断メニューも書き上げたときは気持ちよかった。すっきりした。だから 通じなくても気持ちは救われている。通じなかったゆえの負け惜しみもなきに しもあらずだが。まぁコンサルの仕事とは、こういうことの繰り返し。凹凸は つきもの。それはわかっている。だが、そういう意識を退治しきれないもどかし さもある。 すっきりしない仕事が増えてきて、いっこうに減る気配がない。日本経済、 いま崖っぷちなのに・・・そこに向き合おうとしていない。 +++++++++++++++++++++ すっきりと仕事をするために書いてきたこのエッセイだが、すっきりしない とき、何がまずかったか、何を間違ったか、振り返り反省するためにも書いて きた。コンサルタントの仕事に自分が適性があるのか、いつも疑問に思って きた。正直に書けたこともあるし、遠回しに書いたこともある。きっとウンウンと 頷いてもらえたときもあっただろうし、ワケわからんと思われたことも多かった でしょう。 「コンサルってのはな郷、その仕事のプロであるお客さまに気持ちよく働い てもらう“器”をつくることだ」 先輩Aは言った。 「郷さん、それってコンサルだろうか?」 先輩Bは言った。“それ”とは、 ある部門だけの改善支援。もっと経営全体を見渡して事業の再構築を図ら ないととダメでしょう?というのが彼の問いかけだった。 ドンキホーテのようにこのエッセイを書いてきた原動力は、どうしたらこの 先輩諸氏の域に達することができるのか?という想いであり願いだった。 まだその域には長い道程ありだと感じている。やり足りないし書き足りない。 だから、もっとすっきりと仕事するために、一度ネジを巻きなおそうと考えて いる。もっと研ぎ澄まされた現場感覚をもちたいと思う。ある男に「コンサル タントとは?」と問いかけると、答えは「爆発だ!」と返されました(笑)。爆発 力をもって、もっともっとワイルドにこの仕事をしたい。 巻きなおしの対象その1はこのエッセイ。ちょうど150回目、数だけきりよい のですが、ここで休刊とさせてもらいます。ご購読ありがとうございました。 わたしの拙文を読んで、「コンサルタント、やってみようかな」と思われた人 がいるのか「やめておこう」という人が増えたかわからないけれど、この職業 のありようの問題提起に、少しでもなったのであれば幸いです。 今回を最終巻、再来週3月31日にまき直しのメルマガ(もしくは別の何か)の 連絡をいたします。それが最終号になります。あと一回、お付きあいをお願い いたします。ほんとうに長い間のご支援、ありがとうございました。 郷 好文 2008年3月17日発行 【ブログ マーケティング・ブレイン】 http://marketing-brain.cocolog-nifty.com/ 【Business Media 誠 “うふふ”マーケティング】 毎週木曜掲載 http://bizmakoto.jp/ 【新著『顧客視点の成長シナリオ』 経営を考える秋の夜長に!】 http://www.firstpress.co.jp/ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 発行者 郷 好文 連絡先 gowild@gol.com ----------------------------------------------------------------------


