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2008/01/21

ぷろこんエッセイ 第146号“一回性”という成長の原動力

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現役コンサルタントによるワイルド・コンサルティング・エッセイ
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第146号 “一回性”という成長の原動力
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 その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること。これを「一回性」と
 いいます。脳には、いつ、どこで訪れるか分からない一回性の体験を、
 大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕たち
 の人生を豊かにつくっていくのです。
 引用元 『脳を活かす勉強法』 PHP出版 茂木健一郎著

           ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 成長の原動力とはなんだろうか?

 やりたいという気持ち、その環境に自分をおくこと、継続すること、きっかけ
をチャンスにし、やがて飛び立つ。そんな成長のシナリオを思いうかべれば
「気持ち」「環境」「継続」「きっかけ」「飛び立つ」・・という成長の各段階の
"シーン”があるはず。ポジティブなシーンだけでなく、「挫折」とか「意地」と
いった苦しいシーンも、きっといくつも散りばめられている。

 たとえば、わたしはこうして文章を書き続けています。1年以上前、ブログを
書き始めたきっかけは他愛ないものでした。マーケティングのことをもっと考
えようと思ったときブログという表現を思いつき、同僚のCherryさんに言いまし
た。ちょうどカフェでサボってお茶の飲んでいるときでした。「ボク、ブログを
書こうと思っているんだ」 そのときのシーンはまざまざと覚えています。
Cherryさんが「いいんじゃないですか」と言ったところでそのシーンは終わって
います。

 それが「気持ち」のシーンだとして、「環境」のシーンはブログのテンプレート
に初めてふれて、自分を表現するサイトをつくった場面でしょう。ブログの「継
続」には数多の苦難(おおげさですが)はありました。体調が悪い日、電波が
飛ばないエリアに入るギリギリ10分前のアップ、酸っぱい匂いの安いビジネス
ホテルでのネットワーク設定の苦労・・・いろんなシーンがあります。ウェブ
ポータル・サイトの編集長からメールをいただいて「ウェブサイトに文章を書き
ませんか」というのも「きっかけ」のシーンになりました。

 まだ成長もしていないし、身のまわりを見回してももっとご苦労されている
人はたくさんいるのでおこがましいことを書きました。むしろ読者の心にきっと
多くのシーンがあるはずです。それにおきかえて考えてみてください。

 こうしたシーンは静止画像というよりも場面記憶のフラッシュみたいなもの。
達成した歓喜のシーンもあれば、何気ないけれど引っかかるシーンもある。
何度思いだしても心を削られる残酷なシーンもあるでしょう。

 人間はそうしたシーンの積み重ねで成長するのではないだろうか。シーンが
成長の原動力なのではないか。そんなことを常々考えていました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 なぜそのシーンが心に残っていて、なぜ繰り返し表れるのか、どうして自分
にそこまで干渉してくるのかわからなかったのですが脳科学者の茂木健一郎
さんの著書の中で“一回性”というキーワードに出会って、ヒザを打ちました。

 一回こっきりのあのシーンが、なぜか心の中で反すうされ、自分の活動の
養分になってくれる。一回きりの出来事に脳は普遍性を求めて、それを血と
してまた知として整理する、そこから行動が生まれる、というのが茂木さん
の著書『脳を活かす勉強法』の中の“一回性”のくだりにある主張です。 

 あるとき一回しか経験できない決定的な経験をする。それがその後の人生
に影響を与える。二度繰り返せないし、一回こっきりだからこそ、脳に深くそ
の体験がきざみこまれる。きざみこまれた体験を自分なりに反すうして、深め
ていく。それに執着するからこそ自分を高めていける。脳は体験を整理して、
に創造させる勇気をあたえてくれる。

 一回性というとポツン、ポツンとコマ切れのシーンがバラバラにあるような感じが
します。でも脳がまったくバラバラのシーンばかり収集してないはずです。ある
起点になった「気持ち」に響くシーンを取捨選択し、収集して整理してくれるのだと
思います。

 それがパッチワークのようにバラバラな色合いなか、ハメ合わせるジグソー
パズルのように整然としているかは、成長のテーマやその人の性格にもよる
のでしょう。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 この考えかたはすばらしいアプローチですが、「一回しか経験できない決定
的な経験」とはかなり個人的なものです。グループ活動や組織活動の中で
活かせるのか?そんな疑問もあります。

 コンサルタントという仕事から考えてみましょう。クライアントの多くは情報を
共有するとか、成果を共有するとか、情報共有システムへの入力に非常に
抵抗します。その理由を今までわたしは、クライアントの社員が「面倒だから」
「同僚からも上司からもフィードバックもなく入力のモチベーションがあがらな
いから」「わからんちんに伝えても益なし!」といった思いからだと考えていました。

 それはそれで正しいのですが、まだ理由の一部なのでしょう。茂木さんの主張
をもう一度書きます。

 「脳は一回性の体験をきざみこむのをよろこぶ」

 つまり脳は、そもそも他人とのウワベだけの情報共有や追体験をイヤがるもの
なのだというものです。実は脳は情報共有をシブシブやっているのかもしれない。
自分の一回性の体験じゃない、他人の体験をシブシブ読んでいるのかもしれない。
自分のシーンでないことなので、脳が深めて整理することをイヤがっている。
なるほど、どおりで皆さん、情報の共有が進まないワケで・・・。

 情報共有をしましょう、成果をヨコ展開しましょう、そんなマネジメント用語を
したり顔でわたしも話していました。だが脳がよろこばないことをせっせと話して
いたとすれば、進まない理由も納得ができます。

 脳がよろこんでこそ仕事に創造性がやどる。よろこばせる情報共有でないのに
軽々しく「情報共有」とか「ヨコ展開」してください、とは言えないと思いました。

            ★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 個人的な一回性の体験は、プライベートでも仕事でも、他人と共有するのは
むつかしくても、シーンとシーンをつなぐところでは共有できるのではないか。
シーンとシーンをつなぐのは“プロセス”。プロセスを共有できるものにしつつ、
プロセスから生まれてくるお客さまがよろこぶシーンや自分がよろこぶシーンを
創造していく。

 シーンがあってそれをバネにしてプロセスがある。このふたつが“一回こっきり”
の創造的なセットになったとき、行動になって人生を豊かにする。

2007年1月21日発行

【ブログ 「マーケティング・ブレイン」】
 http://marketing-brain.cocolog-nifty.com/
 【Business Media 誠 新連載 “うふふ”マーケティング】毎週木曜掲載
 http://bizmakoto.jp/
【新著『顧客視点の成長シナリオ』 経営を考える秋の夜長に!】
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