2007/10/29
ぷろこんエッセイ 第140号 リーダース・バイオレンス
■□■■■■■■□■□■□ ぷろこんエッセイ ■□■□■□■■■■■□■ 現役コンサルタントによるワイルド・コンサルティング・エッセイ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 第140号 リーダース・バイオレンス ---------------------------------------------------------------------- コンサルタントになりたい人が後を絶たない。 すでにリクナビもエンジャパンもマイナビも「就活2009」まっしぐらである。そこでも コンサルタント職人気は相変わらず。ロジカル・シンキングを身につけよう、人と 違う志望動機を持とう、コンサルタント会社のインターンシップに参加しよう・・・ こんな案内が花盛りである。 なぜコンサルタントをめざすか、学生の彼らの目に映るコンサルタント職の魅力は 何なのか。クライアントの働きかけで、会社を良くしたり、ヤル気を出していただい たり、モノやコトを見る目を少しでも変化させることができる仕事である。その魅力 を感じとって、コンサルを志望する人がいることは、良いことだと思う。 そういえば2年前の夏、ある学生インターンの相手を請け負ったことがある。彼は 問題意識の広さ・深さ、着眼点の良さ、そして志の高さといい、とても優れたヤツ だった。だが遂に当社に入社しなかった。相談役のわたしに何か落ち度があった のだろうか?この職業のことをかなり正直に話してやったことが影響しただろうか? 理由はヤブの中だが、政治家になって社会に貢献したいといっていた彼は、コン サルタントになっても成功するだろうと思った。まして若いことは、打算よりも「ある べき」にまい進できるパワーだせることであり、この職業には有利である。 だが一方で、コンサルタントに向かないな、と思う人もいる。それは「オレオレ」で ある。 *********************************** オレオレとは、「オレはコンサルタントだから偉い」「オレはXXXの資格者である」、 こういう態度をとる人である。オレ(アタシもいる)が世界の中心で改善提案を 叫ぶような態度で、お客さまもコンサルタントメンバーにも接する人である。 自信に満ち溢れたオレオレに、リーダーシップ器量という裏づけがあるのなら、 まあ百歩譲って認めよう。それでもメンバーだったら気分は悪いが。カリスマの オレオレなら、その方針に唯々諾々とついていけばいいので、お客さんもコンサル メンバーも楽である。 だが悲しいかな、現実にはたいていのオレオレにはその器量はなく、オレオレ 言動しかないのである。しかも言うことはたいてい的ハズレで、押し付けがましく、 無礼で、気恥ずかしい。なのに「従え!」という圧力をかけてくるのでタチが悪い。 幸いなることに当社の事例ではないのだが、わたしの知り合いでコンサルを している人から、オレオレにまみれた体験談を聞いたことがある。 *********************************** そのXプロジェクトでは、コンサルタント側のリーダーがオレオレだという。 知り合いはそのプロジェクトのメンバーで、当時はまだコンサルタントとして 経験の浅いルーキーだった。だからリーダー氏が「オレの言うことに従え」 「こうやっておけばいいんだよ」「お客なんて、わかってないんだから」という 言葉にちょっと反発をしつつも、「私は経験がないから、コンサルってこういう ものか」と従順に従っていた。 だが数ヶ月たつ頃、どうも変なのではないかと思いだした。 そのリーダー氏がお客さんメンバー(経理部)にも相当失礼な言い方で話したり (「これができなくては、経理部は勤まりませんよね」)、仕事の分担をしたにも 関わらず、リーダーだけが出席すればいい会議に、メンバーを8時間も拘束する 段取りの悪さ、メンバーには要求するのに自らはアウトプットが出ない、さらには 教科書からの見え見えの質問をお客さんにたくさんぶつけてばかり・・・。 知り合いばかりではなく、コンサルタント側メンバーが総スカンであり、ついに お客さんのメンバーさえ「何とかならないの」という形勢になった。 わたしは聞いた。「そのリーダー氏って、いつもそんな風にオレオレなの?」 「それが案外従順で、慣れ慣れしい態度なときもあるんです」と知り合い。 「オレオレに波がある?」 「そうですね、波というより・・・DVなんです」 その知り合いの分析によると3つのサイクルがある。 1.暴力の爆発期 2.ハネムーン期 3.緊張の蓄積期 1はバイオレンスである。机をバーン!と叩いて「なんでオレの言うことに逆らうん だぁ!」と怒鳴る。「いい加減にしろよ!」とわめく。その爆発期は短期に終わり、 すぐに2のハネムーン期に入る。「さっきは悪かったね」とばかりに擦り寄ってきて 「手伝おうか」みたいなことを言う。そのヨソヨソしい期間は、平均して数日間続き、 やがて3の緊張の蓄積期に突入する。 蓄積期では、だんだんとイライラを募らせて、時おり手が震えることがあるが、 まだ振り下ろされない。そんな状態が続いて、ある日突然バ〜ン!がやってくる。 手が震えるのではなく、机が震える。まさにドメスティック・バイオレンスだ。 「へえ!そんな・・・プロジェクト・バイオレンス!」 わたしはしばし絶句し つつも生来のふざけネーミングの癖は止まらない。「PVなんだ!」 「そうです!DVじゃ家庭ですから、PVですね」とクスリ。 「でもさ・・・そのリーダー氏って、見た目は温厚だって言ったよね?」 「普段はナヨっとさえしているように見えるんです。それが・・・暴力沙汰で」 「DVって、実はマッチョな男がやるんじゃなくて、温厚そうなヤツがやるって 言うからね」 その後、しばしネーミングを再考してメールをした。 『プロジェクト・バイオレンスを改め、LV(リーダース・バイオレンス)って どお?』 『ぴったりです!LV、いいと思います!』 知り合いからの返信。 悪ふざけがつのり、さらに追伸。『LaaSU(ラース)ってどぉ?』 『何ですか、ラースって?』 『Leader as a So-Utsu(躁うつ)。SaaS(サース)にひっかけたのよ』 『ラースという語感はいいですが・・・個人的にはLaaSUよりLVを希望。LaaSU だと、加害者に同情的な感じなので。』 *********************************** 知り合いは苦しんでいるのである。わかるよ、その気持ち。バーン→ヨソヨソ→ イライラのサイクルにいる人がプロジェクトにいる不快感は、経験した人でなく てはわからない。 非力なわたしには、「LV被害者の会」を組織化し、業界の類似事例を集める ‘LVヘルプデスク’をつくり、「LV対処の巻」を広く頒布するくらいしかないので ある。とまあ、人の不幸な状態をふざけて受けとめ、笑いとばすのはひとつの 処方せんである。 というのも、ほんとうの処方せんはなかなか切れないからだ。LVにしろLaaSUに せよ、実は「つける薬はない」。バッサリ言えばコンサルタントに不向きであるから。 *********************************** コンサルタントの仕事は断じてオレオレではない。オレの言うことを聞け!などと いえるのは一握りの超一流のコンサルタントぐらい。いや超一流であればなお さら「大きな聞く耳」を持っているものである。お客さまを五感の聴診器で察する ことができるのが一流の証(あかし)である。だからこそ導きがうまいのだ。 自分が聴診器を持っているか、拳をもっているか。就活2009の学生も、中途の 希望者も、すでにコンサルタントである人も、常に自問自答しよう。誰かを バイオレンスで有形無形に痛めつける前に。 2007年10月29日発行 【Business Media 誠 新連載 “うふふ”マーケティング】 ※毎週木曜掲載 http://bizmakoto.jp/ 最新号『資生堂・白TSUBAKIの女優たちには“ワケ”がある』 【新著『顧客視点の成長シナリオ』 経営を考える秋の夜長に!】 http://www.firstpress.co.jp/ 【ブログ 「マーケティング・ブレイン」】 http://marketing-brain.cocolog-nifty.com/ 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 発行者 郷 好文 連絡先 gowild@gol.com ホームページ http://www2.gol.com/users/gowild ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用して発行 しています。解除は http://www.mag2.com/m/0000096057.htm からできます。 ---------------------------------------------------------------------- ==[ ▼PR ]========================================================= 「ぷろこんエッセイ 〜 現役コンサルタントによるワイルド・コンサルティング・エッセイ」 コンサルティング・プロジェクトの成功・失敗の本質を、さまざまな角度から毎号本音で 語ります。オモシロおかしく足掛け5年目に突入! ★http://www.mag2.com/m/0000096057.htm ☆ ホームページ http://www2.gol.com/users/gowild ========================================================[ ▲PR ]===



