2009/02/16
ニシキプリントNEWS vol.184「製本~その1~」
┏━━━━━━━━━━━┓┏┓━┓┏┓┏━━┓┏┓┏┓┏┓┏┓┏┓┏┓ ┃ どのような印刷を ┃┃┃┓┃┃┃┃━━┛┃┗┛┃┃┃┃┏┛┛┃┃ ┃ ご希望ですか? ┃┃┃┃┃┃┃┏━━┃┃┏┓┃┃┃┃┗┓┓┃┃ ┗━━━━━━━━━━━┛┗┛┗┛┗┛┗━━┛┗┛┗┛┗┛┗┛┗┛┗┛ ┏━━┓┏━━┓┏┓┏┓━┓┏━━┓┏┓━┓┏━━┓┏┏━┓┓┏━━┓ ┃━━┃┃━━┃┃┃┃┃┓┃┗┓┏┛┃┃┓┃┃━━┓┃┃┃┃┃┃━━┛ ┃┏━┛┃┏┓┓┃┃┃┃┃┃ ┃┃ ┃┃┃┃┃━━┛┃┃┃┃┃┏━━┃ ┗┛ ┗┛┗┛┗┛┗┛┗┛ ┗┛ ┗┛┗┛┗━━┛┗━━━┛┗━━┛ ━印刷会社がお届けするメールマガジン 【ニシキプリントNEWS】━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 当マガジンでは、印刷を必要とされる企業や個人事業主の皆さまへ ☆賢い印刷発注☆にお役立ていただける実用的な情報をご提供します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ >> 2009.02.16 184号 ★今回のコラムはよくわかる印刷講座「製本 〜その1〜」です。 ─────────────────────────────────── 皆さん、おはようございます。都合により、前号に引き続き、シンの担当でお 送りします。よんの記事を楽しみにしていた方、ご心配なく。次回から2回連 続でよんの特別レポートを予定していますよ。 さて、今回は前号のメルマガ「本の装丁」に関連して、「製本」を取り上げる ことにします。内容が盛りだくさんになってしまったので、2回に分けてお送 りすることにします。どうか最後までおつきあいのほどを。 (次回から2回続けてお休みでほっと一息、反面一抹の不安がよぎるシン) ※このメルマガは等幅フォントでお読み下さい。 ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆ ★よくわかる印刷講座 ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆ ▼知っておくと便利な印刷知識や印刷用語をご紹介。 ■ 「製本」とは 前号のメルマガで、「装丁」について取り上げました。その中で、装丁 という言葉は、広義には「製本作業全体」を指すと述べました。 実は、「装丁」も「製本」も英語にすれば“BOOK BINDING”という一つ の言葉で表されます。その意味でも、両者はかなり重なる部分を持って いるわけですが、日本語で「製本」と呼ぶ作業は、通常、「ページを順 序正しくまとめ、これを保護材料(表紙など)で保護し、書物の散逸を 防ぐとともに、使いやすくまた読みやすくするとともに、保存しやすい 形にすること」と定義されるような作業そのものを指します。 これに対して、装丁は出来上がった本の外観に関わる材料の選択やデザ インの工程に重点が置かれ、日本語では区別して使われることが多いよ うです。あまり正確ではないかも知れませんが、あえて例えるなら、製 本が「通常の歯科治療」、装丁が「審美歯科治療」といったところでし ょうか。 製本の目的は、その用途によって重点の置きどころが異なり、使用が目 的の場合、保存が目的の場合、また鑑賞が目的の場合などに分けられ、 それぞれの目的によって、おのずと製本の仕方も変わってきます。 例えば、大衆小説本や週刊誌のように、比較的に内容の生命が短いもの と、学術書や辞典のように永続的な価値があるものとでは、当然製本の 様式も違うのが当然で、今日様々な製本の様式があるのもそのためです。 しかし、いずれにせよ、製本は紙を折りたたんでそれを順序に従ってま とめ、これを糸で綴じるか糊づけするかによって、多くの場合表紙をつ けるという作業工程によって行われるという点においては変わりないの です。 ■ 製本の種類 (1) 発祥地域による分類 A.和装本 東洋において行われていたもので、その発祥地は中国です。奈良時代 にわが国にも伝来し、明治の初め洋装本が輸入されるまで、もっぱら 行われていた製本様式です。その完成した形は、紙の片面に2ページ 分印刷してそれを中央で2つ折りした「袋とじ」と呼ばれるものです。 (詳しくは前号のメルマガ、装丁の歴史〜東洋〜の項をご覧下さい。) B.洋装本 14世紀以降、今日のように、中身に表紙をつけた製本様式に完成され、 わが国には明治の初めにその技術が伝来しました。今日の本のほとん どが洋装本です。 (前号のメルマガ、装丁の歴史〜西洋〜の項もあわせてご覧下さい。) (2) 仕立て方による分類 実は、仕立て方についても和本用式(和装本)と洋本用式(洋装本) があるのですが、現在、本のほとんどが洋装本ですので、ここでは 洋装本のみを取り上げます。 (参考までに、『広辞苑』の「装丁」の項に本の部位の名称の図が載 っていますので、これを見ていただくと、以下の文章の意味が分かり やすいかも知れません。) A.本製本と仮製本 本製本(上製本)は、中身を仕上げ断ちしたのちに表紙づけが行われ るのに対して、仮製本(並製本)は表紙をつけてから仕上げ断ちが行 われます。 本製本と仮製本の区別は、「チリ」と呼ばれる本の中身と表紙との大 きさの違いによる表紙の余白があるかないかで判断されます。すなわ ち、チリがあるもの(表紙の大きさが本の中身より大きいもの)は本 製本、ないもの(表紙と本の中身が同じ大きさのもの)が仮製本です。 さらに本製本と仮製本のそれぞれに中身の仕立て方や表紙のくるみ方 によって細かい分類もありますが、文章で説明するだけでは分かりに くく、煩雑なため、ここでは省略させていただきます。 B.中間的な製本 本製本と仮製本の中間的な仕立て方に、次の2種類があります。 a.南京 中身を針金とじとし、表紙を本製本と同じ体裁としたもの。外観は 上製本と同じですが、背はクロスで巻いてあるのみです。見返しは ペラ(一枚の紙)が用いられることが多いです。昔の教科書などで よく見かけましたが、古くなると針金がさびて、本の「のど」(本 の綴じ側)の部分から茶色いさびの粉が出てきてしまうという欠点 がありました。 b.フランス装(フランス表紙) 表紙の3方を折り曲げ中身の見返しをはさみ、仕上げ断ちされた中 身をくるみ、ちりをつけたもの。フランスで盛んに行われたことか らこの名があります。 (3) 背の形式による分類 これは洋装本にのみ当てはまる分類です。 A.丸背 本の背に丸みのあるもので、a.フレキシブルバック・b.タイトバック ・c.ホローバックの3つの形式があります。 丸背上製本は高級感があり、本の開きもよく、強度も高いので、現在 最もよく用いられている形式ですが、本の厚さが約15mm以上(約150 ページ程度)のものに限るという制約があります。 a.フレキシブルバック 日本語にすると、「柔軟背」という意味です。表紙の背と中身の背 が密着しており、しかも背の部分が柔軟にできているので、のどの ところから十分に開き、本の開閉は非常にしやすいですが、本をい っぱいに開くと、本の背の丸みが逆に反ってしまうので、背文字が いたみやすいという欠点があります。 b.タイトバック 日本語では「硬背」。表紙の背と中身の背が密着しており、しかも せの部分が固められているもので、フレキシブルバックの欠点を避 けるための形式です。ただし、のどの開きが十分でないので、厚い 本には不向きです。 c.ホローバック 日本語では「腔(くう)背」。前二者の長所を取って工夫された形 式です。表紙の背と中身の背が離れているため、開閉もしやすく、 背文字もそこなわれにくい形式です。現在の本製本はほとんどこの 形式ですが、開閉時にかかる力が、表紙のごくわずかな接着部のみ にかかるため、この部分が弱くなるという欠点もあります。 B.角背 a.みぞつき角山、b.突きつけ角山、c.南京の3種があります。 a.とb.の違いはその呼び名の通り、背と表紙の境にみぞがあるかない かによります。また南京は中間的な製本で説明したものと同じです。 角背上製本は、丸背上製本に比べ、低料金で仕上がりが早いため、提 出用の学位論文等に利用されています。また、卒業写真アルバムなど もほとんどこの製本ではないでしょうか。 (4) とじ方による分類 A.糸とじ とじ方の中では、最も耐久力があり、本の開きもよく、最良のとじ方 なのですが、手間がかかり、コストは一番高くつきます。そのため、 主に本製本に用いられています。 a.機械とじ 現在広く用いられているのは「普通(並)とじ」と呼ばれる方法です。 とじ方はミシンの縫い方と同じで、製本するために折りたたんだ刷 り紙(これを「折丁」と呼びます。)を順番に並べ、一折りずつ機 械のサドルにあてがってやると、自動的に突き針、とじ針、爪など が作動してとじられて行きます。しかし、このとじ方では、1本の 糸が始めから終わりまで連続しているため、1か所がほつれると、 これを引っ張ると終わりまでほどけてしまうという欠点があります。 また、現在ではナイロン糸などの強度を増した糸を使っているので 行われなくなっていますが、以前は厚い本や辞書、大型の書籍など には「テープとじ」というとじ方が用いられていました。これは、 糸とじの強度を増し、中身と表紙の結合を強め、さらには表紙のみ ぞをしっかりさせるため、背に幅1cmほどの平織り木綿または麻布 のテープを直角にあて、このテープをまたいで糸でとじるものです。 b.ミシンとじ ミシンを用いて糸で縫ってとじる方法です。のどの近くの平らな部 分を縫うものを「ひらミシン」といい、2つ折りにした中央を縫う ものを「中とじミシン」といいます。 身近な例で言えば、自動車免許をお持ちの方なら必ずお持ちのはず の、免許証とほぼ同じサイズの「安全運転ガイド」はこの製本です。 また、ルーズリーフ式でない、表紙つきの学生用のノートなどもそ うです。 B.針金とじ 針金でとじる方法で、「平とじ」と「中とじ」があります。のどの近 くの平らな部分をとじるのが平とじで、1冊の真ん中を2つ折りにし、 背の方からとじるものを中とじと言います。 ページのあまり多くない週刊誌やパンフレットなどに用いられ、製本 の中では最も安価で加工に時間を要しないという利点がありますが、 加工できる頁数には制限があります。本はノドまで完全に開きますが、 高級感が出せず、耐久性にも劣るため、主に週刊誌など比較的製品の 寿命の短いものなどに用いられます。 C.無線とじ 糸も針金も使わず、本の中身の背の部分に切り込みを入れ、この切り 込みに接着剤を塗って背を接合する「切り込み式」と、折丁の背の部 分を、折ったまま切り落とさずに内側から穴をあけ、背に接着剤を塗 り、穴から接着剤を浸透させて中身の一枚ずつを接着する、「アジロ 式」、これとは逆に折丁の背の部分を仕上げ断ちし、そこにヤスリ等 でギザギザをつけて接着剤で接合させる「切断式」があります。 弊社も含めた、軽印刷業界で最も多く使われているのがこの形式です。 本の開きはまずまずですが、特に古い本などでは接着剤の劣化により、 いっぱいまで開こうとすると背が割れ、頁が抜けたりすることもあり ます。かなりの頁数の本まで使用でき、高級感も出すことができます が、耐久性ではまだ糸かがりには及びません。 (★以上の項、日本エディタースクール出版部刊、「出版編集技術 (第2版)下巻」を参考にさせていただきました。) ■ 製本の工程 以下に仮(並)製本の場合の、製本の工程をご紹介します。 上製本の場合は、これとは別に表紙を作成する工程などが加わって更に 複雑になりますが、紙枚の都合で仮製本の場合とさせていただきます。 ┌───────┐ A │ 刷 本 │ 「すりほん」印刷したままの紙の束の状態です。 └───────┘ ↓ ┌───────┐ B │ たち割り │ 1枚の用紙に2ページ以上の面付けの場合に └───────┘ 断裁します。 ↓ ┌───────┐ C │ 折 り │ 印刷用紙をページ順になるよう、折り畳みます。 └───────┘ (これを「折丁」といいます。) ↓ ┌───────┐ D │ 貼り込み │ 葉書などを折丁に貼り付ける作業です。 └───────┘ ↓ ┌───────┐ E │ 丁合い │ 折丁をさらに順番に並べます。 └───────┘ ↓ ┌───────┐ F │ 綴 じ │ 折丁の背を接着します。 └───────┘ ↓ ┌───────┐ G │ くるみ │ 表紙で折丁の束をくるみます。 └───────┘ ↓ ┌───────┐ H │ 断 裁 │ 天地と小口の余白を断裁します。 └───────┘ (化粧断ちといいます。) ↓ ┌───────┐ I │ 並製本 │ 完成です。 └───────┘ 上の工程図で、Bの「たち割り」の工程の説明で、「面付け」という 言葉が出てきましたが、これは、印刷の際に、一枚の紙に同じものを 複数並べたり、複数のページを付け合わせて印刷することが普通なの で、このような付け合わせの作業をいいます。面付け作業は、現在の プリプレス(印刷の前工程)の最終工程の一つで、印刷、製本工程に も大きな影響を与える、非常に重要な作業です。 同じものを複数並べた場合、たち割りで1つずつに分け、複数のペー ジを付け合わせた場合には、Cの「折り」の作業が入る場合が多いで す。 Eの丁合いについては、昔は手作業でしたが、現在は各ページごとの 束をトレイにセットすると、機械が各束から一部ずつ取って順に並べ てくれるしくみの「自動丁合機」によって行うようになっています。 弊社の自動丁合機は単版の束をセットするという使い方ですが、折丁 のまま丁合できる機械もあります。いずれの場合も、機械で丁合した ものを一部抜き取って人間の目でチェックする作業は欠かせません。 折丁のまま丁合する場合、折丁の背の部分に「背標」と呼ばれるマー クを入れておき、順番に並べた時に階段状の模様に見えることを利用 して、ページ抜けや重複などの「落丁」や「乱丁」を防いでいます。 それから、並製本では、多くの場合Fの「綴じ」とGの「くるみ」は 同時に行われるものが多いです。すなわち、「ホットメルト」と呼ば れる、熱によって溶解し、冷えることによって固まる接着剤を用いて 本の中身の背を固めながら、同時に表紙を巻いて行くわけです。 ■ 最後に 〜製本の原点を考える〜 フランス語で製本を意味する言葉に、“reliure”(ルリュール)と いう言葉がありますが、印刷業界の専門用語では、「西欧の伝統的な 造本技術で作られた製本工芸。表紙は皮革張り、箔押しなど装飾を施 し一つずつ手作りで製本するもの。」という意味で用いられているよ うです。 本製本と仮製本の中間的な製本の形式である、フランス装という形態 は、メルマガ前号でふれたように、本を個人の好みに応じて装丁する という、西欧の古くからの習慣の名残りとも言うべき製本方法です。 フランスでは現在でもこのようなフランス装の表紙の本が出版されて おり、購買者が自宅の部屋の色調に合わせて製本するといった習慣が まだ残っているそうです。 日本ではおよそ考えられないことですが、長い西欧の本作りの歴史の 重みといったものを感じずにはいられません。 インターネットで「製本」をキーワードに検索してみると、専門の製 本業者ばかりでなく、個人で様々なオリジナルの製本をされている方 もいらっしゃるようです。例えば、次のようなサイトを見つけました。 http://www.adachi.ne.jp/users/yossie/reliure.htm 高価な材料を使わなくても、工夫次第で、個人でもこれだけの製本が できるとは驚きです。改めて、製本の原点はあくまでも、人それぞれ の好みに合わせたやり方で、またプレゼントとして贈る相手に合わせ て行われたものであり、現代当たり前のようになっている、大量に同 じものをつくるというのは商業主義中心の考え方からそうなっている だけなのではないか、と考えさせられました。 〜次号(3月2日配信)は「PAGE2009レポート(その1)」をお届けします〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メルマガ相互広告&サイトの相互リンク募集中! ご連絡はこちらまで。ご意見・ご感想もお待ちしています。 >>>info@nishiki-p.co.jp 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